AI時代の本質を問う。テクノロジーが進化するほど、人の価値は研ぎ澄まされる
sponsored by A.T. カーニー

2026年1月、A.T. カーニー日本法人は新たな体制へ移行した。6年間にわたり日本代表を務めた関灘茂氏からバトンを受け取ったのは、シニアパートナーの針ヶ谷武文氏だ。今回の代表交代は、単なるトップ人事ではない。創業以来の「Essential Rightness(本質的な正しさ)」と、「日本を変える、世界が変わる」という志を受け継ぎながら、AI時代にふさわしい価値創出の在り方へとかじを切る節目でもある。テクノロジーが急速に進化する今、A.T. カーニーは何を変え、何を変えないのか。新代表と前代表の言葉から、その現在地を読み解いていく。
※内容や肩書は2026年5月の記事公開当時のものです
A.T. カーニーの新体制が掲げる「不変」と「変革」
――今回の代表交代は、A.T. カーニーの日本法人にとってどのような意味を持つのでしょうか。
関灘:A.T. カーニーでは、グローバルの主要なリーダーシップポジションのリーダーは一定の周期で交代します。日本法人でも1期3年、最大2期を基本としていて、私自身も6年の任期を終えるタイミングでした。後任の選定にあたっては、グローバル代表が来日し、パートナー一人一人に対して「2026年以降の日本に必要なリーダーの要件は何か」を丁寧にヒアリングした上で、最終的に針ヶ谷にバトンが渡ったという経緯です。
その理由は大きく三つあります。一つ目は、コンサルタントとしての圧倒的な地力があること。二つ目は、AIをはじめとするテクノロジーの急速な変化の中で、新しい付加価値の創造を主導できること。そして三つ目は、個性あふれるとがった人財のパッションや潜在能力を引き出せることです。
A.T. カーニーは「Culture is our strategy」という考え方を大切にしている会社です。だからこそ、変化の時代に組織を前に進めるには、事業だけでなくより良い文化を創ることができるリーダーが必要でした。
――針ヶ谷さんは、この新体制をどのように受け止めていますか。
針ヶ谷:正直に言えば、最初から自分がその役割を担うと認識していたわけではなく、一定のサプライズもありました。ただ、関灘のコメントにもあった通り、今のA.T. カーニーに求められているのは、従来の強みに立脚しながら、AI時代の変化を捉えていくことだと思っています。
私はこれまでテクノロジー寄りの領域に長く携わってきました。2026年は、企業がAIと本格的に向き合い、経営レベルで意思決定していく「AI元年」になる。そのタイミングで、自分の経験を組織全体の進化につなげていくことには、大きな意味があると感じています。
――新体制において、「変えるもの」と「変えないもの」の両側面について聞かせてください。
針ヶ谷:まず、変えないのはA.T. カーニーの核である“志”です。「日本を変える、世界が変わる」という言葉は、関灘の時代に明確に打ち出されたものですが、実はもっと以前から、私たちの中に一貫して流れていた価値観をうまく言語化したものだと思っています。日本企業を良くすることが、日本を、そして世界を良くすることにつながる。そのために、創業以来の「Essential Rightness(本質的な正しさ)」を追い求める。この姿勢は、これからも決して変わりません。
一方で、変えるべきなのは、その志を実現するための手段です。私自身、就任後に改めて他のパートナーたちと対話を重ねる中で、基本の価値観は共有されていると確信しました。その上で、これからの3年はテクノロジーにぐっと振っていくこと、そしてインダストリーの枠を超えて価値を出すことを、より強く進めていきたいと考えています。理念は不変。一方で、価値提供の在り方は進化させる。その両立こそが、新しいA.T. カーニーの姿だと思っています。

AIを“効率化”で終わらせない。競争力の“中核”へと踏み込み、企業経営を変えていく
――先ほど針ヶ谷さんが2026年を「AI元年」だと位置付けた理由を教えてください。
針ヶ谷:生成AIそのものは、ここ数年で一気に普及しました。個人レベルで使う、あるいは一部業務の効率化に活用する、といった意味では既に大きく変化しています。その中で私が「AI元年」と言ったのは、「企業が腰を据えてAIと向き合い、経営レベルでどうインパクトを出すかを本気で考え始める時期に来た」という意味です。
これまでは「AIは重要だ」という認識はあっても、全社としてどう使い、どこを変えるのかについては、まだ様子見の企業も多くありました。けれど今は、もはや向き合わないという選択肢はありません。個別業務の効率化にとどまらず、経営の在り方そのものに踏み込んでいくフェーズに入ったと感じています。
――そうした時代において、A.T. カーニーはどのような価値を提供しようとしているのでしょうか。
針ヶ谷:方向性は、業界や企業によって異なります。ヒューマンタッチなサポートが大きく変わる業界もあれば、重要な意思決定や分析にAIを活用していく分野もあるでしょう。業界特性やオペレーションによって、打つべき手は変わってきます。
ただ、共通しているのは、AIを単なる効率化ツールとして終わらせないことです。これからは、各企業の「競争力の源泉」になる部分そのものにAIが入っていく時代です。価格の決め方、マーケティング資源の配分、調達の最適化など、これまで人が設計し、人が判断していた領域にまで踏み込んでいきます。だからこそ私たちも、「AIを活用しましょう」と提案するだけで終わってはいけない。経営や事業の構想を、実際に機能するAIの仕組みにどう落とし込むかまで伴走する必要があると考えています。
――どのような手法でAIを実際に機能する仕組みにまで落とし込んでいくのでしょうか。
針ヶ谷:大切なのは、構想と実装を分断しないことです。クライアントと議論する中では、「この意思決定プロセスを変えたい」「こういう業務の在り方を実現したい」といった先進的なアイデアが出てきます。それを本当に機能する形にするには、構想を描くだけでは足りません。何をどんなロジックで動かすのか、どこまでをAIに任せ、どこを人が担うのかまで落とし込んで、初めて価値になります。
そこで難しいのが、仕様の理解度を擦り合わせることです。純粋なプログラミング作業だけなら外部に委ねられる部分もありますが、その前段にある「どういう思想で設計し、どう仕様化するか」という中核部分は、外に切り出しにくい。プログラムの動き方を理解しながら、経営や事業の意図も踏まえて設計できる人が必要になるからです。
そこを分業しようとすると、認識のずれが生まれやすく、先進的な取り組みほど難しくなります。だから私たちは、AIのコア部分は内製する必要があると考えています。構想だけでも、実装だけでもなく、その間をつなげるところにこそ、これからのコンサルティングの価値があると言えるでしょう。
――AIがこのまま進化を続けても、人間にしか提供できない価値は何だと思いますか。
針ヶ谷:私は、AI時代にコンサルタントが担う役割は三つあると考えています。一つ目は問いを立てること。二つ目は、経営者の意思決定を促すこと。三つ目は、現場を動かして本当の意味で変えることです。
特に後ろの二つは、人にしかできない部分が大きいですね。どれほど優秀な経営者も、常に確信を持っているわけではありません。そんなとき、どのタイミングで、どんな言葉を差し込めば相手の腹落ちにつながるのか。あるいは、現場の人たちが慣れ親しんだやり方を手放せないときに、どう寄り添い、どうやって納得してもらうのか。こうした心の機微を読み取りながら人を動かす力は、少なくとも現時点ではAIには代替しにくい部分です。テクノロジーが進化すればするほど、人への深い関心を持てる人の価値は、むしろ高まっていくと思います。

生きがい、オタク、感動。求めるのは、“何でもできる”人よりも“独自の強みを伸ばせる”人
――どんな人に「これからのA.T. カーニー」に加わってほしいと考えていますか。
針ヶ谷:自分なりの強みや志を持ち、それをさらに伸ばしていきたい人です。従来のコンサルティングファームでは、ある程度何でも高いレベルでこなせることが、一つの理想とされてきました。しかしこれからの時代は、必ずしも一人で全てを完結できる必要はありません。問いを立てるのが得意な人もいれば、経営層との対話を通じて意思決定を前に進めるのが得意な人もいるでしょう。そうした異なる個性を持つ人たちが組み合わさることで、より大きな価値を出せる組織になっていくはずです。
関灘:私も基本的には同じ考えです。その上で少し捕足すると、やはり仕事に対して強い思いを持てる人に来てほしいですね。自分は何に心が動くのか、どんなテーマに没頭できるのかが明確な人は強い。2024年から私は「生きがい」「オタク」「感動」という言葉の意味合いと重要性を、担当しているアジアの各国メンバーに共有してきました。自分が本気で向き合いたいテーマを持ち、それを世界水準で深く突き詰める。その先に、クライアントや社会の期待を超える価値の提供、周囲の心が動く感動の提供まで実現できる人が理想です。このような理想に共感できる人は、A.T. カーニーにとても合っていると思います。
――コンサルティング経験の有無は問わないのでしょうか。
針ヶ谷:もちろん、経験者の方が立ち上がりやすい面はあります。ただ、それが絶対条件だとは考えていません。むしろ大切なのは、これまで培ってきた経験を生かしつつも、必要に応じて自分をアップデートしていけることです。事業会社で深い専門性を培ってきた人や、テクノロジーの実装に強みを持つ人など、これからのA.T. カーニーにとって必要な人材像は、以前よりずっと広がっています。
大事なのは、「自分はここでどんな価値を出したいのか」という意思があることです。そのアスピレーションがある人は、バックグラウンドにかかわらず活躍できる余地があります。
関灘:環境が人を育てる部分も大きいですよね。A.T. カーニーには、本質的に正しいことを考え抜こうとする人や、パーパスを持って仕事に向き合う人が多い。そういう人たちに囲まれることで、自分自身の基準も自然と引き上がっていくはずです。
――最後に、A.T. カーニーで働く魅力を改めて教えてください。
針ヶ谷:A.T. カーニーは、コンサルタントとして、そしてビジネスパーソンとして本当の意味で地力が身に付く場所です。産業や機能をまたいで本質を捉え、変化の大きい時代の中で、新しい価値のつくり方に向き合っていく。その過程では当然難しさもありますが、だからこそ自分の強みを磨きながら、社会や企業に対してより大きなインパクトを出せるようになります。そういう成長を求める人にとっては、とても面白い環境です。
