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大手SIerのNECが現在、開発に取り組んでいるのは「DXオファリング」というサービスだ。従来のように比較的時間をかけて顧客の要望に合ったシステムをつくるのではなく、あらかじめ、複数のお客さまが共通に抱える課題に対して定義したソリューションを「オファリング」(提案)するというもの。それによって、スピーディーなサービス提供を目指している。
そのリード役として2020年7月にDX(デジタルトランスフォーメーション)オファリング・プラットフォーム戦略本部の本部長に就任したのが、日本IBM出身の繁沢優香氏だ。繁沢氏はオファリング開発の他、社内の女性たちが自発的にキャリアを考えるために集う「女性Community」の構築にも取り組んでいる。30年以上のキャリアを外資系企業で積んできた繁沢氏が吹き込もうとしている“新たな風”とはどのようなものなのだろうか。
“堅実な企業イメージからの脱却”に共感し、30年以上勤めた外資系企業から転職
――これまでの経歴と、NECへの転職のきっかけを教えてください。
繁沢:大学卒業後、日本IBMに入社し、2020年にNECに入るまで在籍していました。お客さま担当SE、営業、企画開発、役員補佐、プロジェクトマネジャー、プロジェクトエグゼクティブ、ラインマネジャーなど、社内にある多種多様な仕事をしてきました。日本IBMがM&Aをした企業の日本法人で社長を経験したこともあります。
日本IBMのキャリアで得たものは大きかったのですが、「挑戦したい職種・業務は一通り経験したかな」と感じるようになりました。自分のキャリアの集大成として、一味違うチャレンジをしたいなと思って転職を考え始めたのです。
外資系企業で長く勤務していたので、新たにチャレンジするならカルチャーが大きく異なる日本企業で勤務してみたいと考えていました。それから、IBMでしか働いたことがなかったため、身に付いた先入観や固定観念を一度取り払いたく、IBMのカルチャーがない企業の方がいいなと思っていたのです。日本IBMの出身者が少ない企業を探していたところ、NECの名前がエージェントから挙がってきて。
業務内容を聞いたところ、NECが「オファリング」の開発を行っており、自分の外資系企業で培った企画開発の経験が生かせる内容であることが分かったのです。もう一つ大きかったのが、NECが「女性社員のキャリアサポート」にも力を入れていきたいと考えていたことです。日本IBMでも女性のキャリア支援に取り組んでいたので、自分のやりたい方向性に合致すると感じました。
――面接の時点でNECに魅力を感じていたのですね。他にも検討していた企業はあると思いますが、最終的にNEC入社を決めた理由は何でしょうか。
繁沢:NECといえば、いわゆる「国産SIer」で、どちらかというと、保守的なイメージがありました。中途採用も多くないのではと思っていましたし、まして外資の出身者を求めているというのは本当に意外でした。
ところが、面談で詳しく話を聞いてみると、NECがまさに「Project RISE(プロジェクト・ライズ*)という大変革の最中である」ことが分かったのです。中途採用者数も、ここ数年で年に数十人、数百人に増えていたし、ビジネスユニットごとの縦割りでクローズだった組織構造もオープンになりつつあると聞いて。
堅実で保守的なイメージのあったNECが大きく変わろうとしている。私にとってもチャレンジできる環境とタイミングで、この変革に貢献できれば自分の成長にもつながりそうだと感じて入社しました。 * NECグループの社内変革プロジェクトの総称
スピーディーなサービスを実現し、閉じた“縦割り企業”を開く新たな組織
――本部長を務めている「DXオファリング・プラットフォーム戦略本部」について教えてください。
繁沢:DXオファリング・プラットフォーム戦略本部には、「DXオファリング」「デジタルプラットフォーム」「マーケティング」の三つの仕事があります。
一つ目のDXオファリングは、お客さまがビジネスサイドで感じている課題や要望に対して、あらかじめソリューションを定義したものを提案するというもの。これまでNECが行ってきたSIの形とは異なるアプローチです。
お客さまのご要望を伺い、求めるものを一からつくり上げて提供する従来の方法だけではなく、現代のお客さまが求めるスピード感に応えた解決策・サービス提供を加えています。
二つ目の機能に当たるのが、そのDXオファリングを提供するためのプラットフォームの企画・デザイン・構築です。従来のSIではお客さまに直接ハードウエアやソフトウエアを購入いただく必要がありましたが、今はクラウド上でサービスを提供する形が増えてきました。
NECでもクラウド型のプラットフォーム(NECデジタルプラットフォーム)を構築し、お客さまにとってより便利に利用できる環境を整備していく計画を進めており、私はその企画デザインを担当しています。
三つ目はDXマーケティングで、先にお話しした2つの機能の宣伝やマーケティングです。DXにまつわるプロモーション活動や広報、イベント運営なども担っています。ビジネスを支えるサービスと、それを推進していくためのマーケティング機能。これらを統括するポジションにいます。
――具体的には、どのような業務を行っているのですか。
繁沢:“オファリング”という新しいコンセプトをメンバーに伝え、ガイドしながらシステムをつくり上げ、他のビジネスユニットからのオファリングの相談にも乗っています。最終的に私がレビューと承認を行っています。
また、プラットフォームの企画や設計まで関わっており、マーケティング面でもイベントをする際の企画チェック、登壇者選定、リハーサルの確認まで、幅広く担当してプレイングマネジャーとして仕事をしています。
――チャレンジを求めてのキャリアチェンジは、成功したと感じますか。
繁沢:そうですね。NECはいわゆる日本企業の“縦割り”の色が強く、各ビジネスユニットがクライアントの業種などによって分かれ、その中で完結している閉じた環境でしたが、DXオファリング・プラットフォーム戦略本部は全社を横断する“横串”の組織。
環境を開いていくのは、縦割りが強い組織であるがゆえに難しさを感じる場面も多々ありますが、チャレンジを求めて入社した自分にはやりがいがあります。
プロパーと中途の女性社員がさまざまなキャリアのナレッジを共有できる「女性Community」
――繁沢さんは、どのような形で女性のキャリアサポートに携わっているのでしょうか。
繁沢:私には日本IBMでも女性が自身のキャリアを自発的に考えるための取り組みに参画した経験がありました。
NECでも、女性活躍推進やインクルージョン&ダイバーシティ(以下、I&D)にまつわる全社的な制度は既に整備されています。ところが、女性たちが働いている現場に目を向けてみると少し違和感があります。まず感じたのは、「配属されたビジネスユニットからは基本的に異動しない」という暗黙の了解でした。
一度配属されたビジネスユニットでキャリアを積み上げていくのが一般的だと知ったのです。専門性を磨くには最適な一方、多様なキャリアを見たり、考えたりする経験を得にくいのではないかと気付きました。
特に気になったのが、結婚していてお子さんのいる女性社員の中に、「夫にメインで稼いでもらい、自分の収入はプラスアルファ」「自分のキャリアをそこまで深く考えたことがない」という人がいたこと。
もちろん、「今のままでいい」という選択もあります。しかし、例えばパートナーが病気で働けなくなったり、あるいは離婚することになったり、そういった問題が起きて自分が家計をメインで担うことになったら……。子どもが成長し、自立したときには自分のキャリアはどうなっているか、どうしたいか……。考える機会が少ないことも、現在のキャリア観が築かれた理由の一つではないかと感じたのです。
社員の悩みをさらに掘り下げてみると、ビジネスユニットごとの組織構造であるために、同じような境遇の人と出会う機会が少ないことにも気付きました。ユニットが違えば、オフィスの同じフロアにいる人も知らないし、どんな仕事をしているのかも知らない――。ロールモデルのパターンが極端に少なかったのです。
一方、これから増える中途採用の社員は、自分のキャリアを能動的に考え、キャリアアップのために転職を選んだ人が多いはずです。この人たちと関わる機会を増やせば、いろいろなキャリア観や子育て期間の乗り越え方などを共有できると考えました。
――女性Communityではどのような活動をされているのでしょうか。
繁沢:まずは私のチームのメンバーから、ランチなどの機会を使ってプロパー社員と中途採用の社員を15人ほど集め、自分のキャリアをどのように考えてきたかを問いかけてみました。「考えたことがない」という人にはさまざまなロールモデルがあることを最初に知ってもらい、自分はどうしたいかを考えるきっかけにしてもらっています。
――確かに、そのような機会がないと、さまざまなキャリアを想像することはあまりないかもしれません。
繁沢:はい。でも、例えば子どもが自分の手を離れてからのキャリアや、自分自身が生きていく人生について考えることは大切です。いろいろな人の話を聞いたことで、チームメンバーの中からは「大学時代にやりたいと思っていたことを思い出した」という声も上がり、実際にキャリアを真剣に考えた結果「営業に異動したい」と言ってきた人もいます。
最初は私のチームから始まった小さなものでしたが、幹部会議で活動について話したことをきっかけに、ビジネスユニットでの取り組みへと広がっているのです。
女性活躍推進やI&Dといった制度の拡充がコーポレートでの取り組みだとすると、女性Communityはどちらかというと“草の根”的な活動です。「女性活躍」というワードから取り残され、自分ごとにできずにいる現場の女性たち一人一人にキャリア意識を持ってもらうための活動、ともいうことができるでしょう。
男女問わず、全ての社員がキャリアについて自発的に考えるようになれば、人材の流動性も上がり、縦割り構造も変容していくかもしれません。やりたいことを見つけたメンバーとはマネジャーが話をし、次のステップを一緒に考えるアクションへつなげています。
大変革を経験できるチャンスを活用して、さらなる成長へつなげてほしい
――次のキャリアを考える人にとって、NECだからこそ得られるものは何でしょうか。
繁沢:一番は、NECの大きな変革期を経験できることです。会社自体が大きなチャレンジをしている最中なので、身をもってそれを体感できるというのはどなたのキャリアにとっても貴重なこと。
もちろん変革には痛みがつきものといわれますし、タフな場面にも多く出合うでしょう。それだけにやりがいも大きく、自分が成長できるチャンスでもあります。この変革をやりきった、という経験は大きな財産になるはず。
また、NECはグローバル展開にも伸びしろがあります。オファリングやプラットフォームも含め、世界へ打って出るのも「これから」という部分があるため、世界へチャレンジしたいという人にも刺激的な環境になると思います。
――繁沢さんがチームに新たなメンバーを迎えるなら、どのような人を求めますか。
繁沢:私自身がチャレンジ志向ということもあり、一緒に働く人にもそのようなマインドを求めたいと思っています。例えば、お客様とNECの双方だけでなく、ここで働いている自分自身も含めた全てを“WIN”にできるように導ける人や、困難な状況の中でも楽しめる人に来てほしいですね。
キャリアアップを目指す人がこれからどんどん増えることにも期待しています。従来の研修制度に加えて成長のための自己投資も可能な福利厚生制度、さらにマネジャーとの1on1によるキャリア面談の機会も増えています。
こうした機会を活用しながら自分の3年後、5年後を思い描き、そのために必要な経験を積めるビジネスユニットへ身を移してもいいでしょう。私は、働く上で成長を続けることはとても大事だと考えているので、会社で得られる経験やチャンスをどんどん活用してほしいです。