PEファンドの“顔”になる―金融と経営をつなぎ投資家と並走する「ファンドIR」という仕事

2026/04/24
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ニューホライズン キャピタル(NHC)は2002年の創業以来、120社以上の投資実績と2900億円超の累積運用資産総額を持つ独立系PEファンドだ。5号ファンドの立ち上げを前に、同社の投資チームでフロントを担当するジョン ヨンフン氏が、ファンドレイズや投資家対応などのインベスター・リレーションズ(IR)を担当する「ファンドIR」の黒沢洋一郎氏、谷合昌之氏に、その役割の醍醐味(だいごみ)を聞いた。

〈Profile〉
写真中/黒沢洋一郎(くろさわ・よういちろう)
マネージング・ディレクター
ジャフコ(東京、米国。現ジャフコ グループ)で、1990年代初頭からPE投資関連業務のほか、米国有力投資会社の支援を受けたIT系企業のCFO等を経験。2003年にフェニックス・キャピタル入社後、マネージング・ディレクターに就任。2006年、ニューホライズン キャピタル設立に際しパートナーとして参画。現在はファンドIR、チーフESGオフィサーを務める。上智大学卒、東北大学大学院修了、慶應義塾大学大学院修了(MBA)。
同左/谷合昌之(たにあい・まさゆき)
マネージング・ディレクター
中央信託銀行(現三井住友信託銀行)入社後、法人融資業務や不動産投資業務に従事した後、PE投資子会社(現トラスト・キャピタル)に出向。投資業務のほか、ファンドレイズ、投資家対応等のIR業務を主導。三井住友信託銀行帰任後は、PE投資運用業務を担当。2022年にニューホライズン キャピタル入社。一橋大学法学部卒。
同右/ジョン ヨンフン
アソシエイト
野村総合研究所にて、日本をはじめ韓国、中国の自動車メーカー、総合電機メーカー、総合商社、PE等に対する、中期経営計画策定、新規事業検討、ビジネスデューデリジェンス、M&A・アライアンス戦略等のコンサルティングに従事。2024年3月にニューホライズン キャピタル入社。投資案件のソーシングから投資実行、バリューアップ、Exitまでを担当しているほか、海外投資家を対象としたファンドレイズにも参加。ESG室も兼務している。上智大学総合人間科学部卒。

※内容や肩書は2026年4月の記事公開当時のものです。

役割や専門性に注目が集まる「ファンドIR」

ジョン:私はNHCで投資のフロントを務めています。出身は韓国で、上智大学を卒業した後、野村総合研究所で事業戦略などのコンサルティングに従事し、2年前にNHCに入社しました。ESG室を兼務しているほか、海外投資家を対象としたファンドレイズにも携わっています。

PEファンドの仕事というと、私のような投資側のフロントをイメージする人が多いと思います。一方で、ファンドIRは非常に重要かつ専門的な職種でありながらも、まだあまり知られていないようにも感じます。

今日は黒沢さん、谷合さんにファンドIRという仕事について話を聞きます。まずは、経歴を教えてください。 description

黒沢:私は一貫して、機関投資家からの資金調達とファンドIRに携わってきました。

以前は未上場企業への投資を行うVCのジャフコにいました。シリコンバレー在住が長く、主に年金基金、大学基金やファンド・オブ・ファンズなどの、北米の投資家の出資を受けているファンドのIRを担いましたが、投資先IT企業のマネジメントを行ったこともあります。

ジョン:NHCでは、どのような仕事をしていますか。

黒沢:ファンドレイズや機関投資家とのコミュニケーションを担当していますが、ファンドIRのもう一つの重要な役割として、ファンドの企画も行っています。投資家のニーズや時代の変化に即した新しいファンドを開発するのも、私たちの仕事です。

例えばNHCでは2022年に、コロナ禍で疲弊した企業の再建を支援する事業再生ファンド(ポストコロナ・リカバリーファンド)を立ち上げていますが、これも、パンデミックという社会の状況に応じて私たちが企画したものです。PE投資は、他の「融資」などの金融機能に比べて設計の自由度が高く、フレキシビリティがあります。さまざまな社会課題の解決に向けてその仕組みを生かしながら、クリエイティビティも発揮できる仕事です。

それから、ジョンさんと一緒にESG室を兼務しています。世界的な投資家のESG志向の高まりにも応じて、NHCの掲げる「意義ある投資(meaningful investment)」というパーパスの実現に向け、ESG投資に関する仕事にも注力しています。

ジョン:谷合さんはバックグラウンドが違っていて、銀行出身ですね。

谷合:私は新卒で中央信託銀行(現三井住友信託銀行)に入り、REITをはじめとする不動産の投資事業などに携わった後、PE投資子会社に出向し、投資のフロント業務やファンドのIR業務に従事したのが、今の仕事につながる転機となりました。非常にやりがいを感じていたのですが、銀行ですので当然人事異動があります。ファンドIRの業務から離れたことがきっかけで転職を考え始め、縁があってNHCに参画しました。

それが4年前の2022年なのですが、当時ちょうどNHCは新しいファンドを立ち上げるタイミングで、新天地でチャレンジするにはぴったりの環境でした。 description

ジョン:2022年は4号ファンドの立ち上げの時期でしたね。今年は後継となる5号ファンドの立ち上げがあります。ファンドの規模も拡大していて、ますますファンドIRの役割が重要になっていきそうです。

一方で、スモールからミッドサイズのPEファンドでは、まだ専任のファンドIRチームを持つところは珍しいようですね。

黒沢:大手は分業が進んでいるので専任チームもありますが、中小規模だと兼務が多いようです。PEファンドの重要性が高まり、また、投資家の多様化も進む中、ファンドIRの役割や専門性に注目が集まっていると感じます。

「プロの投資家」を相手に関係性を構築

ジョン:ファンドIRは、どんな役割を果たしているのでしょうか。

谷合:PEファンドは、自身の資金で投資するのではなく、外部の投資家の資金を預かって投資し、報酬を得るというビジネスモデルです。ですからファンドIRは「売り上げの源泉となる資金を獲得する仕事」と言い換えることもできます。

それだとセールスパーソンのように聞こえるかもしれませんが、やっていることは大きく異なります。私たちの場合は、投資家から預かった資金を元に、自社で組成したファンドを自社で運用しますから「買ってもらって終わり」ではありません。長期的に、高度で専門的なコミュニケーションを行うことが求められます。

純粋に経済的リターンを追求したい投資家もいれば、その投資がもたらすビジネスチャンスを獲得したいという投資家も、社会的な意義を求める投資家もいます。そういった、個々の投資家のニーズをしっかりと理解し、それに応えながらファンドの魅力を伝えることが必要です。

ジョン:ファンドIRが“ファンドの顔”と呼ばれるゆえんですね。「高度で専門的なコミュニケーション」が求められる役割とのことですが、どういうことでしょうか。

黒沢:ファンドIRの役割の特徴を二つ挙げるとすると、一点目は相手が「プロフェッショナルの投資家」であることです。私たちが日々向き合っているのは、投資家の中でも、「適格機関投資家」という、金融商品取引法で定義される、専門知識や経験を持った投資の専門家です。こうしたプロの投資家は、想像以上にさまざまな事象に関心を持っています。

日本経済や世界経済はもちろんのこと、中東やウクライナなど各地の地政学的な状況、社会の変化にもアンテナを張っていますし、文化的な素養も高い。金融知識は当然必要ですが、おのずと会話にも高い教養や総合力が求められます。

二点目は、扱っている商材が「企業」であることです。私たちが扱うのは未上場企業の株式ですが、それは「会社そのもの」です。企業に投資し、株式を保有するだけでなく経営も担うわけですが、その経営の良しあしが、その後の投資家の利益に直結します。企業経営について投資家にしっかり説明し、理解してもらう必要がありますから、企業経営への深い理解も必要です。 description

フロントとは異なる「時間軸」や「視点」

黒沢:投資側のフロントも、企業経営の知識やスキルは必要ですが、違いを挙げるとすると、見ている時間軸や視点でしょう。フロントは、投資先企業の経営に深く入り込み、その会社そのものを担います。一方私たちファンドIRは、ファンド全体を見ています。長いとはいえ、ファンドの期限もあるので時間的な制約も生まれますし、投資先も複数あるのでポートフォリオ全体を見る必要がある。投資家のニーズも考えますから、時には厳しい判断をせざるを得ないこともあります。

ジョン:フロントとIRでは、立場が異なりますから意見や視点の違いも生まれます。私もフロントとして、いつも黒沢さんや谷合さんからはファンドIRの視点を教えてもらい、非常に勉強になっています。

フロントの私から見ていても、非常にダイナミックで、広い視野や幅広い知見と、個別の投資家への理解の両方が求められる、面白い仕事だと思います。

谷合さんは、他の金融商品を扱うIRと比べると、PEファンドのIRにはどのような違いがあると感じますか。

ファンドの魅力をどう伝えるか

谷合:PEファンドの投資リターンの源泉は、株式市場や為替相場の変動でも、不動産価格の上下でもありません。未上場企業の株式は、公開されたマーケットが値付けするものではないのです。私たちNHC自身で投資先企業の本源的価値を上げていくことに尽きます。

そしてファンドIRは、どんな経営施策が奏功したために価値が向上したのかといった要因を分析し、投資家に説明しなくてはなりません。当然ながら、必ずうまくいくわけではないことは投資家も理解しているので、その場合は、うまくいっていない理由も説明してNHCとしての今後の教訓としていく必要があります。投資家に納得してもらえなければ、「そんなファンドには資金を託せない」となってしまいます。その意味では、ファンドIRの投資家とのコミュニケーションが、非常に重要なのです。

そこが、上場株式やREITなど金融商品のIRとの違いだと感じます。

「投資家とのネットワーク」がソーシングやバリューアップの強みを生む

ジョン:NHCでは、私たち投資側のフロントとファンドIRの距離が近く、例えば私はESG室で黒沢さんと一緒に仕事をしていますし、海外投資家に向けたファンドレイズにも関わっています。ファンドIRも、フロント寄りの仕事をすることがありますね。

谷合:投資先企業の価値を高めることに、私たちが貢献できることも多いです。ファンドIRは機関投資家とのネットワークがあるので、例えば投資先企業がM&Aの相手先を探しているときに、機関投資家の銀行に取引先企業を紹介してもらったりすることがあります。

機関投資家は、ファンドに資金を提供する投資家というだけではなく、ファンドにおける投資活動上のパートナーにもなり得ます。ファンドIRが持つネットワークがソーシング能力やバリューアップ能力の強化につながって、競争優位性を生むことがあるのです。

また、私たちは日々、さまざまな施策を駆使して投資先企業のバリューアップを図っているわけですが、そのノウハウを活用して、機関投資家の金融機関が抱える経営課題解決に貢献することもあります。例えば「今度、こんな事業開発をしようと思っているが、NHCではどんなやり方をしているのか」「新しい事業に必要な人材はどう獲得・育成したらいいか」などの相談を受けることがあります。

つまり、単なる「ファンドの運用機関」としての役割を超えて、金融機関経営の根幹に触れることもあるのです。重責でもありますが、非常にやりがいのある仕事です。

知的好奇心が強く「人が好きな人」

ジョン:ファンドIRには、どんなスキルや経験、資質が必要ですか。

黒沢:財務や金融の知識は必須です。しかし、扱うのは不動産商品や上場株ではないので、経営への興味関心がある人がいいと思います。

よく、投資のフロントの仕事について、非常に幅広い分野のスキルや知識、経験が求められることから“知的総合格闘技”という例えが使われますが、実はファンドIRも同様だと感じます。いろいろなものに関心を持ち、文化や社会の話題、経済、世界情勢など、知的好奇心が強い人。それから、コミュニケーションが好き、人が好きな人には、ぴったりだと思います。

ジョン:黒沢さんと谷合さんほど経験豊富なファンドIRがいるチームは、ファンドIRというプロフェッショナルを目指すには最高の環境ですね。それに、今年は5号ファンドの立ち上げがあるファンドレイズイヤーなので、このキャリアに挑戦するにも素晴らしいタイミングといえそうです。

黒沢:私たちがこれまで立ち上げてきたファンドの規模は、着実に拡大しています。5号ファンドもさらなる成長を見込んでおり、ファンドIRの活動も一層拡大するでしょう。既に、世界的に高まる投資家のESG要請などにも応じて、グローバルな仕事も増えつつあります。

谷合:ファンドの成長につれて、投資家の数も増えますし、ファンドレイズの仕事の領域も、対象となる投資家層も広がります。海外投資家はもちろん、これまでとは異なる属性の投資家層を開拓していくことになります。

ですから、今いるメンバーとは違うキャリアや能力、経験を持つ仲間にぜひ加わってほしいです。既存の顧客基盤をしっかりと維持しつつ、将来のファンドレイズの主役となってくれる人に来てほしいですね。 description

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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