「学歴ハンデを乗り越えるコツは、今やっている仕事に打ち込むこと」。偏差値50の大学出身の私が、外資系コンサルに転職できた理由

「外資系コンサルティングファームに勤めるには、高学歴が必要」。学歴にハンデを感じ、自分には無理だと諦めている人は少なくないのではないでしょうか。
しかし今回取材した山上透さん(仮名)は、偏差値50前後の地方大学出身者であるにもかかわらず、初めての転職活動で外資系コンサルティングファームへの転職に成功しました。その成功要因はどこにあったのでしょうか?
今回は山上さんに「外資系コンサルの内定を獲得できた理由」「実際に外資系コンサルファームで働いてみた感想」「学歴ハンデを乗り越えるコツ」について、お話を伺いました。
・偏差値50でも外資系コンサルに面接1回でほぼ内定獲得!評価されたのは「学生時代のアルバイト経験」!?
・外資系コンサルに入って感じるのは、学歴ハンデよりも「最低努力値の差」。深夜3時までハードワークする日も
・学歴ハンデを乗り越えるコツは、「他人に自信を持って話せるくらい、今やっている仕事に打ち込むこと」
偏差値50でも外資系コンサルに面接1回でほぼ内定獲得!評価されたのは「学生時代のアルバイト経験」!?
ーーまずは経歴について教えてください。
山上:大学は地方のごく普通の大学でした。偏差値でいうと50前後でしょうか。東京でいうと日東駒専と大東亜帝国の間ぐらいのレベルの大学だと思います。
その大学を卒業後、新卒ではある外資系メーカーの日本支社に入社しました。3年ぐらい働きましたね。ここではデジタルマーケティングや法人営業、プロダクトマネジメントなどに携わりました。
その後、転職活動を経て現在の外資系コンサルティングファームに転職しました。今はビジネストランスフォーメーションチームに所属しており、幅広い業界に対してマーケティング戦略や事業戦略の立案、コールセンターの構想策定や業務改革のプロジェクトにアサインされています。
ーーなぜ、コンサルティング業界を受けたのですか。
山上:新卒のころは業界や職種にはこだわりがなく、「カスタマー領域」「年齢関係なく活躍できる」という軸だけで就職活動をしていました。転職の時も同様で、大学時代のコールセンターでのアルバイトの経験やメーカー時代のマーケティングの経験を生かせる仕事を探しました。
そこで行きついたのがコンサルティング業界だったのです。「これだ!」と思ってからは、コンサルティング業界に絞って企業研究を進めました。
ーー外資系ファームの面接の内容を教えてください。
山上:1次面接では、一般的なインタビュー面接が行われたあと、フェルミ推定のケース面接をして終わりでした。時間にして合計1時間弱だったと思います。
2次面接にはパートナーが出てきてたのですが、「いつ入社できる?」という意思確認のための面談を20分だけでしたね。だから、ほぼ1次面接であっけなく内定が決まってしまいました。
ーーかなりスムーズな転職活動だったようですが、自分の何が評価されたと考えていますか?
山上:評価された理由なのですが、私が大学時代にやっていたアルバイト経験だったようなのです。
ーーアルバイト、ですか?
山上:はい、今所属しているチームがコールセンターのプロジェクトを手掛けているのですが、採用が決まってからマネージャーがこう教えてくれました。
「君がアルバイトしていたコールセンターの実務経験だよ。コールセンターの構想策定や業務改革のプロジェクトで、即戦力になる人材だったと思ったから採用したんだ」
実は今いるファームにはコールセンターの実情を知っている人間がほぼおらず、現場感覚を持っている人材が欲しかったのだそうです。
私は大学時代に、コールセンターでアルバイトしていました。ただ、何も考えずに働いていても仕方がないと思ったので、できるだけ上に行こうと努力して学生ながらスーパーバイザーまで昇進していました。
アルバイトの立場でも、新しいスタッフの研修担当や、一次受けで対応しきれなかったクレーム対応の巻き取りも担当していました。その経験がまさか評価されるとは……。
ーー面接でそのお話はご自分からされたのですか?
山上:いえ、面接官から聞かれたので話しました。新卒のころもこのエピソードは役に立ちましたが、まさかコンサルファームの面接でも使えるとは思いませんでしたね。
ただ他の外資系コンサルも、途中で辞退しましたが最終面接まで進んでいたので、このエピソードは汎用的に評価されたのだと思います。
外資系コンサルに入って感じるのは、学歴ハンデよりも「最低努力値の差」。深夜3時までハードワークする日も
ーー書類選考や面接に際して、何か特別な対策はしましたか?
山上:コンサル業界の面接対策本を一通り読んだくらいで、他に特別なことは何もしていませんね。
転職エージェントへも登録していたのですが、ほぼ自力で活動を進めていきました。
というのも最初に職務経歴書を自分で書いてエージェントに提出したのですが、大したフィードバックもなく先方に提出されたのです。「これなら特に頼る必要はないな」と思ってしまいました。
ーー面接で特に意識したことはありますか?
山上:実績など数字で語れる定量的な部分と、「人を巻き込んでプロジェクトをリードした」などの定性的な部分のバランスを意識しました。
数字で語ることも重要ですが、コンサルはあくまで人対人の仕事なので、定性的な話も重要だと考えたからです。
ーー実際に転職をしてみて、外資系ファームはどうですか?
山上:まず周りの人が優秀ですね。ほぼ全員が早慶以上で、私と同じくらいの学歴の人は5%ほどしかいません。ただ学歴以上に感じるのは「最低努力値の差」です。
ーー詳しく教えていただけますか。
山上:外資系コンサルファームの人たちは、仕事における「最低でもこれくらいは頑張る」のラインが非常に高い。彼らが通っていた大学が、何の努力もせずにいけるようなところではないというのも、影響しているのかもしれません。
とはいえ、私はこういう環境を求めて転職してきたので「望むところだ」という感じです。
あとは、体力的なハードさは覚悟していた以上でした。
ーー現在はどれぐらい働いているのですか。
山上:連日夜中の3時まで働いたプロジェクトもありましたね。毎回こんなプロジェクトなわけではありませんが、かなり大変な思いをしました。
ただそういうプロジェクトでも終わってみると「夜遅くまで頑張ってよかったな」と思えたので、割とこの仕事を楽しめていると思います。
加えて、入社してからほぼずっと、自分が希望する領域にアサインされているので、その点も仕事を楽しめている要因です。
ーー今年で入社4年目とのことですが、今後のキャリアプランは?
山上:今の領域で経験を積みつつ、いずれは事業会社に戻りたいと考えています。
コンサル業界はとても刺激的で毎日が楽しいです。しかしこの仕事をする限り、プロダクトの改善や立ち上げには携われても、最後まで見届けることはできません。
私はもともとプロダクトに関わる仕事が好きでしたが、コンサルでの経験を通じてより強く「事業会社に戻って1つのプロダクトと向き合う仕事がしたい」と思うようになりました。
学歴ハンデを乗り越えるコツは、「他人に自信を持って話せるくらい、今やっている仕事に打ち込むこと」
ーー学歴のハンデを抱えて悩んでいる人は、どうすれば外資系コンサルの世界に入れると思いますか。
山上:「他人に自信を持って話せるくらい、自分が今やっている仕事に打ち込むこと」ですね。
私と同じように偏差値50の大学出身で外資系ファームで働いているコンサルタントの同僚たちに、共通する点があります。それは「前職で自分から積極的に仕事をして、ある程度の実績を残してきた人」だということです。
例えばプロジェクトをリードして利益を出していたり、業務を改善してコストカットに成功していたり、といった具合です。
私自身も新卒の会社では、1年目から「ともかく今与えられた仕事で結果を残そう」と考えていました。
ーー新卒の会社でのエピソードを詳しく教えてもらえますか。
山上:最初の配属はデジタルマーケティング部門でしたが、当時はこの領域に興味がなく、実は配属が分かった時に相当落ち込みました。
しかし最初の配属先で実績を残せなければ、異動での希望も聞いてもらえないだろうと考え、1つのプロジェクトをリードして、サービスのリリースまで責任を持ってやりきりました。結果として次の配属は希望を聞いてもらうことができたのです。
次も、その次でも、同じマインドで仕事に打ち込んだ結果、各部署で胸を張って語れるくらいの実績を残すことができました。
ーー学歴のハンデは、社会人としての実績で埋められるということでしょうか?
山上:少なくとも私はそう思います。社会に出るまでの部分で差がついているのなら、社会に出てからの努力で埋めればいいだけの話です。「自分は学歴が低いから」と諦めずに、頑張ってほしいですね。