「世界最大級のプラットフォーム」だからこそ実現できる投資の深さ×広さ 前例なき価値創造の最前線

2026/03/10

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世界最大級のプライベートエクイティ(PE)投資会社であるベインキャピタルは、各国・地域の拠点の専門性を結集し、クロスボーダーかつクロスプラットフォームで複雑な投資案件に挑んでいる。PEに加え、不動産やライフサイエンスといった複数のプラットフォームを横断して活用し、単一のチームやアプローチでは実現できない価値創造につなげている。

今回は、ヘルスケア領域を中心にPE投資を手掛ける河本信太郎氏、ヨーク・ホールディングスの案件を担当する佐藤惇平氏、不動産チームでリアルアセット投資に携わる金舒曼迪(マンディ・ジン)氏の3人にインタビューを実施。「経営の当事者として企業と深く向き合いたかった」「複雑な課題に対し、チームで解を出し続ける環境に身を置きたかった」という彼らの言葉から、投資の深さと広さ、そして働き方の実像に迫る。

〈Profile〉
写真右/河本信太郎(こうもと・しんたろう)
プライベートエクイティチーム・プリンシパル
2007年、野村證券に入社。13年間在籍し、投資銀行部門でM&Aアドバイザリーやヘルスケアセクターの法人営業に従事。2020年、ベインキャピタル入社。ヘルスケアセクター担当として投資からイグジットまでを一貫して手掛け、現在は田辺ファーマの案件に従事。
同左/佐藤惇平(さとう・しゅんぺい)
プライベートエクイティチーム・シニアアソシエイト
2017年、PwC Strategy&(旧ブーズ・アンド・カンパニー)入社。約3年半の勤務を経て、米国コロンビア大学にて経営学修士号(MBA)を取得。在学中にインターンを経験し、2022年にベインキャピタルに入社。現在は投資チームに身を置きつつヨーク・ホールディングスの経営支援に従事。
同中/金舒曼迪(マンディ・ジン)
不動産チーム・アソシエイト
新卒入社した野村アセットマネジメントにて日本株投資を担当。その後、外資系不動産ファンドへ転職。2024年12月、ベインキャピタル入社。不動産チームにて、不動産・インフラなどのリアルアセットへの投資に加え、クレジット案件や不動産を多く保有する企業へのコーポレート投資にも従事。

※内容や肩書は2026年3月の記事公開当時のものです。

戦略から実行へ 当事者として価値創造に関わるという選択

──PEファンドでのキャリアを意識するようになったきっかけを教えてください。

河本:新卒で入社した野村證券で、13年間にわたりM&Aアドバイザリーや企業の資本戦略に関わってきました。企業の将来を左右する意思決定の現場を数多く経験する一方で、私は外部の助言者であり最終的な意思決定やM&A後の企業変革には直接関与できない立場でした。次第に「取引を成立させること」以上に「企業がどう成長するか」に責任を持って関わりたいと考えるようになったのです。

佐藤:前職のコンサルティングファームでは、課題を構造化し戦略を提示する経験を積みましたが、提示した戦略が実行されて結果に表れるところまでを自分の責任として見届ける機会は多くありませんでした。提案後の変革はクライアントに委ねられる。その距離感にもう一歩踏み込みたい思いがあり、マジョリティ投資家として企業の成長に直接コミットできるPEファンドに引かれました。

──その中でも、なぜベインキャピタルを選んだのでしょうか。

河本:ベインキャピタルは難易度の高い案件に対しても前例にとらわれず取り組む姿勢が際立っていました。リスクばかりを見るのではなく「どうすれば乗り越えられるか」を考え抜き、論点を詰めながら最後までドライブしていく推進力が魅力だと感じました。

佐藤:多くのコンサルバックグラウンドの人が活躍しており、自分もここで充実した日々を過ごせるイメージを持てたからです。正解が用意されていない環境でも思考を止めず、チームで突破口を探し続けるカルチャーが魅力的だと思いました。

──金さんは不動産チームという、異なる立ち位置ですね。どのような期待を持って入社したのでしょうか。

:ベインキャピタルの不動産チームは、投資対象と投資手法の両方において柔軟性が高い点に魅力を感じました。実際、不動産アセットへの投資にとどまらず、レンダー(貸し手)としてのクレジット投資の視点も持てますし、コーポレート買収に関わる案件もあります。多様なアングルからディールを作るのが一番の魅力だと考えています。 description

──働き始めて、前職との違いを感じた点はどこにありますか。

佐藤:視座と、結果への責任の重さです。アドバイザリー業務はスコープが決まった中で特定テーマに向き合うのが主眼となる一方、PE投資は会社全体を俯瞰(ふかん)して、本質的に意味のあるテーマ・成長余地を見極める必要があります。自分たちの立てた仮説が投資判断につながり、成果にも責任にも直結する。その緊張感の中で思考が鍛えられていると感じます。

河本:同感です。当社では企業をどう成長させるかまで見据えて意思決定を行います。短期的な成果だけでなく、中長期での価値創造を考え続ける点は、アドバイザリー時代とは大きく異なります。

国境を越えた連携が可能にする、高難度案件への挑戦

──ベインキャピタルの大きな特徴の一つが「クロスボーダー」での連携です。具体的にはどのように機能しているのでしょうか。

河本:単に海外拠点があるだけではなく、それぞれの地域にいる専門性の高いチームが日常的に深く連携している点が特徴です。私が担当している田辺ファーマの案件では、日本と米国のチームがほぼ毎日、成長施策や企業変革に関して立ち上げた各プロジェクトに関するミーティングを行い、非常に細かい議論を重ねています。この案件は、日本のPEチーム、米国のPEチーム、そして米国のライフサイエンスチームという三つのチームが連携して進めました。特に重要だったのがライフサイエンスチームの存在です。彼らが新薬パイプライン(開発中の新薬候補)の価値評価やライセンス活動などの事業開発を担当し、日本のPEチームが企業変革の戦略策定・実行支援を主に担っています。

──パイプラインの評価とは、具体的にどのようなことを行うのですか。

河本:まだ売り上げを生んでいない開発中の新薬が将来どの程度の収益を生むかをパイプラインのメカニズム、臨床試験の開発データ、市場性および競合パイプラインとの差別化などを、サイエンスと収益性の両観点から総合的に分析しています。例えば、新規メカニズムの筋の良しあしの見立て、有効性と安全性はどうか、米国食品医薬品局(FDA)の承認確率が何%あるか、最適な臨床試験のデザインはどうあるべきか。これらを見極めるには、博士号やメディカルドクターの資格を持ち、実際に製薬会社などでパイプラインの価値評価をしていた経験を有する専門家の知見が不可欠です。一般的なPEファンドの機能では、事業の収益性の精査はできても、サイエンスの観点での新薬の評価や承認確率までを精緻に見極めることは不可能です。米国のライフサイエンスチームには創薬や臨床開発のバックグラウンドを持つメンバーが多く在籍しており、彼らは「この薬は日本あるいは海外でどれくらいの価値が出るか」という点を具体的に見立てることが可能です。 description

──実際の議論はどのように進んでいったのでしょうか。

河本:事業変革を通じた価値評価とパイプライン評価を別々に考えるのではなく、お互い密接に関連する両方の観点を統合的に検討していきました。米国のライフサイエンスチームが評価した科学的な側面や成功確率、市場性を、私たちが企業全体の事業計画に落とし込み、議論で擦り合わせていく。この「事業変革」と「パイプライン評価」の両輪がそろって初めて成立する投資でした。どちらか一方だけでは、この難易度の高い案件に取り組むことは厳しかったと実感しています。

協働が切り開く、投資手法の垣根を越えるアプローチ

──もう一つの特徴である「クロスプラットフォーム」についても教えてください。PEと不動産といった異なる投資手法は、どのように連携しているのでしょうか。

佐藤:クロスプラットフォームの象徴的な事例が、日本のPEチームと不動産チームが一体となって取り組んだヨーク・ホールディングスの案件です。この案件では、小売事業の成長戦略と同時に店舗という不動産の価値をどう最大化するかが重要な論点になっていました。

──具体的にはどのような検討が行われていたのでしょうか。

佐藤:PEチームでは、小売事業そのものの収益改善や成長戦略を検討します。一方で、不動産チームは適正賃料の算出も含めた店舗への第三者テナント誘致戦略や、店舗リノベーションによる価値向上など、不動産の観点からアプローチします。これらを別々に進めるのではなく、同じモデルの中で統合的に検討していきました。

:例えば、リノベーションを行うことで店舗の集客力が高まり収益が向上する一方、工事期間中は一時的に営業を停止する必要があります。その休業が事業全体の収益にどの程度影響するのか、また長期的にどれだけ価値が向上するのかをPEチームと一緒に細かくシミュレーションしていきました。

──不動産価値と事業運営を同時に考える点が特徴的ですね。

:そもそも一般的な不動産ファンドでは、「人が介在する(コーポレート要素の強い)資産」は投資対象のアセットから除外されるケースが多いです。事業運営が絡むと純粋な不動産投資として整理しにくくなるため、取り組みたくても制約上アプローチできない場合があるためです。一方で、ベインキャピタルの不動産チームにはそのような制約がありません。事業と不動産が複雑に絡み合う案件であっても柔軟にアプローチできる点が特徴であり、当社の不動産チームの大きな魅力だと感じています。

佐藤:PEチームとしても、不動産の専門組織が社内にあることで外部に依存せずスピーディーかつ深い検討が可能になります。事業戦略と資産戦略を同時に描けるため、より実効性の高い施策を打ち出せると感じています。 description

──クロスプラットフォームの強みはどんな点にあると考えますか。

:ヨーク・ホールディングスの案件では、PEチームと不動産チームがそれぞれの強みを持ち寄り、検討から実行まで一体となって進めました。小売事業と不動産という二つの論点があり、片側を動かすともう片方にも影響が出る点は、バリュエーション上難しい部分でした。両者の動きをうまくかみ合わせるには、当初から同じディールチームで並走しながら、実現可能性も踏まえて最大価値が出る計画を組み立てられることが重要で、そこにクロスプラットフォームのメリットがあると考えています。

佐藤:複数の視点が交わることで単独では見えなかった価値創造の可能性が広がります。クロスプラットフォームは単なる連携ではなく、投資の質そのものを高める仕組みだと思います。

不確実性を楽しみ、「正解のない問い」にチームで挑む

──難易度の高い案件に向き合っていることが伝わってきます。こうした環境で活躍するにはどのような姿勢が求められますか。

河本:複雑な問題解決そのものを楽しむことです。私たちが扱う案件は他のファンドが諦めるような難易度の高いものも多く、すんなりとはいきません。手探りで試行錯誤しながら「どうすれば実現できるか」を見つけ出していく。そのプロセス自体に面白さを感じられる人が向いていると思います。

佐藤:アドバイザーとして関わる仕事と違い、私たちはプリンシパル、つまり意思決定の主体です。どこまで踏み込み、どのタイミングで判断するか、その全てが自分たちの責任になります。だからこそ、最後までやり切るオーナーシップが欠かせません。途中で難しい問いにぶつかっても、粘り強く解を探し続ける姿勢が求められます。

:正解がない局面が多いので、その不確実性を前向きに捉え、面白がりながら仮説を立てて動ける人が向いていると思います。不動産チームでは、視野を広げながらさまざまな視点をつなげられる人がフィットします。不動産・クレジット・コーポレートなど複数の要素が絡むので、最初はどこか一つに強みがあること自体は問題ないですが、その一つの専門性に限定せずに、全体最適を考えて学び続けられる人が合うと思います。 description

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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