sponsored by RGFエグゼクティブ サーチ、 カーライル・ジャパン・エルエルシー
PEファンドを“プロフェッショナルとしてのキャリアのゴール”に見据えている人は少なくない。にもかかわらず、実際の働き方やプライベートとの両立方法といった情報はほとんど世に出ていないのが現状だろう。
「経営の総合格闘技」とも称されるほど難度の高い仕事と、育児やプライベートをどう両立させているのか。今回のコラムでは、米系PEファンドのカーライル・ジャパン・エルエルシー(以下、カーライル)で働くワーキングペアレンツの3人に、ハードワークとの両立の秘訣(ひけつ)を赤裸々に語ってもらった。
※内容や肩書は2022年12月の記事公開当時のものです
働き方や自己成長に不安はない。DEIが浸透した組織で、日々新しい領域にチャレンジできる
――今日は育児と仕事を両立しているお三方にお話を聞きます。特に女性のお二人は、出産や育児に不安はありませんでしたか。
E.K:PEファンドは激務だと聞いていましたし、転職時の不安はたしかにありました。でも、一度しかない人生ですし、チャレンジしなければきっと後悔するだろう、と。実際に働いてみて感じるのは、仕事が面白く、働いている人も皆さん魅力的で、やりがいが大きいからこそ続けられているということです。もちろん、カーライルのサポーティブなカルチャーにもいつも助けられています。
カーライルに入社した時は、結婚はしていたものの子どもはいなかったのですが、現在は小学校低学年の娘と保育園に通う息子を育てながら、バイアウトチームの仕事と両立することができています。
S.A:私がこの業界に入ったのは、1社目の金融機関に在籍していた時にファンド投資業務に携わる方と会う機会があり、プライベートを充実させながらもキャリアを歩んでいる女性が数多くいることを知ったからです。特にファンド投資・IRにおいては日本でも海外でも、活躍している女性が本当にたくさんいて、私もぜひこの場所に身を置きたいと感じました。
今一緒に働いている上司も2人の子どもを育てている女性で、20年ほどカーライルで活躍しています。そうしたロールモデルが身近にいるという意味では、非常に安心感がありますね。
――S.Aさんは前職もカーライルとは別の外資系PEファンドだと伺いましたが、両社の違いを感じるところはありますか。
S.A:どちらの会社も、男女平等かつ女性も働きやすい柔軟な環境です。カーライルは特に、個々の事情に合わせて働ける環境づくりが進んでいて、先ほどお話ししたスーパーロールモデルが隣にいてくれることも、とても有り難いと感じています。
カーライルに転職したのは、担当するプロダクトの幅を広げたかったことが主な理由です。DEI(Diversity, Equity & Inclusion)が組織の隅々まで浸透している環境で、日々新しい領域にチャレンジできる。今はとても充実しています。
――K.Kさんもカーライルの前に別のPEファンドを経験していますが、両社の違いがあれば教えてください。
K.K:私の場合は前職が日系のPEファンドだったので、グローバルのリソースにリーチできるところはカーライルの魅力だと感じています。ファンドとしての業務内容は似ていますが、投資先企業をサポートするための引き出しは確実に増えていると感じます。
私は『あらゆる人が自分自身のポテンシャルを最大限に発揮するサポート』をキャリアの軸に据えていまして、投資先企業の皆さまの活躍に向けて自分の提供できる価値が広がっているのはとてもうれしいですね。
あとは、チームワークやコラボレーションに重きを置いている点もカーライルの大きな特徴です。若手が積極的に声を上げて殻を破っていけるように先輩たちがサポートしてくれるので、安心してチャレンジできます。もちろんS.Aが言った通りDEIも浸透しているので、働き方や自己成長に関する不安は一切ありません。
E.K氏
自分の希望をフランクに伝え、柔軟にキャリアや働き方を決めていく
――皆さん現在は問題なく仕事と育児を両立できているとのことですが、具体的な日々の過ごし方も教えてもらえますか。
E.K:毎日一番に登校したいと張り切る娘を見送るために、6時前に起きています。早い時間に娘が家を出た後、起きてきた息子に、ご飯を食べさせて着替えをし、保育園に通わせる準備をします。保育園には夫が送ってくれるので、私は自分の身支度をして、仕事を開始するのは大体9時ぐらいですね。在宅のこともあれば出社することもあります。
夕方6時には切り上げて、私が保育園のお迎えに行っています。娘は学童からシッターさんと一緒に帰ってくるんですが、私たちの分の夜ご飯をお弁当として学童から持って帰ってくれるんですよ。日々の食事はかなり模索したのですが、今はこの形に収まっています。
食事後は子どもたちをお風呂に入れたり絵本を読み聞かせしたり。9時から10時の間には寝かし付けて、その後少し仕事をすることもありますね。私は育休からの復帰後にファンドヘッドと相談して、特定の案件を担当するのではなく、案件を横断する形で新規案件や既存投資先モニタリングに関する業務をサポートする役割になっているので、他のメンバーよりは残業は少ないと思います。
――そういうキャリアチェンジの制度があるのですか。
E.K:決まった制度があるわけではなく、上司やファンドヘッドとフランクに相談しながら、各メンバーのやりやすい方法を検討していくという風土です。今のところ私と同じやり方を取っている人はいませんが、投資フロントのメンバーでもこの数年で育児をしながら働いている女性プロフェッショナルの数はかなり増えています。
――不安なことや困ったことを随時相談できるのはいいですね。S.Aさんはいかがですか。
S.A:息子がまだ生後8カ月なので、起きる時間は日によってまちまちです。息子に合わせて私も起き、あやしながら携帯でメールを確認します。急ぎの内容があればすぐにレスポンスしますが、そうでなければ保育園に預けてから9時ごろに仕事を開始します。
私は投資家にカーライルのファンドを案内する立場なので、海外、特にアメリカのファンド担当者とのやり取りが多いのですが、時差の関係で大体朝早めの時間にミーティングが入っています。その後はE.Kと同じく出社する日もあれば在宅の日もありまして、息子のお迎えが夕方5時半ごろですね。実は今、夫が1年間海外に留学していて“ワンオペ”なので、送り迎えのどちらも私がやっています。
息子は7時半には寝るので、それまでいろいろと世話をしつつ、できれば自分のご飯とお風呂も済ませられるようにしています。やり残した仕事があれば一通り片付いたタイミングで取り組むのも、E.Kと同じです。
――1人で育児しているとは驚きました。両立するポイントなどはあるのでしょうか。
S.A:自分自身の体調管理が何よりも大切だと思っています。追い込みすぎると続きませんし、妥協できるところはしながら、可能な範囲で両立しています。もちろん仕事で手を抜くことはないように心掛けています。そこは徹底しつつ、一方で家のことは妥協しまくっていますね。部屋がどれだけ散らかっていても気にしないとか。
日々息子の食べるものも睡眠時間も変わるので、いろいろな先輩に教えてもらいながら楽しくやっています。先日E.Kにシッターさんについても相談して、定期的に来てくださるシッターさんをお願いするかどうか検討しているところです。
S.A氏
外部サービスを利用したり、社内メンバーに相談したり…。三者三様の育児事情
――シッターさんや家事代行などのサービスを利用している方は多いのですか。
S.A:そうですね、家事代行は私も活用しています。2週間に1度水回りの掃除をお願いしているのと、病児保育のサービスもちょうど今月契約しました。先週末に息子が熱を出したときに初めて長時間見てもらったのですが、報告を聞いても息子の表情を見ても、とても楽しそうでしたね。
依頼する前は少しかわいそうに思いましたが、私の想像以上に子どもは適応能力が高いし、自分で楽しいことを見つけてくれるんだなと安心しました。先輩たちも「新しい刺激を受けるのは子どもにとってもいいことだよね」と言ってくださって。心が揺れている時に後押ししてくれる経験者の方が周りにいるのは、とても心強いです。
E.K:私も病児保育や家事代行は活用していますし、日用品の買い物や衣類のクリーニングは夜間対応のオンラインサービスを利用しています。私も最初は子どもを預けることに抵抗があったので、ナニー(※)文化が根付いている国のバイアウトチームメンバーに相談してみたんです。 ※数年単位の長期契約を主とする家庭訪問型や住み込み型の保育サービス
そうしたら、その方も最初は罪悪感を覚えたと言っていて、ナニー文化の発達した国でもそうなんだと、意外に思うと同時に私だけではないんだとホッとしました。それと、その後の言葉がとても印象的で、「子どもを預けるということは、自分の子どもを愛してくれる人が一人増えるということなんだよ」と。言われてみたらその通りですよね。この言葉には本当に助けられました。
実際に預けてみると、小さなころから親以外の大人とコミュニケーションを取る機会が増え、子どもたちも成長していると実感しています。
――たしかにおっしゃる通りですね。K.Kさんの一日の流れも教えていただけますか。
K.K:子どもは男の子が2人いて、上が3歳半、次男が8カ月です。カブトムシとクワガタを長男と育てているので、朝は「お父さん起きて、カブトムシたちに餌あげるよ」と起こされます。大体7時ぐらいです。8時ぐらいまでに自分も朝食をとって、私の担当の皿洗いをします。次男にミルクをあげるのは私と妻で交代で行っていますね。
リモートの日は8時過ぎから仕事を始め、ミーティングが入っていない日は私が長男を保育園に送っていきます。その後の仕事内容は本当に日によりますが、投資先の取締役会や個別の取り組みのミーティングに出たり、新規投資先の検討や提案資料を作ったり。夕方6時まで働いて、そこから8時ぐらいまでは育児のゴールデンタイムです。その間は意識的にPCやメールから離れ、子どもとご飯を食べてお風呂に入り、アニメやYouTubeを見て楽しんでいます。
子どものリクエストがあればベッドで一緒に本を読みますが、それがなければ9時ごろには仕事に戻ります。仕事量に応じてどこまでやるかは変わりますが、自分である程度コントロールできるので、翌日に影響がないよう切り上げるようにしています。
――K.Kさんは、男性社員として初の育児休暇を取得されたと聞きました。
K.K:2人目が生まれるタイミングで、妻にばかり負担をかけるわけにはいかないと思って取得しました。カーライルとしても男性社員に4週間の育児休暇取得を積極的に促す制度ができたので、HR部門や周囲のメンバーからも後押ししてもらいましたね。
1カ月抜けるのは正直不安もありましたが、同世代の同僚も多いので私が先陣を切ることで今後みんなが取得しやすくなればいいなと思っています。
――実際に取得してみて、どうでしたか。
K.K:非常に良かったです。夜泣きする赤ん坊にミルクをあげるといったことは、フルタイムで働いていたらおそらく言い訳してやらなかったと思うんですよね。おかげさまで個人的にはかなり家庭にコミットできました。
一方で、仕事も完全にオフにしていたわけではなかったので、復帰もスムーズにできました。もちろん完全オフにもできますし、そこは私の希望です。1日に1、2時間だけPCにアクセスするようにしていました。このあたりも個人のスタイルによって調整できるので、それぞれにとってベストなやり方を探っていけると思います。
K.K氏
サポーティブなカルチャーと、刺激に溢れた日々の仕事が、両立の秘訣(ひけつ)
――ここまでお聞きしても、「皆さんが特別だから両立できるんでしょう」と感じる読者の方もいると思います。
S.A:そんなことはないですよ。本当に私生活はかなり工夫していますし、睡眠時間も取らないと持たない方なので、平均7時間ほどを確保できるように努めています。
E.K:両立していると言っても、時にはバーンアウト気味になることだってあります。そういう時は、年末年始や夏休みも利用しながら長期休暇を取って、家族と旅行に行くなどリフレッシュして戻ってきます。常に完璧にどちらもこなすというのは無理ですよね。
K.K:あとは周囲のサポートがあるのも大きいと思います。カーライルは、よりインクルーシブなカルチャーを作っていくための活動も積極的に行っていますし、あらゆる人が働きやすい環境です。
E.K:たしかに。ワーキングペアレンツやマイノリティーの方に対しては無意識にバイアスを持ってしまいがちなので、そういったものを取り除くための研修も全員必須で受けています。
また、カーライルは「企業主導型内閣府ベビーシッター利用支援事業」の承認事業主となっているので、シッターを利用した際に一部補助が出るんです。こういった制度と風土の両面で、誰もが安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
――最後に、PEファンドでプロフェッショナルとして活躍しながら、ご家族・育児を含めた私生活も充実させたいと思っている人たちに、メッセージをお願いします。
S.A:カーライルは父親として、母親として、試行錯誤しながらキャリアを積んできている方がたくさんいて、働き方に関して問題意識を持っている方が多く、組織としての取り組みも充実していると思います。少ない人数だからこそ、家庭的でとても温かい組織ですし、プライベートの話もしやすい風土があります。育児と両立できるか迷っている方も、是非チャレンジしていただけるとうれしいです。
K.K:PEファンドは楽な業界ではなく、時間的にもプレッシャー的にも、かなり多くのものを求められる仕事だとは思います。ただ、仕事一辺倒ではなく、皆さん家庭やプライベートとの両立も重視して仕事に取り組んでおり、人としての幅が広いんですね。そういった刺激的な環境に身を置くと自然と自身の視座やモチベーションも引き上げられるように感じます。エキサイティングな環境で人生を充実させたいという人には、ぜひ門を叩いてもらいたいと思っています。
E.K:ポジティブな風土ですし、何より仕事がとても面白いです。新しい案件に投資するかしないかを決める、投資委員会の白熱したディスカッション。不確実で複雑な世の中で、なんとか真実を見抜こうとする試行錯誤。常に知的好奇心が刺激される毎日なので、そういった仕事が好きな方に来ていただければうれしいですね。
〈Profile〉
蓮子哲也(はつし・てつや)
RGFエグゼクティブ サーチ アソシエイトディレクター
2005年にヘッドハンターのキャリアをスタートさせ、ファンド転職の専門エージェントとしてキャリアを積んできた。これまでのPEファンドへの転職成功実績は100人以上。

蓮子:常識的に考えれば難しいですし、「それは無理でしょう」という方がほとんどだと思います。ただ、カーライルさんは非常に先進的なファンドで、女性比率もとても高い。私が知る限りでは外資系ファンドの中でもトップクラスです。実際にこうして活躍している方々がいらっしゃるわけですし、そういう意味でご質問への答えは“イエス”になるでしょう。
グローバルファームだと時差のある国々とのミーティングも発生しますから、その点でも日系ファンドよりハードです。しかしカーライルさんはその分昼に休めるような柔軟運用にもなっているとお聞きしますし、個々の事情に合わせて柔軟に働ける環境を整えていると感じます。
――日系企業よりもグローバル企業の方がダイバーシティーは進んでいる印象もあります。
蓮子:その通りですね。グローバル本社がミッションとして掲げているケースもありますし、海外の投資家は「女性社員がどれぐらいいるか」を気にすることも多いです。世界中のESGやダイバーシティーを活性化させるという目的意識を持った投資家もいるので、外資系のファームは女性やワーキングペアレンツが働きやすい組織づくりに注力している印象ですね。
また、カーライルさんは「マイノリティーの視点を取り入れることでこそ、付加価値を高められる」という考え方だとお聞きしたことがあります。均一化された視点だけでは同じものしか提供できない。そうした考えが根本にあることも、DEIが進んでいる理由なのでしょう。
写真一番左はファンド専門転職エージェントの蓮子氏