産業の境界が薄れる時代に、生活者起点の変革を

2026/08/19

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治療だけでなく予防・未病・疾患啓発まで広がるヘルスケア領域。健康志向の高まりを受け、生活者の価値観や行動理解がより重要になっているコンシューマー領域。その交差点で、ローランド・ベルガーのHealth & Consumer Platformは、生活者・患者・消費者を起点とした企業変革を支援している。この場所では、戦略コンサルタントとしての基礎スキルだけでなく、事業会社での経験や研究開発の知見、生活者としての実感も大きな武器になるという。

産業の境界を超えるテーマに、どう向き合っているのか。そして、そこで活躍するのはどのような人材なのか。4人の言葉から、同プラットフォームで広がるキャリアの可能性を探る。

〈Profile〉
写真右端/松本渉(まつもと・わたる)
シニアパートナー
東京大学文学部卒。総合商社を経て2004年から2008年までローランド・ベルガーに在籍。その後、再生系コンサルティングファームを経て2021年よりローランド・ベルガーに再参画。公認会計士。
食品、飲料、家電、化粧品、アパレル、レストラン、ホテル、小売りなどの消費者向け産業を中心に活動。事業会社やファンドの投資先におけるPMI(買収・合併後の統合)や業績改善、事業再生、組織構造改革等のプロジェクトを多数経験。特に暫定経営者として株主・従業員・取引先等の利害を調整し具体的な結果に結び付ける実行型支援の実績が豊富。近年はDX導入に向けた全社組織改革にも注力している。
写真左端/徳本直紀(とくもと・なおき)
パートナー
京都大学大学院農学研究科修了後、ローランド・ベルガーに入社。その後、ヘルステックAIスタートアップにてCOOとして組織・事業の立ち上げや研究開発を含む幅広い実務マネジメントを担い、再びローランド・ベルガーに参画。製薬、医療機器、病院、コンシューマーヘルスなど、ヘルスケア産業のクライアントに対し、Go-to-Market戦略、新規参入、AI・デジタル活用、M&Aなど、企業の成長加速に向けた支援に豊富な経験を有する。従来の医療産業の枠を超え、一気通貫のPatient Journeyを実現するためのコンサルティングに注力している。
写真左から2番目/黒田夕貴(くろだ・ゆき)
プロジェクトマネージャー
慶應義塾大学学士、University of London, SOAS修士。新卒でローランド・ベルガーに入社後、事業会社の経営戦略部門で新ブランド開発などを経験し、再び同社へ。現在はプロジェクトマネージャーとして主に消費財領域を担当し、多様な関係者に寄り添う伴走型コンサルティングで組織変革を支援している。
写真右から2番目/田谷野るな(たやの・るな)
コンサルタント
北海道大学大学院生命科学院生命科学専攻修士課程を修了し、2025年4月に中途入社。前職では大手消費財メーカーにて、消費財の研究開発・事業開発をはじめ、化学品分野の事業開発、新規事業開発、知的財産戦略に幅広く従事した。研究開発と事業の両面にまたがる知見を強みに、多角的な視点で新たな価値創出に取り組んでいる。

※内容や肩書は2026年8月の記事公開当時のものです。

従来の業界区分では、生活者のニーズを捉えきれない

――まず、Health & Consumer Platformがどのような組織なのか教えてください。

松本:ヘルスケア関連産業と消費者向け産業のクライアントを支援するプラットフォームです。ヘルスケアは製薬会社や医療機器メーカー、病院などの領域ですね。コンシューマーは、食品、飲料、化粧品、アパレル、小売りなど、消費者向けの産業を指しています。

徳本:ヘルスケアとコンシューマーは、それぞれ非常に専門的な知見が求められる領域です。一方で、近年の業界全体の動きを見ると、徐々に境目が薄くなっていることも間違いありません。

ヘルスケア領域では、治療だけに閉じていては、薬や医療サービスの価値を十分に発揮しづらくなっています。予防や未病、疾患啓発といった領域まで踏み込まなければ、患者さんに正しいタイミングで価値を届けることが難しい。逆にコンシューマーの領域では、食品や飲料を中心に健康志向が強まっています。そういう意味で、両者がクロスしていく動きは今後さらに加速すると考えています。 description

――なるほど。企業や市場の変化について、さらに具体的に教えてもらうことはできますか。

徳本:例えば製薬会社でいうと、これまでは薬を開発して、患者さんに届けることが中心的な役割でした。ただ、がんや認知症、フレイル(加齢に伴う心身の衰え)などは、症状が表れてから治療するだけでは限界があります。もっと早い段階で診断や介入につなげなければ、薬の価値を最大限発揮できないのです。

そのためには、病院の中だけを見ていても足りません。症状が出ていない人をどう発見するのか、疾患啓発をどう行うのか。Patient Journeyの上流まで広げて考える必要があります。その際に、生活者の欲求や行動を捉えるコンシューマー領域の視点や専門性が重要になるというわけですね。

松本:コンシューマーの側でも、同じような変化が起きています。食品や飲料の市場では、健康への影響をどう捉えるかがますます重要になっています。従来の延長線上で商品を提供するだけではなく、新しい市場をどう開拓するのか、健康に資する価値をどう生み出すのか。そのためのケイパビリティを各企業が獲得していく必要があります。

グローバルでは、食品・飲料メーカーがヘルスケア領域に踏み込む動きも以前から進んでいます。一方で日本企業は、まだ本格的なシナジーを生み出せている事例が多いとは言えません。だからこそ、今後の変革余地は大きいと見ています。

Health & Consumer Platformでは、ヘルスケアとコンシューマー双方の知見を掛け合わせながら、生活者・患者・消費者を起点に、業界の枠を超えた変革と新しい価値創出を支援しています。

「正しさ」だけでは届かない。生活者に選ばれる価値をどうつくるか

――ヘルスケアとコンシューマーの知見が掛け合わさることで、具体的にはどのようなプロジェクトが生まれているのでしょうか。

徳本:少し前に、製薬会社の新規事業として「健診ビジネス」の立ち上げを支援しました。

製薬や医療の世界では、広告上の規制も多くありますし、正しいことを正しく伝えることが非常に重視されてきました。一方で、健診のように受診者が自分で費用を払う領域になると、「受けたい」と思ってもらうためのブランディングやマーケティングが重要になります。つまり、コンシューマー寄りの発想が求められるわけです。

このプロジェクトでも、「製薬会社だからこその信頼性や正当性をどう生かすか」と同時に、「生活者にとって魅力的な価値としてどう届けるか」を、メディカル部門やマーケティング部門の方々と徹底的に議論しながら進めていきました。

松本:人は「健康になりたい」という思いだけでは、なかなか動きません。不健康や病気は避けたいけれど、積極的に健康になろうという強い欲求は生まれづらい。そこで、もっと美しくなりたい、若々しくいたい、はつらつと生きたいといった別の欲求と健康を結び付ける必要があります。これはまさに、コンシューマー領域の知見が生きる部分です。 description

――クライアント企業にとっても、全く新しい考え方が必要になるわけですね。

徳本:まさにそうです。サイエンスやメディカルの世界で長く経験を積んできた方々が、コンシューマーの領域にあるエモーショナルな価値をどう捉えていくか。ここは、今後も多くの企業にとって課題になると思います。

だからこそローランド・ベルガーでは、戦略を描くことに加え、新しい領域に踏み込むためのカルチャーやマインドの変革まで支援しています。

――なるほど。田谷野さんは入社から1年余りだそうですが、印象深いプロジェクトはありますか。

田谷野:私が印象に残っているのは、入社後すぐに携わった日本食の海外展開に関するプロジェクトです。どの国に展開すべきかを分析する中で、GDPなどの定量情報だけでなく、その国で日本食がどう受け止められているのか、健康への意識や食文化、日本文化への印象がどう違うのかまで掘り下げていきました。

国によって、健康に対する考え方は全く違います。味や栄養バランスの良さを重視して日本食を選ぶ国もあれば、見た目の良さが評価される国もある。食は健康や生活と切り離せないのだと実感しましたし、各国の価値観や行動まで踏まえて示唆を出していくプロセスは非常に面白かったですね。

入社直後でしたが、特定の国の分析を任せてもらい、クライアントへの発表や質疑応答も担当しました。未経験であっても前に出る機会をもらえるのは、ローランド・ベルガーらしいところだと思います。

“正解”は一つじゃない。だからこそ、多様な視点がプロジェクトの武器になる

――Health & Consumer Platformでは、どのようなスキルやバックグラウンドを持つ人が活躍しているのでしょうか。

黒田:非常に多様なメンバーが集まっているチームですが、大切なのは、これまでの経験や生活者としての感覚を自分の強みとして生かせることだと思います。

私自身は新卒でローランド・ベルガーに入社した後、化粧品メーカーの経営戦略部門と、ヘルスケアを扱う別の戦略ファームを経て、また当社に戻ってきました。事業会社で特に学んだのは、一つの正論だけでは組織は動かないということです。

コンサルタントとしては、「正しい分析に基づく戦略なのだから、実行すればいいじゃないか」と思ってしまいがちです。でも事業会社に身を置いたことで、組織にはいろいろな立場や価値観を持つ人がいて、それぞれなりの“正解”があるのだと実感しました。その思いや本音を理解しなければ変革は進みません。だから今も、資料を説明するだけでなく、率直に対話しながら共通認識をつくっていく姿勢を大切にしています。 description

田谷野:私も、前職での経験が生きていると感じる場面は多いです。消費財メーカーで研究開発や事業開発に携わっていたので、関連するプロジェクトに入ることもありますね。

――例えば、どのような場面で生きているのでしょうか。

田谷野:印象に残っているのは、化粧品ブランドの市場性を評価するプロジェクトです。データ上は市場としての魅力が見えていても、その成長が一過性のものなのか、生活者の習慣として根付いていくものなのか、数字だけでは判断しきれない部分がありました。

そのときに、前職で培った商品や市場への理解に加え、自身がユーザーとして商品に触れてきた実感も踏まえ、「これは一過性のトレンドではなく、習慣として根付くはずだ」という示唆を出すことができたのです。黒田の言うように、これまでの経験や生活者としての感覚は、プロジェクトの中で大きな強みになると実感しました。

黒田:特にコンシューマー領域は、生活者としての実感が生きる場面が多いですよね。女性が意思決定者になりやすい商材では、当事者だからこそリアルな仮説を持てることもあります。属性そのものというより、自分の経験や感覚をきちんと言語化して、プロジェクトの価値につなげることが大事なのだと思います。

松本:ローランド・ベルガーでは、そうした個々人の違いや個性を前に出すことを大事にしています。コンサルタントとしての基礎スキルはもちろん重要ですが、それだけではなく、その人がどんな経験をしてきたのか、何に関心を持っているのかも、プロジェクトの中で武器になります。異なる視点が掛け合わさることで、クライアントに対する示唆の幅が広がり、深さも増していくのです。

田谷野:本当にそう思います。入社前は、戦略コンサルタントとして王道のキャリアを歩んできたわけではないため、不安もありました。でも実際に入ってみて、ローランド・ベルガーでは個人の違いをむしろ強みとして見てくれる文化があると実感しています。

ずっとコンサルタントを経験してきた人にできて、私にできないことも当然あります。でも逆に、違う場所で経験してきたからこそ生きることもある。自分の経験や、仕事以外のパーソナリティーも含めて、違いは必ず強みになるのだと感じています。 description

昨日の自分を超え続ける。個性を持ち寄り、変革に挑むチームへ

――今後、Health & Consumer Platformにはどのような人に来てほしいですか。

徳本:やはり、パッションを持っている人ですね。これから、日本企業や産業は大きく変わっていかなければなりません。その変革に対して強い関心を持ち、自分も関わりたいと思える人と一緒に挑戦したいと思っています。

もちろん、ヘルスケアやコンシューマー領域の経験・知見を持つ人は歓迎です。ただ、それだけにこだわるつもりもありません。自分の知らない世界を吸収したい、まだ見たことのない領域にチャレンジしたい、そうした思いがあれば、きっと成長できるはず。専門性を起点にしながらも、自分の領域を広げていくことを楽しめる人には、とても刺激的な環境です。

黒田:個人的には、自分の成長に貪欲な人と一緒に働きたいです。コンサルタントは、成長すればするほど、また新しい挑戦が見えてきます。若手のうちは若手なりの、プロジェクトマネージャーにはその立場なりの難しさや面白さがある。もちろんプレッシャーもありますが、「昨日の自分より少し良くなっている」ことを楽しめる人なら、この環境で成長し続けられると思います。

田谷野:私は、先ほども言った通り「違いを強みとして持ち込める」人に来てほしいですね。コンサルタント未経験でも萎縮する必要はありません。私自身、学生時代の研究や事業会社での経験を、実際のプロジェクトで生かすことができています。自分なりの強みを持って、「この個性で戦うのだ」という気持ちで飛び込んできてもらえれば、活躍の機会は大きく広がっていくはずです。

松本:ローランド・ベルガーでは、会社が敷いたレールに沿って成長していくのではなく、個々人が「これを実現したい」「こんなふうに成長したい」という思いを持ち寄るところからスタートします。そうした思いが掛け合わさることで、組織としても大きく成長するのです。

だからこそ、自分自身のアスピレーションを持ち、それを発信できる人に加わってほしい。Health & Consumer Platformは、そうした思いや個性を起点に、これからさらに可能性を広げていきます。ヘルスケアとコンシューマーの境界が変わり続ける中で、自分の意思を持って新しいテーマに挑みたい人と、新しい価値を生み出していきたいですね。 description

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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