国内の成功を超えて、世界へ。Jリーグ変革の最前線と、その“内側”で伴走するA.T. カーニー
sponsored by A.T. カーニー

Jリーグは今、大きな転換点に立っている。発足から30年にわたり国内で土台を築いてきたリーグが直面しているのは、「世界のサッカーマーケットの中でどう存在感を示していくか」という問いだ。その答えは、理想論ではなく現実と真正面から向き合う中で導き出さなければならない。
そうした変革の最前線で、戦略の構想から実行まで伴走しているのがA.T. カーニーだ。単なる外部支援ではなく、組織の内側に入り込み、難度の高い意思決定を支え続けている。本稿では、JリーグとA.T. カーニーが描く未来像と、その現場で共に歩む人材に求められる姿をひもといていく。
※内容や肩書は2026年2月の記事公開当時のものです。
国内の成功を土台に、世界へ踏み出す。Jリーグが掲げた「二つの成長軸」
――創設から30年以上がたち、Jリーグの“現在地”と“未来”をどのように捉えていますか。
野々村:これまでの30年は、新たなスポーツリーグを「国内にどう根付かせて、価値を生み出すか」に必死で取り組んできたフェーズです。0から1を作り上げるためには絶対に必要な期間だったと思います。
ただ、ある程度安定してきた今、改めて外に目を向けると、かつて収益規模が同程度だった海外リーグが、現在は世界の巨大産業に成長しています。一方で日本はそこまでの成長は遂げられていません。これからのJリーグは、「世界のマーケットでどう勝つか」を本気で考える時期に来ていると感じています。
――そうした状況の中で、「トップクラブがナショナルコンテンツとして輝く」と「60クラブが地域で輝く」という二つの成長戦略を定めたわけですね。
野々村:その通りです。世界に向かうことだけを考えると、どうしてもバランスを欠いてしまいます。国内にはまだ生まれたばかりのクラブもありますし、地域社会と一緒に価値を生み出すというのは、Jリーグが大切にしてきた本質でもあります。
それと同時に、トップチームが国際的なマーケットで評価される存在にならなければ、リーグ全体の成長は見込めません。この二つは対立するものではなく、むしろ両輪です。両方を推進することでJリーグ全体が強くなる。だからこそ、この二軸での成長を掲げたわけです。
――世界で戦うリーグになるために、今特に重要だと考えているポイントはどこでしょうか。
野々村:選手一人一人に「ここでプレーしたい」と思ってもらうこと。これに尽きると思います。そのために必要なのは、やはりまず給料が高いことです。これはごまかしようがない現実で、リーグやクラブが十分な収益を上げなければ、良い選手を呼ぶことも引き留めることもできません。だからクラブの収益をどう伸ばすか、リーグ全体のビジネスをどう大きくするかは、全ての前提になります。
もう一つは、そのリーグでプレーすることで成長できるかどうかです。今の若い選手にとっての競争相手は、国内ではなくヨーロッパの同世代です。同じレベルで高いパフォーマンスを発揮できる環境を用意しなければ、Jリーグで戦いたいとは思ってもらえないでしょう。その一環として、シーズンを8月開幕に変えるなど、コンディション面も含めてベストな状況でプレーできる環境づくりにも注力しています。
そして三つ目が、日本ならではの価値をしっかり伝えていくことです。「治安が良くて、家族と安心して暮らせる」「スタジアムの雰囲気も良く、満員の中でプレーできる」「世界的に見ても育成の裾野が広い」。これらはお金や競技力とは別の軸で、確実に日本の強みだと思っています。
単に海外リーグの後を追うのではなく、日本独自の良さを生かしながら、収益性や競技環境も高めていって、世界の選手や投資家たちに正しく価値を伝えていく。そこまで含めて、リーグとしての使命だと考えています。
Jリーグの変革を前に進める伴走者。A.T. カーニーと築いた関係性
――そうした変革を進める中で、A.T. カーニーとはどのような関係性を築いてきたのでしょうか。
青影:Jリーグは、掲げている目標のスケールに対して、組織規模は約200人と決して大きくありません。日本を代表するスポーツコンテンツを扱ってはいますが、内部リソースだけではどうしても手が届かない領域もあります。そこで以前から、多くのコンサルティングファームや専門家の皆さんと協働してきました。
その中でA.T. カーニーさんには、単発の支援ではなく長期で伴走するパートナーとして関わってもらっています。特に印象的だったのは、参画初期段階からの圧倒的なキャッチアップの速さと深さです。こちらが「そこまでやるのか」と感じるほど時間をかけてJリーグを理解しようとしてくれたことが、信頼関係の土台になっています。
野々村:まさにそこが本質ですよね。過去にもいろいろなコンサルタントと仕事をしてきましたが、「じゃああなたがやってみなよ」と思うケースも正直ありました。サッカーの世界はそんなに簡単ではありません。しかしA.T. カーニーの皆さんは、その難しさをちゃんと理解した上で向き合ってくれていると感じます。
――A.T. カーニー側としては、Jリーグとの仕事で特に意識していることは何でしょうか。
小崎:Jリーグは、コンテンツとしての魅力は非常に大きい一方で、グローバルで見ればまだ成長余地も大きくある。その可能性の大きさに、私自身も強く引かれました。単にスポーツビジネスに関わるという意識ではなく、皆さんが持つ熱量や本気度に同じ目線で応えたいという気持ちを強く持っています。
朴:Jリーグの皆さんは本当にパッションが強い。その熱量に追い付くには、同じだけの当事者意識が必要になります。サッカー経験の有無よりも、「本気で理解しようとする姿勢」が重要です。
私自身、元々多少のサッカー経験はあり、海外サッカーも長く見てきました。ただ、正直に言うと、Jリーグを支援する立場になるまでは、スタジアムの熱量や空気感については、画面越しで体感していた程度にとどまっていたという自覚があります。
だからこそ、最初の数カ月は意識的にスタジアムに何度も足を運び、同時に海外リーグの事例も改めて徹底的に調べました。実際に現地で応援している人たちの熱量を肌で感じることで、ビジネスとしての解釈だけでは捉え切れない、地域とクラブとのつながりといったサッカーの公益的な側面を、しっかり押さえることができたように思います。そういった積み重ねがあってこそ、初めて同じ土俵に立って議論ができるのではないでしょうか。
野々村:簡単じゃないことを分かった上で、一緒に考え続けてくれる。その姿勢こそが、信頼できる理由ですね。
構想を構想で終わらせない。変革のスピードをどう高めていくのか
――A.T. カーニーが関わることで、実際にJリーグの取り組みはどのように変わってきているのでしょうか。
青影:メインで支援してもらっているのは、リーグ全体の経営戦略を俯瞰(ふかん)しながら検討していく部分です。Jリーグとしても、これまでも中期計画を策定してきましたし、野々村がチェアマンに就任した後も成長戦略は常に議論してきました。
ただ、内部にいる人間だけではどうしても視野が固定されてしまう部分があります。そうした状況に、日常的に戦略を考えている外部の視点が加わることで、「本当にそこを深掘りするべきか」「この仮説は検証する価値があるのか」といった質の高い議論ができるようになったと感じます。
野々村:私はずっとサッカーの世界にいるので、「こうなったらいいよね」「もっとこうしたいよね」というイメージはたくさん持っています。でも、それを実現するには時間もエネルギーもかかります。A.T. カーニーが入ってくれて何が変わったかというと、その“実現までのスピード”ですね。私たちの頭の中にある構想を、きちんと形にして前に進めてくれる存在だと思っています。
小崎:チェアマンから出てくるアイデアは、過去の延長線上ではなく非連続なものが非常に多い。私たちも驚かされる一方で、「それは本当に成立するのか」「Jリーグに関わる多様な関係者が納得できるのか」を検証する必要があるわけです。A.T. カーニーとしては、関係者へのヒアリングやグローバルの事例・データを使って仮説を立案し、どこまで推し進めるべきか、どこにリスクがあるのかを整理する役割を担っています。そうすることで、「面白いアイデア」が「実現可能な戦略」に変わっていくのだと思います。
青影:「これがあったらいいよね」で終わるのではなく、一歩踏み込んで「じゃあ何をやるのか」「どこまでやるのか」を突き詰めていく。そのプロセスを、かなり速いスピードで回せるようになってきているという手応えがありますね。
――そうした取り組みを通じて、Jリーグは今「変革期」にあると捉えていいのでしょうか。
野々村:そうだと思います。ただ私としては常に変革し続ける必要があると考えているので、もし10年後もこのポジションにいるとしたら、その時も同じことを言っているかもしれません。
世界のサッカーマーケットは常に動いています。プレミアリーグがさらに成長するかもしれないし、アメリカやアジアが次の主役になるかもしれない。その中で、日本がどういうポジションを担うのかを考えて、本気で動いていく必要があると考えています。
変革の起点となるのは“人”以外にない。JリーグとA.T. カーニーが求める人材像とは
――変革を前に進めていく上では、どのような人材が必要になるのでしょうか。
青影:内部か外部かという区別はあまり意識していません。それよりも、急激な成長ステージを迎えている今、本気で一緒に取り組んでいける人を求めています。構想を描くだけでなく、現実の制約も踏まえながら前進し続けていく。そんな人と一緒に仕事ができればとても心強いですね。
野々村:結局、変革の起点となるのは“人”なんです。私はよくサッカークラブのチームづくりに例えるのですが、試合に出るのは11人でも、日々のトレーニングの雰囲気をつくっているのは所属しているメンバー全員。もちろんそこには、選手もいればコーチもいるし、後ろを支えるスタッフもいます。変革期の組織も同じで、多様な特徴や強みを持った人がいて初めて前に進むことができる。目立つ役割ではないとしても、それぞれの立場でチームを動かしてくれる人が欠かせないと思っています。
――A.T. カーニーで活躍できる人物像についても聞かせてください。
小崎:ロジカルであることは大前提ですが、それだけでは足りません。中に入り込む熱量と外部の冷静な目線を併せ持ち、状況を的確に整理した上で難しい課題や解決策を分かりやすく言語化する力が必要です。その上で、「この人の言うことならやってみよう」と思ってもらえるかどうか。そうした人間性も含めて評価される世界です。
朴:WILL、つまり「本気でやりたい」という気持ちがないと続かないし、信頼も生まれないですよね。付け加えるなら、きれいな理屈だけでなく、現場で起きていることをきちんと受け止める姿勢が重要だと思います。前提や背景、これまでの経緯も含めて理解できるように努めていく。その過程で違和感があれば、一度立ち止まってとことん議論する。その積み重ねの中で、本音で議論できる関係が生まれていくのだと信じています。
野々村:本当にその通りで、変革期は正解が見えない中で決断をし続けなければいけません。だからこそお互いの信頼関係が重要だし、やりがいも大きいのではないでしょうか。新しい歴史をつくるタイミングに本気で関われる機会は、そう多くはないでしょう。そうした環境で挑戦したいと思う人と一緒にやっていければうれしいですね。