コンサルからPEファンドへの転職|総合・戦略・FASでの違いと求められるスキル

1. PEファンドの基本 業務内容や転職のメリット
PEファンドは未上場企業に投資して企業価値を高め、売却によりリターンを得る投資機関です。投資実行からバリューアップまで一貫して企業と向き合う点が特徴となります。
PEファンドとは、プライベート・エクイティ・ファンドの略であり、未上場企業や事業部門などに投資し、企業価値を高めたうえで売却、いわゆるExitし、リターンを得ることを目的としたプロフェッショナル投資機関です。一般社団法人日本プライベート・エクイティ協会によると、日本のPE市場は年間200億ドル超の案件総額を記録しており、安定した成長曲線を描いています。
PEファンドの業務は大きく分けて投資実行フェーズとバリューアップフェーズに分類されます。投資実行フェーズでは、投資候補先企業の選定から始まり、財務デューデリジェンスやビジネスデューデリジェンスを通じた詳細な企業分析、バリュエーションによる適正価格の算定、そして実際の買収契約締結までを担当します。この段階では、LBOモデルを用いた投資リターンのシミュレーションが極めて重要な役割を果たします。
バリューアップフェーズでは、投資先企業の経営に深く関与し、事業戦略の見直しやコスト構造の改革、デジタルトランスフォーメーションの推進などを通じて企業の「稼ぐ力」を最大化させます。営業・マーケティングの強化支援においても、トップラインの成長戦略に直結する領域で提案力と分析力が重宝されます。そして最終的には、IPOやM&Aによる事業売却など、収益を最大化するためのExit戦略を実行します。
投資前からExitまで一貫して企業と向き合うのがPEファンドの仕事の本質です。PEファンドは、ファンドに出資しているLP、すなわちリミテッドパートナーに対して期待されるリターンを実現することが第一義的な目標となります。
1-1. コンサルティングとの決定的な違い
コンサルタントの役割は、企業の課題に対して提言を行う「外部の専門家」です。確かに高度な分析力や提案力は求められますが、実際の実行フェーズはクライアント側に委ねられることも多く、責任の所在は明確に「アドバイザー」にあります。
あるとき、クライアントの事業部のトップと「この企業への出資は戦略上非常に有意義なので、絶対に交渉を成功させましょう」と話していたにもかかわらず、最後の最後でその会社のトップがいきなり、出資先への強硬姿勢を取ったことで戦略が頓挫する、というようなケースがコンサルでは多々あります。こういった、ガバナンスが機能していないことが要因で物事が進まないというケースを複数経験した方も多いのではないでしょうか。
これに対して、PEファンドは自社の資金を投じて企業に関与する「当事者」です。PEファンドなら、株式を50パーセント以上保有したうえで、比較的強く「この赤字の拠点を閉じてください」とか「この拠点の売上予算が未達なので、一緒にアクションを考えましょう」といった具合にドライブしながら、会社を変革することができます。ガバナンスを効かせられるというコンサルにはないPEファンドの特徴を活かして企業を良くしたいという動機は、多くのコンサル出身者がPEファンド転職を考える理由の一つとなっています。
このように、関係性の深さ、責任の重さ、コミットメントの強さが、両者の決定的な違いです。PEファンドで働くということは、単に戦略を考えるだけではなく、自らの意思で資本を投下し、その成果に責任を持つということです。
以下では他にもコンサル出身者がPEファンドに転職するメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。
1-2. 高水準の年収とキャリー
PEファンドの報酬体系は、成果主義が基本であり、年収1500万円から3000万円超の水準が一般的です。加えて、Exit成功時にはキャリー、すなわち成功報酬が支給される場合もあり、努力が報われやすい環境と言えるでしょう。
キャリーの原資は、最終的なキャピタルゲインから投資家への分配などを除いた金額になります。例えば、100億円の回収資金のうち20パーセントほどの分配を受けることになるとすると、分配金は20億円となります。投資担当者が10人いれば、1人当たり平均2億円という計算になります。シニアクラスになるとキャリーも大きくなり、相場環境次第では1億円クラスの年収を手にする人もいます。
コンサル業界では、マネージャークラスくらいまではプロジェクト単位でのパフォーマンスでお給料が決まります。一方、PEファンドでは投資案件の成功が直接的に報酬に反映されるため、より明確な成果と報酬の関係性があります。20代後半で、キャリーを除いたベース年俸と賞与だけで報酬が2000万円アップした事例も報告されています。
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