プロダクトマネージャーとは、プロダクトに対して全体的な責任と最終的な決定権を持つ存在です。プロダクトマネージャーになるのに必要なスキルや資格、仕事内容、年収、さらにプロダクトオーナーとの違いを解説します。
プロダクトマネージャーの仕事とは
プロダクトマネージャー(Product Manager、略してPdM)は、プロダクトに対する全体的な責任と最終的な決定権を持つ仕事です。「プロダクトのCEO」とも呼ばれ、特にIT業界で多くみられる職種です。プロダクトマネージャーのミッションは、プロダクトの利益を最大化することです。そのための戦略や投資判断といった上流工程から、ブランド管理やプロモーションといった下流工程まで全体を見通し、人員計画を立てたり、仕事を割り振ったりしていきます。
企業やプロダクトによって業務範囲に多少の違いはあるものの、基本的には、以下の全てを管轄する仕事です。
- 市場やプロダクトの現状と課題把握
- ビジネスモデルや利益・コストの検討
- プロジェクトへの投資判断
- ロードマップの作成
- ブランディング、プロモーション、CRM計画の立案・管理
- プロダクトの品質やライフサイクル管理
そもそも「プロダクト」とは何を指すのか
「プロダクト(Product)」とは、元々は「生み出されたもの」を指し、そこから転じて「製品・生産物・産出物」といった意味を持つ言葉です。特にビジネスの文脈では、企業が顧客に販売する商品・製品を指すのが一般的です。従来は形ある商品・製品が中心でしたが、最近はサブスクリプションサービス、ソフトウェア、データなど形がないものもプロダクトと呼ぶことが多いです。
なぜプロダクトマネージャーが注目されるのか
プロダクトマネージャーという仕事が注目され、求人が増えている背景にはデジタル化やそれに伴う以下のような変化があります。
- サブスクリプションなど、リピートや継続を重視するプロダクトが増えた
- SNSなどを通して誰でも感想を共有できるようになり、購入後の体験も重要になった
- アジャイル開発やスクラム開発でスピーディーな開発が可能になった
サブスクリプションやSNSの影響で、「売って終わり」ではなく、その先の満足度まで一気通貫で見通して意思決定する人が必要になりました。
例えばサブスクリプションサービスの場合、使い続けてもらわないと利益が出ない構造になっており、満足してもらうことが非常に重要です。
またSNSの浸透により誰もが簡単に感想・口コミを公表できるようになったため、「宣伝文句と実際の効果が全然違う」「カスタマーサポートの対応が最悪」といった体験は直ぐに世の中に広まり、今後の売上にも悪い影響を及ぼします。
開発スピードが上がったことで、開発とマーケティング・営業を束ねる人が必要になったことも大きな理由です。 アジャイル開発やスクラム開発といった手法が浸透してきたことで、プロダクト開発・改善のスピードが上がりました。プロダクトの特性が変わればマーケティングや営業メッセージを変える必要があり、またマーケティングや営業からのフィードバックを受けてプロダクトもアップデートしていく必要があります。
このような背景から、プロダクト全体を広く見て意思決定をしていくプロダクトマネージャーが求められるようになっています。
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Q&A プロジェクトマネージャーやプロダクトオーナーとの違いは?
プロダクトマネージャーと名前が似ている仕事として、プロジェクトマネージャー(PM)とプロダクトオーナー(PO)があります。プロジェクトマネージャー(PM)は、期間と目標を定めたプロジェクトを管理するのが仕事です。
あるプロダクトの傘下で、「満足度向上のためのプロジェクト」「新機能開発プロジェクト」など複数のプロジェクトが進んでいるというケースもあります。
プロダクトオーナー(PO)という言葉は、スクラム開発という開発手法の中で生まれた考え方で、開発の指揮を執る存在です。
プロダクトマネージャーがプロダクト利益の最大化という観点からプロダクトの戦略やあり方を考えるのに対し、プロダクトオーナーはプロダクトの使い勝手やユーザに主眼を置くことが多いです。
プロダクトマネージャーのキャリアパスと年収
プロダクトマネージャーには戦略・財務、マーケティング、CRM、開発など様々な視点・視座が必要です。そのため、現在プロダクトマネージャーの仕事をしている人のバックグラウンドも様々で、色々なポジションからプロダクトマネージャーを目指すことができます。プロダクトマネージャーになった後は、会社によっては「シニアプロダクトマネージャー」や「CPO(Chief Product Officer、最高製品責任者)」というポジションに進んでいきます。レベルが上がるほど、管理するプロダクトの数・規模・重要度が上がるのが一般的です。
CPOになれば複数のプロダクトをポートフォリオとして管理し、プロダクト間の優先度づけや投資判断などを行います。
年収は平均すると700~750万円程度
プロダクトマネージャーの平均年収は700~750万円程度といわれており、平均よりも高めです。この背景には、新卒でプロダクトマネージャーになる人が少なく一定のキャリアがある人が多いことが挙げられます。またIT業界の人が多いのも、平均年収を押し上げている一因です。同じプロダクトマネージャーの仕事でも業種によって年収の差は大きく、IT系以外のプロダクトマネージャーの場合は平均年収が700万円に満たないケースも多いでしょう。
今後の転職にも困らない、将来性のある仕事
プロダクトマネージャーという仕事が注目された大きな要因はデジタル化です。今後もデジタル化は加速することが見込まれるため、プロダクトマネージャーが必要なプロダクトも、プロダクトマネージャーという職種を設ける会社も増えるでしょう。そのため一度プロダクトマネージャーになり経験を積むことができれば、その後の転職先も見つけやすいでしょう。 Liigaでもプロダクトマネージャーの求人を紹介しているので、下記の検索ページから「プロダクトマネージャー」と検索してみてください。
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プロダクトマネージャーに必要な資格とスキル
プロダクトマネージャーになるまでのバックグラウンドが様々であることからも分かるように、プロダクトマネージャーの仕事は非常に幅が広いです。
そのため「この資格が不可欠」といったものはない一方で、以下のようなスキルを持ち合わせている必要があります。
- 理解力・思考力・課題解決能力
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
- 幅広い知識
理解力・思考力・課題解決能力
プロダクトマネージャーの仕事は、「何が課題なのか」を特定し、その上で「どうやって課題を解決していくのか」という方針を立てるところから始まります。課題を特定するには、市場や競合の動き、リサーチの分析結果、営業やカスタマーサポート担当者からのインプットなどを理解しなくてはなりません。また様々な情報から重要なものを見極め、対応優先度をつけて方針を定めていくには深い思考力も必要不可欠です。
コミュニケーション能力
プロダクトには、社内外の多くの人が関わっています。社内だけでも、営業、カスタマーサポート、デザイン・開発、経理・財務など様々なバックグラウンドを持つ人と関わる必要があり、相手の立場を理解しながら、それぞれの人に分かりやすく説明する力が求められます。
またプロダクトを生み出し開発していく上では、予算やスケジュールの調整・交渉なども出てきます。意見の対立を解消したり、意見をとりまとめたり、時にチームを盛り上げたりといった、状況に応じた対応も必要です。
マネジメント能力
プロダクトマネージャーは、プロダクトの開発や販売に関わる多くのメンバーをまとめ、引っ張っていく必要があります。また人だけでなく、チームやプロジェクトの動きがきちんと連動するように、高い視点から物事を見渡す必要もあります。
そのために、メンバーやプロジェクトの目標設定、進捗管理、フォロー、サポートなどを行い、各人が能力を発揮できる環境を整えていくマネジメント能力が求められます。
幅広い知識
「プロダクトのCEO」と呼ばれるほど、高く、広い視点を求められるプロダクトマネージャーなので、自社プロダクトの知識はもちろん、市場やトレンドといった社外に関する知識も必要不可欠です。 また開発や営業など様々な立場の人と働き指示を出す必要があるため、各チームの動き方や考え方についても深い理解が必要です。
世の中の動向は常に変化しているため、様々なことを貪欲に学び、知識をアップデートしていく姿勢が求められます。
プロダクトマネージャーになるには
プロダクトマネージャーになる上で「絶対に経験しなければならない職種・業種」はありません。マーケティング、CRM、エンジニアなど様々なキャリアからプロダクトマネージャーを目指すことができます。
「いつかはプロダクトマネージャーになりたい」と考えているのであれば、まずは幅広い知識を得ることから始めましょう。戦略・財務、マーケティング、開発プロセスや手法、PDCAのプロセスなどから学び始めるのがおすすめです。 また最新のビジネス関連の記事を読んで、新しい事例や経営者の考え方を知って、視座を高めることも重要です。
経営者やトップランナーの視点が分かる!Liigaのビジネスコラム
業界選びは非常に重要
業界によって、プロダクトマネージャーになれる可能性には大きく差があります。IT系であればプロダクトマネージャーという職種があるのは珍しくありません。ポジションが空いていて募集しているケースも多いです。 一方で他の業界では、プロダクトマネージャーという仕事自体が用意されていないケースもあります。
「プロダクトマネージャーになりたいのに今の会社にそんなポジションはない」という場合は、IT業界への転職も考えてみましょう。プロダクトマネージャーの求人があればそれに応募してみても良いでしょう。最初は他のポジションで入ってプロダクトマネージャーを目指すという選択肢もあります。
「今の自分のキャリアでプロダクトマネージャーに応募して問題ないのか」「他のどのポジションがプロダクトマネージャーに繋がっているのか」など迷ったら、転職エージェントに相談してみても良いでしょう。IT業界に詳しいエージェントなら、プロダクトマネージャーの求人を紹介してくれる可能性も高いです。 Liigaでは転職エージェントの口コミも見られるので、自分のこれまでの経験や転職したい会社・業界にあった人を選ぶことができます。ぜひ活用してみてください。
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ここまでご紹介したように、プロダクトマネージャーはプロダクトの全てに責任を持つことができる仕事です。「プロダクトのCEO」と呼ばれるほどやりがいがあり、アメリカでは「最も魅力的な仕事」ともいわれています。
今すぐプロダクトマネジャーに応募する場合も、またいつかチャレンジしてみる場合でも、ビジネスの幅広い知識は必要不可欠です。 Liigaでは経営者や事業責任者の視点が学べるコラムはもちろん、求人検索やセミナー案内も充実しています。自分の価値を高めるためにも、まずは登録してみてください。