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SAP領域といえば、「SAP ERP 6.0」の標準保守期限終了によってもたらされる「2027年問題」に関心を寄せる人が多いかもしれない。しかし、SAPコンサルティングの最先端を走るJSOLの専務執行役員、増田裕一氏と、SAPに携わるフリーランス人材を支援するWonder Camel代表、和田淳史氏は、口をそろえて「本当の問題は2027年ではない」と指摘する。背景にあるのは企業ニーズの変化やAIの進化だ。今後の市場で選ばれるSAPコンサルタントには何が求められるのか。2人の見解を聞いた。
※内容や肩書は2025年4月の記事公開当時のものです。
顧客が求めるのは、絵に描いた餅ではなく「本当に実現できる変革」
――増田さんは前職の日本総研に勤務していたころからSAPコンサルティングに従事してきたと聞きました。
増田:私が新卒で日本総研に入社した1998年は、日本にSAPが入ってきた直後の時期でした。当時からSAPの要件定義やシステム開発を担当し、システムコンサルタント、プロジェクトマネジャーとして顧客に提案するなど、手を動かしながら現場に携わってきました。
和田:当時と比べればSAP自体が変わりましたが、SAPに関わるコンサルタントの在り方も変わってきたと感じますか。
増田:顧客企業の業務改革やDXに貢献し、経営に資するという根本は変わらないでしょう。ただ、技術を持った上で顧客の課題を本質的に解決する力は、以前よりも厳しく求められるようになってきたと感じます。
和田:近年では顧客側も、「頭の中で考える部分」の支援をそこまで必要としていないのかもしれませんね。
増田:はい。概念を描くだけではなく、どうやって実現していくか。それがコンサルタントの価値の源泉になってきているのではないでしょうか。私たちは絵に描いた餅で終わるのではなく、「それを実現するところまでやり切る」というスタンスでプロジェクトに臨んでいます。
――取り組むべきテーマも変わってきたのでしょうか。
増田:JSOLでは単一の顧客課題だけではなく、将来的に起き得る業界課題も見据えています。テクノロジーの面ではAIエージェントなどの最新技術をいかに活用していくかも重要なテーマです。
和田:私はさまざまなコンサルティングファームに関わっていますが、その中でもJSOLはSAPを軸にしつつ、広範なコンサルティングパッケージを提案していますよね。
増田:JSOLは会社の規模感が大き過ぎないこともあって、多くの領域のさまざまな課題を解決するために、最適なソリューションを組み合わせ活用する強みがあります。
2027年問題とAI。「技術の価値を理解して提案できる人材」の需要が高まる
――他社では、SAP専任の部隊を持つコンサルティングファームも多い印象です。
和田:大手企業を顧客とするプロジェクトでは100人を超える規模の要員が求められ、SAPを支援するだけで手いっぱいになってしまうこともあります。これは仕方がない部分なのかもしれません。
増田:これは会社によると思いますが、SAPのリソース不足やミッション、KPIによって、どうしても発生してしまうこともあるのではないでしょうか。本質的には顧客の課題解決につながる活動が重要ですが、現実的には上述したような制約要因もあり、なかなか本質的な提案ができないケースもあると感じます。
和田:JSOLがそうならないのはなぜですか。
増田:中長期的に人材が定着していることが大きいですね。顧客をさまざまな側面から見て、本質的な提案ができる。組織としても柔軟に最適な提案ができる。これがうまくかみ合っているのだと思います。
――業界内では、「SAP ERP 6.0」の標準保守期限が2027年末で終了となることを受けた、いわゆる「SAPの2027年問題」が関心を集めています。
和田:私もこの問題についてよく聞かれますね。2027年で全バージョンの保守が切れるという状況の中で、対応策を提案できるコンサルティングファームやSIerには顧客が行列をなしている状態です。手を付けやすいところから案件が動いていますが、業界全体の人材不足もあって見通しは不透明なままです。
増田:元々は2025年だった期限が2027年に延長されましたが、それでも多くの企業は対応が追い付いていません。保守料金を少し割高に払えば2030年まで延長する手もあるものの、それでも日本でSAPを導入する企業全ての対応が完結することはないとみています。
ただ、顧客のニーズの質は変化しつつありますね。プロジェクトをリードできるコンサルタントはますます足りなくなり、開発そのものはAIの活用などで充足していく。このギャップが広がっていくのではないでしょうか
和田:SAP領域以外では、プログラマーは生成AIにベースのコードを書かせ、仕上げのコーディングをするといった働き方が広がってきています。SAPでも同じことが起きそうですよね。こうした状況を踏まえ、コンサルティングの現場では開発ができるだけではなく、技術の価値を理解した上で提案できる人材の需要が高まっていくでしょう。
「理不尽な現実」を再現した研修が人を育てる
――求められるコンサルタント像の変化は、2027年よりも前に起きるということですね。そうした人材の育成は簡単ではないと思いますが、JSOLではどんな取り組みを進めているのですか。
増田:当社ではプロジェクトの実践知を共有することを重視しています。最近では新たなプロジェクトが始まる段階でプロジェクト開始前研修を行っています。Wonder Camelさんには人材の紹介だけでなく、トレーニングの面でも支援してもらっています。内容としては、コンサルタント向けのロジカルライティング研修、スライドライティング研修、またインターン向けの研修構築などです。
和田:JSOLさんに声を掛けてもらって人材の紹介だけでなく、研修の面からも支援しています。Wonder Camelでは自社の社員への研修も力を入れています。例えば自社の若手SAPコンサルタント向けに、大手コンサルティングファームと比較しても濃い学びを得られる研修を行っています。私がかつて在籍したコンサルティングファームでは4カ月の研修期間を経て、二つのSAP関連資格を取得していました。しかしWonder Camelではその半分の期間で四つの資格を取得します。だから本気で成長したい人が集まるんです。
ただ、資格を取るだけでは意味がありません。現場に出れば顧客の業務構造を着実に理解し、その上でどのようにSAPを構築していくべきかを提案しなければならない。そのため研修では、私が顧客役となる疑似プロジェクトを行います。
顧客はコンサルタントよりも知見が少ないため、どうしても理不尽な要求を出してしまうものです。そんな現実を研修でも再現して、顧客役の話をよく聞いて理解し、提案してもらうわけです。この研修を通じて、現場でコンサルタントがどのような役割を求められるのかを理解できます。
増田:この観点で研修を進めてもらえるのは、本当にありがたいと思っています。SAPそのものや技術の前に、コンサルタントとしてのマインドセットや論理的思考力、プレゼンテーションやファシリテーションなどのスキルを学べるため、現場でも成果を実感しています。
日本企業は本来、SAPなどを活用して生産性を高めていかなければいけないのに、人材不足によってブレーキがかかってしまっている状態です。現場の担い手を増やす人材育成の取り組みは、本当に重要だと感じています。
無理をすることが前提では、コンサルの本当の成果を発揮できない
――Wonder CamelではSAP人材に特化したプラットフォーム「quickflow」を展開しています。このサービスの概要を教えてください。
和田:quickflowは、技術を活用してコンサルティングができる人材を募り、人材を必要とする企業にマッチングするサービスです。
このプラットフォームを立ち上げた背景には、コンサルティングファームでの私の経験に基づき、さまざまな立場の人に柔軟な働き方を提供したいと考えたことがあります。例えば当社の社員には週3日だけ勤務し、週4日は他の好きなことをやっているメンバーもいます。一般的なコンサルティングファームでは、本業務以外に採用活動やCSR活動などにも時間を取られ、こうした柔軟な働き方はなかなかできません。
こうした状況の中、quickflowではフリーランス的な多様な働き方を希望し、顧客に価値提供できるスキルを持った人材を見極めて企業とマッチングしているのです。
――フリーランス的な働き方ができないことで、実力があるにもかかわらずコンサルティング業界を離れてしまう人もいるのでしょうか。
和田:コンサルの働き方に疲れてしまい、「収入が下がってもいいから他の業界へ転職する」という決断をする人は多いです。せっかく顧客に提供できる価値を持っているのに、働き方が原因で離れてしまうのはもったいないですよね。
私たちは、quickflowに登録してくれた一人一人と徹底的に対話し、納得できる働き方で、納得できる仕事をしてもらうことにこだわり抜いています。顧客との間でも対話を重ね、どんな案件で、どのような人材が必要なのかを本質的に理解するよう努めています。
増田:JSOLもワークライフバランスを重視しつつ、働きやすさとやりがいを感じられる環境づくりに注力しています。だからWonder Camelの考え方には深く共感します。コンサルタントには、精神的にも肉体的にも良いコンディションでプロジェクトに入ってもらうべきです。
コンサルタントというと、かつては無理をすることが前提のような見方もありました。しかしその状態で顧客に本当の成果を提供できるとは思えません。
和田:quickflowを通じてJSOLのプロジェクトに入った人材は、「以前よりも仕事を楽しめている」と話してくれる人が多いですよ。
所属や立場によって色分けしないJSOLだから、安心して人材を送り出せる
――増田さんはWonder Camelのサポートの中で、どんな部分に最も助けられていると感じますか。
増田:助けられているというレベルではなく、Wonder Camelなしで今の私たちのビジネスは成り立たないと思っています。適切なタイミングで適切な人材を紹介してもらい、トレーニングの面でも尽力してもらっていますから。
和田さんの言葉にあった通り、Wonder Camelはコンサルタント一人一人を本当に大切にしていると感じます。だからこそ、私たちが必要とするタイミングでベストな人材の協力を得られるのでしょう。
――Wonder Camelとしては、JSOLだからこそコミットできる部分もあるのでは。
和田:もちろんです。人材育成の面では、私たちも大いに助けられているんです。当社のメンバーがJSOLの研修に参加させてもらうこともありますし、コンサルティングスキルと技術を学べる現場としても、JSOLのプロジェクトはとても魅力的なんですよね。
また、JSOLには内部人材と外部人材を色分けして考える風土がないと感じています。所属や立場にかかわらずプロジェクトにコミットし、成果を重視しながらも一人一人の柔軟な働き方を認める。そうした根本的な部分で共感し合えているJSOLだからこそ、私たちも安心して人材を送り出すことができます。
――これからSAP領域に挑戦していきたいと考えている人や、再びSAP領域で活躍したいと考えている人へメッセージをお願いします。
増田:SAPのプロジェクトは大変困難を伴うケースもあるようですが、当社では基本的に全てのプロジェクトを成功させています。なぜなら、当社ではプロジェクトマネジャーから現場メンバーまで、全員が業務と技術を熟知しているからです。そうした高水準の仕事に関心を持てる人は、コンサルタントとして変革を実現するスキルを身に付けられると思いますし、JSOLで力を発揮できるでしょう。
和田:当社には、新卒の段階で大手ファームなどを希望しながらもかなわなかった人が、再チャレンジの機会を求めてやって来ることも多いんです。妥協のないトレーニングを行った上で一人一人の希望を理解し、最適な場所へアサインしています。また、社会にインパクトを与える仕事がしたいと思いつつ、プライベートの事情で働き方が制限される人も多いでしょう。そんな人たちにも、安心・納得して活躍できる新たな場を提供していきたいと考えています。