大企業からスタートアップへ。適切なマッチングでキャリアの転換を支援する、キャリアアカデミーの挑戦

2022/03/30

sponsored by ジャフコ グループ description

国内大手のベンチャーキャピタルであるジャフコが、日本のスタートアップマーケットの拡大を目指す人材支援プログラム「キャリアアカデミー」を開講した。これは、大企業からスタートアップに挑戦する人を増やすため、スタートアップで働くことの認知拡大や自身の適性理解、⼊社後も含めた教育支援を行う。

キャリアアカデミーは、経済産業省(以下、経産省)が実施する「スタートアップ向け経営人材支援事業=SHIFT(x)」(*)のモデル事業にも採択されている。

キャリアアカデミーの運営に携わるジャフコ グループ プリンシパル金沢慎太郎氏と、経産省の事務局を務める野村総合研究所の上級コンサルタント岸浩稔氏に、スタートアップが今改めて注目されている理由やスタートアップでキャリアを積むメリット、スタートアップへの転職で成功する人の資質について、話を聞いた。

*出典:スタートアップ向け経営人材支援事業SHIFT(x)

〈Profile〉
写真右/金沢慎太郎(かなざわ・しんたろう)
ジャフコ グループ株式会社 プリンシパル キャリアアカデミー責任者
東京大学経済学部卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズ(現・Works Human Intelligence)に入社。法人営業のマネジャー、部門長として従事した上で、働きがい事業を立ち上げる。エッグフォワード株式会社では執行役員に就任。ジャフコ グループでは、投資先のバリューアップに向けた組織支援に取り組む傍ら、多くの人がスタートアップに流入する文化創造に向けてまい進。
同左/岸浩稔(きし・ひろとし)
株式会社野村総合研究所 上級コンサルタント
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 博士課程修了。博士(工学)。テレコム・メディア領域を中心にテクノロジー起点のイノベーション創出に係る事業戦略・実行支援、人材・組織開発の業務に従事。「49%の労働人口がAI(人工知能)・ロボットによって技術的に代替可能」の研究を担当し、テクノロジーが及ぼす未来像の洞察、DX時代の人材と組織の姿の検討を進めている。著書に『デジタル未来にどう変わるか』(日経BP社)、『誰が日本の労働力を支えるのか?』(東洋経済新報社)など。


同級生を見て、“大手企業で働く人のキャリア観を変革したい”と考えた

――お二人の業務内容や、キャリアアカデミーにおける役割を教えてください。

金沢:ジャフコでキャリアアカデミーを立ち上げ、主体として運営しています。業務についても、半分以上はキャリアアカデミーに関係した仕事に携わっていて、もう半分はジャフコが投資しているスタートアップで人事面の成長支援を行っています。

実はこの二つの業務はオーバーラップしており、スタートアップの現場でニーズに触れながら、その知見をキャリアアカデミーの企画や運営にも生かすという良い循環ができています。

description 金沢氏

:野村総合研究所で、主に事業戦略の立案やその実行支援の他、官公庁に関する業務なども幅広く行っています。キャリアアカデミーに対しては、管轄している経産省側の事務局という立場で、取り組みについて一緒に議論しながら、事業によって得られた成果をまとめる調査研究に重点を置いています。

――金沢さんに聞きます。どのような経緯でキャリアアカデミーを立ち上げたのでしょうか。

金沢:立ち上げた動機は、1社目のキャリアであるワークスアプリケーションズ(現・Works Human Intelligence)時代に遡ります。ワークスアプリケーションズ(以下、ワークス)はメガベンチャーですが、新卒だった2011年当時は、ベンチャーに新卒入社する選択がメジャーではありませんでした。

その中でもメガベンチャーを選んだのは、大学2年生の時にリーマン・ショックが起きたことを受けて、この先もし会社が潰れたとしても社会人として生きていける力をいち早く身に付けたいと思ったからです。ワークスには一人で単価数億円の商品を売る環境があったので、この力を手に入れたいと思いました。

私自身、メガベンチャーで刺激をたくさん受けたため、入社して良かったと考えていました。たくさんの人にスタートアップやベンチャーで働く良さを知ってほしいと考えたのは、入社3年目のころです。

きっかけは二つあります。一つは、2025年には会社や部署という括りではなく、プロジェクト単位で各々の能力を発揮する働き方が広がると書かれた本を読み、衝撃を受けたことです。

もう一つは、大企業に就職した同級生2人と食事をした時に、1人は毎日17時半に終業し「子会社の人たちと会食するのがメインの仕事だ」と言い、もう1人は、「自分が部署の中で一番若手だから、毎朝7時半に支店を回ってシャッターを開けなければならない」と言っていて驚いたことです。

2人とも、そのようなことに時間と労力を使っているのはもったいないと感じました。

もし、プロジェクトベースの働き方が広がったら、2人は果たしてどのような価値が出せるのだろうと考えました。逆に言えば、自分はその時既に責任の大きな仕事ができていると感じていて、大企業とベンチャーそれぞれで得られる経験の違いを痛感しました。

その後、ワークス入社4年目に自ら「働きがい事業」というコンサルティングサービスを立ち上げました。当時から、日本の大手企業には働き甲斐がない、外部との接点が薄いといった理由で離職する人が増えていたので、そういった大手企業で働く人のキャリア観を変革できないかと考えました。

――キャリアアカデミーの原型が、そこで生まれたのですね。

金沢:はい。そのうちに、働きがい事業を専門にしたいと思うようになりました。ただ、ワークスの事業の一部という位置付けではそれができなかったため、私がやろうとしていることの方針と合っている上に、そのさらに先を行っていると感じたエッグフォワードへの転職を決めました。

エッグフォワードでは、CxO(Chief x Officer)のキャリア形成における支援や、社会人向けのキャリアゼミ活動も運営していました。ゼミの様子を見る中で、社会人のキャリア観を変えるには一定の時間がかかると感じ、スタートアップと関わりが深いVC(ベンチャーキャピタル)と組むと効果的ではないか、と考えていました。

そのころ、ジャフコと接点を持つことがあり、キャリアアカデミーのようなことができないかとジャフコ社員に提案をしたら、「ぜひやりましょう」という話になったんです。

――ジャフコとの接点が、キャリアアカデミーの創設に直接つながったのでしょうか。

金沢:はい。実は最初、キャリアアカデミーはもっと小さく始め、良し悪しの判断をしながら展開していこうと考えていました。しかし、偶然にも経産省からスタートアップ向け経営人材支援事業の取り組みについてVCとしてどう考えるかというヒアリング調査があり、議論を重ねて、今のような形で推進していくことになりました。

:経産省としては、イノベーション創出に向けたスタートアップ支援政策として、大企業とスタートアップの人材を還流させる枠組みをつくりたい思いがありました。そのための予算を組んで、取り組みをしてくれる事業者を支援しながら、得られた知見をまとめていこうと考えました。

キャリアアカデミーの事業は、大企業からスタートアップへ人材を動かすことに着目していますが、経産省としてはスタートアップから大企業という方向ももちろん視野にあります。

企業と人が互いに理解を深め、長期的に人材を育成する

――キャリアアカデミーの概要を教えてください。

金沢:大きくは三つのステップに分かれています。一つ目は認知の強化で、スタートアップで働く実情を伝えることを大切にしています。定期的にイベントを開催し、大手企業からスタートアップに転職した人をはじめ、さまざまな立場や職種の人の話を聞くことで、実情を多面的に捉えられるようにしています。

二つ目は、生の声を聞いて興味を持った人に対して、キャリア面談やプロボノとして働いてもらう機会を提供しています。これによって、本当にスタートアップで働く適性があるのかを見極めてもらえるようにしています。

三つ目は、適性もあるし興味も強い人に対して、ナレッジやノウハウを高める目的で、職種別に知識を深めるプログラムがあります。営業であれば、必要とされるスキルセットや、どういう営業人材がスタートアップで活躍するのかといったことを、実例やデータを使いながらインプットしていきます。

現職に留まるとしても、そういったことを意識して活動してもらうことで、ゆくゆくはスタートアップとの接点が広がると考えています。

――一人一人のキャリアに対し、手厚くフォローしている印象ですが、そうすべきだと考える課題感はあったのでしょうか。

金沢:スタートアップは、人によって「合う、合わない」が非常に大きいように感じます。その人の持っているスキルがマッチするかはもちろん、組織の規模が小さければ小さいほど、その社風は社長や経営陣に左右されます。つまり、その会社と人間的な相性が良いかどうかは、とても大事です。

一方で、相性の良くない人を採用してしまい、その人がすぐに辞めてしまうと、スタートアップはダメージを受けて企業の成長速度が落ちてしまいます。面接だけでは人の良し悪しが判断できないので、まずはプロボノなどで試してみる機会を設けました。その結果、転職せずに現職で頑張る結論に至っても、それは正解の一つだと思っています。

:「企業」と「人」がお互いについて理解を深め、適切にマッチングすることが大事ですよね。長期スパンで人を育てるのが、キャリアアカデミーの特徴的な取り組みです。

――現時点での、キャリアアカデミーの実績を教えてください。

金沢:2021年6月からスタートし、これまでにステップ1のセミナーは約800人が受講し、ステップ2の面談には54人が進んでいます。もともと想定していたよりも、数は伸びてきている印象です。

スタートアップで得られる、「自ら事業を動かし、社会に貢献している手触り感」

――スタートアップで働く機運が高まっている印象です。改めて、スタートアップの魅力について教えてください。

:資金を集めて上場する成長モデルが日本でも実現できることがスタートアップの魅力ですね。それが一般的にも認知されるようになり、人やアイデアもどんどん増えて良いサイクルが巡るようになっているのが今の状況です。

一方、さまざまな業界で商品やサービスのコモディティ化が進み、企業はイノベーションの創出を求められています。加えて、近年は、一部の大企業は資金を余らせています。

それを何かに投資しようと考えたとき、スタートアップに投資して新しい事業の創出に役立てようと考える企業が増えています。また、海外投資家も流入し、その資金の受け皿としてスタートアップ業界が盛り上がってきています。

description 岸氏

――スタートアップに適性があるのはどのような人材でしょうか。

金沢:スタートアップが大企業人材に求める要素は、次の2パターンに大別できると思います。

一つは、第二新卒層です。スタートアップは、地頭が良く、張り切ってビジネスをやっていこうとするマインドを持つ人材を欲している一方で、新卒を育てる余裕はありません。そのため、大企業で基礎となるビジネススキルを身に付け、新しい仕事への意欲もある第二新卒層へのニーズが常にあります。

もう一つは、“仕組みをつくれる人”です。大企業には既に出来上がった仕組みがありますが、スタートアップにはそれがありません。例えば、大企業で案件管理の仕組みを熟知した人が、その仕組みをスタートアップに持ち込むだけで、これまで10日かかっていた仕事が1日で終わるようになったほどの高い効果を生みます。

――大企業人材にとって、スタートアップで働くメリットは何でしょうか。

:裁量が大きくなり、自分の仕事の意味を実感できるようになるということですね。スタートアップは成長速度や変化が非常に速いので、自分が事業を動かしている実感を持ちやすいのです。また、世界を変えるような技術や課題に取り組むことも多く、仕事を通じて社会に直接貢献しているという手触り感を得ることができます。

金沢:キャリアを資産に例えれば、大企業は積み立て型で、スタートアップは投資型です。着々と積み上げていくことも大事ですが、世の中が不安定だとそれが崩壊する可能性もあります。一方で投資の場合は、短期的に落ち込むことはあっても、中長期的に見れば右肩上がりのトレンドを描いていくことができます。

――キャリアアカデミーの今後の展望を聞かせてください。

金沢:職種や切り口を絞ったゼミ活動の評判がとても良いので、今後もその方向を強化していきたいです。それに加えて、スタートアップと大企業人材が双方向でコミュニケーションできるような形も試し、より具体的にマッチングできるようにして、先ほどお話しした「仕組みをつくる人材」のゼミのような成功事例を拡大再生産していきたいと考えていますね。

description 金沢氏(写真左)と岸氏

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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