AI・データ領域のプロフェッショナルという生き方。―コンサルティング会社と事業会社の違いに迫る―

2023/03/29
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Chapter 1:AI・データに関わる3つの職種

一口にデータ領域のプロフェッショナルといっても、そこにはさまざまな役割が存在する。必ずしもこの分け方が正解というわけではないし、相互に乗り入れながらチームとして動くことが多いのも事実だが、大きく分けると以下の3つのカテゴリーに大別することができるだろう。「AI・データ領域のプロフェッショナルとして生きていきたい」という方は、まずは自分がどの職種を目指すのかを明確にイメージするといいのではないだろうか。

データ利活用プランナー(コンサルタント) データを活用したビジネスの高度化や新事業の企画・設計を担うポジション。クライアントや経営陣が思い描いているビジネスの実現に向けて、何が課題になっているのか、課題解決のためにはどんなデータが必要なのか。「ビジネス全体」と「データ利活用」の両側面で深い知見が求められる。今まで見えていなかったポイントが可視化され、既存事業や新規事業に反映されるところが大きなやりがい。データで世の中を変えていきたい、新しい仕組みや仕掛けを作っていきたいという人にお勧め。

データエンジニア(AIエンジニア) データ分析を行うための基盤整備、分析環境の構築と運用・改善を担当する。プランナーやコンサルタントとともに動くことも多い。企業の課題解決、サービスやマーケティングの進化、事業グロースにおけるデータ利活用を支える重要な役割。膨大なデータや複数の基盤が乱立している状況を整理して、適切なアーキテクチャを構築していく。数字の海の中に飛び込んで、着実に基盤を整える論理的思考力や技術力、誠実さが必要とされる。

データサイエンティスト エンジニアが構築した基盤をもとに、実際にデータを分析する役割。事業数値、商品・サービスの活用履歴、Web行動履歴といった構造データ、さらに画像・動画・テキストといった非構造データも併せて分析し、事業成長に有益な示唆を出す。機械学習などの知見や技術力がベースとなるが、企業によってはビジネスの観点も持ち合わせた上での提案まで求められることもある。自分は分析までに集中したいのか、それとも変革の提案まで担いたいのか。転職先企業を検討する際には、そうした部分もポイントになるだろう。

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Chapter 2:コンサルティングファーム・システム会社と、事業会社の違い

現在、この領域のプロフェッショナルには、大きく二通りの生き方がある。一つは、非事業会社であるコンサルティングファームやシステム会社に所属し、複数のクライアントに対してデータやAIを活用した業務効率化・サービス開発などを支援する生き方。そしてもう一つが、大量のデータを所有している事業会社で自社サービスの開発や成長にコミットする生き方だ。もちろんそれぞれに特徴があり、一概にどちらが良い、悪いという話ではない。自分自身の志向や実現したいキャリアに合わせて、最適な道を選ぶことが重要だろう。

コンサルティングファーム・システム会社 〇 ・データ利活用の戦略立案や仕組みの構築に集中して、幅広い業界に携わることができる ・【コンサル】外部環境調査や課題抽出のノウハウを習熟しやすく、特定のスキルをスピーディーに高められる ・【システム】最新のテクノロジーや知見に触れる機会が多く、自身の知的欲求を満たしやすい

△ ・基本的には提案するところまででプロジェクトが終わるので、実際の変革までやりきれない ・個人情報や機密情報の観点から、本質的なデータに触れられないというケースもある

事業会社 〇 ・提案して終わりではなく、企業やサービスが変革を遂げるまでやり切る醍醐味(だいごみ)を味わえる ・社内に存在するあらゆる情報にアクセスできるので、データの利活用に制限がない ・サービスやミッションに共感できる企業を選べば、自分にとっても社会にとっても意義のある仕事に打ち込める

△ ・責任を持ってやり遂げることが必要なため、地道で泥臭い作業が求められる場面もある ・選び方を間違えると、事業そのものがなくなったり、自分の興味が薄れたりするリスクがある

Chapter 3:ベネッセコーポレーションのケーススタディー

ベネッセとAIがどう関連するのかイメージが付かないという人も多いかもしれない。しかし、妊娠・出産支援から幼児教育、受験支援、ペットや生活に関わるサービス、介護領域までをカバーする同社には、「顧客の人生に関わるあらゆるデータ」が集約されている。つまり、AIを用いたデータ分析・利活用を推進するための最適な土壌が整っているということだ。

多くのエンドユーザーを抱える事業会社は他にも存在するが、純粋なデータ量とその奥深さにおいて、非常に突出した存在だと言えるだろう。ベネッセでは、AIを駆使してどのようなサービスを実現しているのか。アナリティクス・エンジニアリングの両面で同社のデータ利活用を推進している中野修平氏に話を聞いた。

〈Profile〉
中野 修平(なかの・しゅうへい)
株式会社ベネッセホールディングス データソリューション部
兼 株式会社ベネッセスタイルケア 介護DX推進部

コンサルティングファームや事業会社を経て2021年より現職。キャリアを通じてデータ利活用に関わるプロジェクトに従事。ベネッセではクラウドを用いた機械学習ソリューションの開発、データ分析によるプロダクト改善の支援など、アナリティクス・エンジニアリングの両面で同社のデータ利活用を推進している。

※内容や肩書は2023年3月の記事公開当時のものです

――これまでのキャリアと、ベネッセに転職することを決めた理由をお聞かせください。 ベネッセが4社目で、一貫してデータの利活用に関わってきました。キャリアの前半はコンサルティング会社でデータ分析基盤の構築支援をメインに、後半は事業会社で実際にデータを分析してサービスの改善につなげる役割を担っています。ベネッセの前も事業会社にいたのですが、人材が豊富にいて仕組みも整っていたので、担当領域が限定されていたんですね。もっと広範なスキルを身に付けたいと思い、幅広い領域に責任を持って取り組めるベネッセに転職することを決めました。

私は特定の事業にあまりこだわりはなく、「自身の経験やスキルで事業にどう貢献できるか」、「この仕事を通じてどんなスキルが得られるか」といった考え方で働いていることが多いのですが、ベネッセは多様な事業とデータを持っている会社なので私の志向には合っているなと感じています。



――コンサルティングファームと事業会社の違いはどんなところだと思いますか? コンサル時代はやはり支援する立場なので、サービスやプロダクトの改善に向けた意思決定に携わる機会はあまり多くありませんでした。それではビジネスへのインパクトを出しづらいですし、もし自分が担当したデータ基盤や分析結果に欠陥があったとしても、すぐに改善することはできません。一方で事業会社は、実際にKPIやユーザーの反応を見ながら自分の仕事の結果まで見届けることができます。ダメだった時はプロダクトを改善しながら再度数字をチェックできますし、そういったポイントは大きなやりがいになっています。


――ベネッセで取り組んでいるAI・データ利活用の取り組みについて教えてください。 例えば教育領域では、AIを活用した「アダプティブラーニング(適応型学習)」という考え方を取り入れています。学習者一人一人が、自分の学習状況やスタイルに合わせた学習内容に取り組める仕組みです。紙の教材では一人一人の学習スタイルに合わせていくことには限界がありますが、デジタル教材にAIを取り入れることで「ユーザーが苦手な分野を見つけ出し、重点的に取り組んでもらう」といったように細かい調整が可能になります。


――中野さんご自身はどんなプロジェクトに携わっているのでしょうか? 現在の担当は介護領域です。介護事業の課題の一つに専門性育成があります。例えば、認知症のご入居者さまへの対応には高い専門性が必要とされ、ご入居者さまのちょっとした変化を敏感に捉えて適切なケアを行うことができる熟練者の人数は限られているのが現状です。

ご入居者さまのQOL向上、現場負荷低減の両観点から育成は必須なのですが、1つの解決策として機械学習を使ったソリューションを導入しています。具体的には、熟練者の知見・観点を教師データとした機械学習モデルを構築することで、経験が浅い介護職でも熟練者に近い判断ができるようにシステムがサポートしています。

私の担当は、機械学習に必要なインプットデータを収集・蓄積・加工するための仕組みを構築することと、実際にそれらのデータから認知症や体調変化につながるご入居者さまの変化を検知するモデル構築。また、ご入居者さまの変化に応じてケア方針を提案するシステムの開発も推進しています。



――基盤構築はエンジニアリング領域で、実際にデータを分析するのはデータサイエンティストの領域だと思うのですが、両方担当されたのですか? そうですね。最初に申し上げた入社動機にもつながりますが、事業会社である以上ビジネス価値を創出する必要があり、そのためには価値を形にする技術力も大事ですし、技術で形にしたものを現場にどう使っていただくかというビジネス的な視点も重要だと考えています。したがって、1つの領域に限定することなく幅広い視点を持つように意識しています。

もちろん技術者として、どこかの領域に特化した強みを持っておくことは大切です。しかし自分の可能性を自分で限定するのではなく、隣の領域にも積極的に関与したり、コラボレーションしたりする姿勢が求められる会社だと思います。



――なるほど。すでにそのサービスはリリースされているのでしょうか。 2022年4月に第一弾をリリースしました。体温や血圧、脈拍、睡眠時間などの定量的なデータと、介護テキスト記録に残されているコミュニケーション内容といった定性的な情報。そういったご入居者さまの認知症の症状・体調変化の要因となり得るデータを、現場の介護職が解釈しやすい形式で提供することで、“ご入居者さまの変化を「なんとなく」ではなく根拠を持って把握できるようになった”、といったポジティブな声を頂けています。

リリース後も、外部とのアライアンスを強化して新たなデータを収集するなど、より多くの介護職にサービスを使ってもらえるよう、機械学習基盤のスケーリングに取り組んでいます。



――ありがとうございます。最後に、ベネッセのAI・データ利活用領域で求める人物像についてお聞かせください。 自分自身の経験からお話しすると、さまざまな事業ドメインやデータに触れたいのであればコンサルティングファームやシステム会社をお勧めします。多種多様なデータを扱うことで多くの分析手法を試す機会にも恵まれるので、技術の幅は広げやすいのかなと考えています。

一方で、ベネッセのような事業会社では、自身のエンジニアリング・分析の結果が事業にどう影響を与えるのかまで、責任を持って担当できます。それらの結果を見ながら、切り口を変えた分析を行いサービスを改善していく、といったサイクルをスピーディーに回せることがいいところだと考えています。

なので、ベネッセのサービスに興味を持って事業成長に貢献したいとか、データ利活用に関する幅広い知見を身に付けたいという方に来ていただけるとうれしいですね。現時点で高いスキルを持っている方はもちろん歓迎しますが、そうでなくても大丈夫です。それよりも、足りない部分は主体的に学ぶ姿勢や、他領域のメンバーとコラボレーションする力の方が大切だと思っています。

自分自身の強みを磨きつつ、データ利活用やビジネス全体について学びたいという方はぜひご応募ください。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
外資就活ネクストは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。