ポケモン元世界王者から、データサイエンティストへ。京大数学科の“就活弱者”が天職に巡り合うまで
幼少期からゲームを通してデータ分析を始め、大学では京都大学の理学部数学科に入学。大学院では研究の傍ら、ゲーム「ポケットモンスター」(以下ポケモン)のオンライン対戦で一時世界ランク1位に上り詰め、現在はAI開発やデータ分析の領域で活躍――。株式会社日立システムズのデータサイエンティスト、中山貴博氏の経歴は、“ゲーマー”のロールモデルともいえるかもしれない。
しかし、そこに至るまでの道は順風満帆ではなかった。学部でキャリアに迷って留年し、就職活動を2回経験。大学院での就活は200社のうち6割をエントリーシート(以下ES)で落とされ、涙を流したこともあったという。そんな中山氏が同じ悩みを抱える“尖った”学生にメッセージを送る。【橘菫、南部香織、羽田顕人】
1.「すべては数学を介してつながっている」 データ分析の基礎をゲームで培った、ポケモンマスターの哲学
2. 相手はどのような組み合わせのポケモンを使うか。対戦で勝率を上げる秘訣(ひけつ)は、独自のデータと数式に基づく確率予測
3. 数学科で「数学そのものが目的の人」との差を感じ留年。紆余(うよ)曲折経た2度の就活は苦難の連続
4. 自分に合った環境を選び、自信をもって尖れ。一芸に秀でた学生に送るメッセージ
◇「外資就活ドットコム」にも同じ内容の記事を掲載しています。
「すべては数学を介してつながっている」 データ分析の基礎をゲームで培った、ポケモンマスターの哲学
――現在データサイエンティストとして活躍されていますが、どのような業務を行っているのでしょうか。
中山:数学の知識を基に論文などを読み解き、それらに基づくデータ分析やAI開発を通して、クライアントの事業や社内の意思決定を支援しています。
AIの領域は日進月歩なので、最先端の技術は論文からしか得られません。しかし、論文上の理論や数式は普遍的な形で書かれていますから、そのまま実務に適応することはできないのです。ですから、事業の目的に応じて個別にそうした最先端の知見をカスタマイズし、活用できる知識に「翻訳」する、いわば数学と実務の「橋渡し」が今の私の仕事です。
――「橋渡し」の具体的な例があれば教えてください。
中山:では、クライアントが、ある目的のためにデータを分析したいと考えており、そのために使えそうな技術が論文に書かれていたと想定してください。例えば、そこに「このパラメータは、データの数が増えたときに0に収束する」という条件が示されているとします。この条件を適用すれば、理論上はデータ数が増えるほど、パラメータは0に近づきます。
しかし、実際のクライアントのデータには、必要のないデータが大量に混じっていて、パラメータが収束しないといったことが起こります。とはいえ、勝手に不要なデータを取り除くと統計的なバイアスがかかってしまいます。本当に除外できるデータなのかどうか、数学的に検討することはもちろん、クライアントが理解できる言葉に置き換えて解説やヒアリングしながら、データを分析していきます。
――そうした数学やデータ分析の基盤は、もともとゲームを通して身につけたとか……。
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