企業の成長とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可分となった現在、キャリアの選択肢として「ITコンサルタント」や「DXコンサルタント」を検討する方も少なくありません。 IT分野に関連する職種はITアーキテクトやフルスタックエンジニア、プロジェクトマネージャーなど多岐に渡る中、果たしてITコンサルタントとはどのような職種なのか、疑問に思う方もおられるでしょう。そこで今回はIT業界への強みを持つエージェントに、ITコンサルタントをネクストキャリアに考える若手社会人から寄せられることが多い質問へお答えいただくことにしました。
1.ITコンサルタントの定義とは?
2.ITコンサルタントに対する疑問の定番中の定番「SEとの仕事の違いは?」
3.ITコンサルタントの実際の業務とは?
4.ITコンサルティングをめぐる業界動向は?
5.ITコンサルティングファームの競合他社を比較する観点は?
6.ITコンサルタントの年収について
7.ITコンサルタントをキャリアの選択肢に
ITコンサルタントの定義とは?
まず、ITコンサルタントという職種について大まかに説明しましょう。
そもそも、「ITコンサルタント」とは「企業の経営や事業の課題をITの力を用いて解決する職業」と言えます。 代表的な業務内容は以下の通りです。
IT戦略立案…経営戦略、事業戦略と結びつけながら、IT活用のビジョンや投資計画、業務プロセス改善プランの策定をすること。
グランドデザイン…限られたITシステムの投資予算を最適に分配するために、計画や構想の策定をすること。
As-is/To-be策定…システムのあるべき姿(To-be)から逆算し、現状(As-is)を分析の上、そのギャップを解決すること。
CIO支援…企業におけるIT戦略立案・実行の中核人材であるCIOの右腕となり、各種課題解決のための壁打ち相手や実行支援の補佐をすること。
RFP(提案依頼書)作成支援…ITに関する専門的な知見を用い、お客様がシステム発注の際に用いるRFPの記載内容の精度を高めるサポートをすること。
PMO支援…発注側、受注側のPMに対し、プロジェクトの目的/成果の合意形成、計画策定、プロジェクト状況の見える化、意思決定支援、ボトルネック解消等、プロジェクト進行全般のサポートをすること。
ITコンサルタントの代表的な業務内容
ただし、未経験の方にとっては具体的に何をしているのかイメージが付きにくいと思いますので、これについては後述します。
ITコンサルタントに対する疑問の定番中の定番「SEとの仕事の違いは?」
「SE(システムエンジニア)との仕事の違いは何か?」というご質問も、ご相談者様から頂くことが多くありますが、違いは下記のような点となります。
SEの重要な役割は「要件に沿ってシステムを構築すること」にあります。要は、お客様からの「こういうシステムを作ってね」というご要望に応えるべく、責任をもって正確にシステム構築をすることがミッションとなります。
プロジェクトを受注したらスケジュールに沿って構築することが重要になりますので、ITの技術的知見やプロジェクトの管理能力が問われることが多くなります。
一方、ITコンサルタントのミッションは「システムの知見を用いた課題解決」となります。ITコンサルタントの場合は要件が定まる前から「そもそも、このシステムは必要なのか?」「数年後の経営計画を見据えた際、あるべきシステムの姿は何か?」ということまで踏み込んでいくイメージとなります。
そのため、ITの知識のみならずクライアントの業務やビジネスに関する知見も必要となってきます。お客様の上位職の方々と業務をする機会もあるため、論理的な説明能力や、社内外を巻き込み、変革を推進する能力も必要となってくるでしょう。
「ITコンサルタントの方がSEより一層、ビジネスサイドに近い」と言われることがあるのは、このような背景があるのです。
ITコンサルタントの実際の業務とは?
ここまでITコンサルの定義や、他の職種との違いに触れてきました。実際の業務内容についてさらに掘り下げて理解をしていただくために、RFP作成支援を例に挙げ、解説しましょう。
RFPとは、Request For Proposal(提案依頼書)の頭文字を取った言葉で、システムの要件や契約範囲などが記述された文章のことを指します。
RFP作成支援の場合、お客様(クライアント)の情報システム部門がRFPを作成し、それに対して各SIerが提案し、システムを受注します。
ITコンサルタントがこのRFP作成支援に携わる場合、このRFPの背景にある経営課題を整理しながら「本当に必要な要件となっているのか」ということをお客様と議論し、より良いRFPを作成するイメージとなります。
また、グランドデザインをSIerが手掛けることもありますが、上流での役割としては要件定義までしか期待されないケースも多く、より経営課題に即した大きな画を描こうとすると、ITコンサルタントの方が携われる可能性が高いと言えるでしょう。
ここでお伝えしたいのは、SIerとITコンサルタントのどちらが上か下かという訳ではないということです。あくまで役割やミッションが異なるだけですし、SIにいらっしゃっても、お客様の課題解決に取り組んでいる方もおられます。「手掛けたシステムを最後まで見届ける」という希望をお持ちの場合、事業会社の情報システム部門が選択肢として上がることもあります。
ITコンサルティングをめぐる業界動向は?
「DX」や、「2025年の崖」。このようなバズワードは耳にしたことがあるかと思います。時代の要請から、近年はITコンサルティングを強化している企業や、ITコンサルティングに進出する企業が増えています。
近年では代表的な戦略ファームもIT領域に進出。総合系コンサルファームもIT領域は特に強化をしており、数百名単位での採用計画も立てられています。その他、SIerがITコンサル領域まで展開していたり、事業会社がコンサル部門を立ち上げていたりと、群雄割拠な状況となりつつあります。
〇戦略ファーム:ITコンサルティングに拡大中
強み:戦略ファームとしてのバックボーンを活かした、IT戦略案件の豊富さが強み。コンサル業界で特に高い知名度を誇るファームもデジタルに特化した新会社を立ち上げ、IT領域を強化しています。
〇総合系ファーム:IT領域を一層強化中
強み:ITの最上流から、場合によっては実行支援まで踏み込むような総合力が強み。またファームによっては、AI/IoT/セキュリティ/AR・VR/ブロックチェーンなど、先端テクノロジーを強みにするユニットも登場している。
〇技術力に強みがあるITコンサルティングファーム
強み:最新のテクノロジーを用いながら、実行支援含め、技術的に難易度が高いミッションを解決するのが強み。新しい技術への感度が高い点も特徴だが、中には「職人」のようなタイプの方が在籍しているケースも。
〇その他特化型ファーム
強み:品質保証、業界特化、PMO特化等、領域特化による専門性が強み。
ITコンサルティングファームの競合他社を比較する観点は?
比較のポイント、切り口は様々ではありますが、まずはITコンサルタントとしてどのようなスキルを身に着けたいのか、というのが起点になるかと思います。
その際は、「戦略寄り」⇔「実行支援寄り」「大手」⇔「ベンチャー」というような四象限で転職活動の際のご志向を整理頂くと便利かもしれません。
上記のように様々な特徴を持ったITコンサルファームが出てきており、最近は、将来のキャリアを考えたうえ、大手ではなく敢えてベンチャーや、立ち上げフェーズのファームを選択される方も増えてきました。転職する際は同じITコンサルポジションだとしても、具体的にどのような案件があり、どのような事業方針になっているかご確認いただけるとよいでしょう。
お客様に対して、どのような価値提供を目指すかによって、目指すファーム及び職種、職位が異なります。その点はなかなか公開情報からは見極めにくい部分もございますので、エージェント(キャリアコンサルタント)にご相談するのが良い点かと思います。
ITコンサルタントの年収について
ファームによって変動はありますが、ある程度、下記のような年収テープルとなっています。
コンサルタント:500万円~800万円
シニアコンサルタント:700万円~1100万円
マネージャー:900万円~1500万円
シニアマネージャー:1200万円~2000万円
ディレクター:2000万円~2500万円
パートナー:2500万円~1億円以上
年収テーブルの例
ファームによっては20代後半でマネージャークラス、もしくは最短で昇進された方は30代でパートナーまで上り詰めた方もいらっしゃいます。戦略ファームや、外資系ファンド、投資銀行、M&A仲介などと比較すると緩やかかもしれませんが、それでも比較的給与水準が高い職種と言えるでしょう。
未経験や第二新卒の転職事例を見ても、この傾向をくみ取ることができます。
20代でコンサル未経験者や第二新卒の転職事例
未経験 | 550万円→800万円 |
未経験 | 600万円→800万円 |
第二新卒(23歳) | 500万円→600万円 |
ITコンサルタントをキャリアの選択肢に
他職種との比較や業界動向を通じ、ITコンサルタントの業務内容をつかんでいただけましたでしょうか。多くのファームや企業がIT領域に進出している今だからこそ、各社の強みを見極めてキャリアの選択肢として検討してみるのはいかがでしょうか。
◆フォルトナ株式会社
BCGやBIG4出身の経験豊富なコンサル出身者をはじめ、日本一のヘッドハンターやトップコンサルタント達が在籍。外資系戦略ファームを筆頭に各種ファームやPEファンド/VCなどのハイクラス転職支援に強みを持つ。オールフォルトナと呼ぶワンチームで成果を創出するカルチャーを重視し、ご相談者への提供価値を最大化している点も特徴。スタートアップ支援に特化したフォルトナベンチャーズも急成長中。