【かつては「五大」だった】国内に存在する大手四大監査法人を徹底比較
2022/05/13

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公認会計士を目指す人の中には、個人で開業するか、監査法人で働くか迷っている人もいるかもしれません。また監査法人の中でも大手四大監査法人に転職する場合、どこが良いかと考えることもあるでしょう。

この記事では、監査法人の仕事内容や、四大監査法人の特徴を説明します。



四大監査法人とは?

そもそも監査法人とはどのような組織なのでしょうか。

企業にとって不正が発覚すると企業ブランドやイメージに傷がつき、その後の業績や株価にも影響することがあるので、あってはならないことです。そこで企業における会計監査を専門家である公認会計士に委託することがあります。公認会計士は個人で開業することもありますが、5人以上が集まって法人化した組織のことを監査法人といいます。そして国内で所属する公認会計士の数や、実績が顕著な大手監査法人のことをまとめて「四大監査法人」と呼んでいます。

監査法人の仕事内容

監査法人の仕事内容は、クライアント企業からの依頼を受けて、企業の財務諸表や決算状況を監査することです。大企業になるとその分量が多いため、複数の公認会計士が所属する大手の監査法人に依頼します。

主な業務は企業の決算が正常に行われているかを確認することと、それによって企業の透明性を図ることです。投資家は決算を見て投資するので、決算が正しく行われていることを証明することは、企業にとっても投資家にとっても重要な作業と言えます。ただ書類をチェックするだけではなく、より適切な書類の取り扱いや記入の仕方についてコンサルタントとしてアドバイスすることもあります。

有限責任あずさ監査法人

関西から中国方面のエリアで多くのクライアントを持っているのが、あずさ監査法人です。クライアントも阪神・阪急系列の会社や九州電力など西日本を中心としています。

EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人は、日本初の「有限責任監査法人」とされています。得意分野は、不動産や建設部門、メーカーや銀行と幅広く、長年監査報酬でトップを誇っています。欧米の監査システムを導入しており、世界四大会計事務所の一つ、「アーンスト・アンド・ヤング社」と提携関係を結んでいます。

有限責任監査法人トーマツ

金融や卸売、小売などの業界を得意としている監査法人です。クライアント企業の中には、三菱商事や三井物産など国内の大手商社があり、監査業務を担当しています。 また海外の大手監査法人である「デロイト・トウシュ・トーマツ」のメンバーファームであり、業務提携を結んでいます。

PwCあらた有限責任監査法人

四大監査法人の中では最も歴史が新しく、2016年に有限責任監査法人となった会社です。 ほかの四大監査法人と比べると規模はやや小さくなりますが、クライアントに外資系の企業を多く持っていることを特徴としています。業務収入や所属する公認会計士の数は他の四大監査法人と比べて小さいですが、非監査収入においては、有限責任監査法人トーマツに次いで2位となっています。

番外:かつては「五大監査法人」だった

かつては中央青山監査法人も大手監査法人の一つでしたが、クライアント企業で粉飾決算が相次いだため、業務停止処分となりました。社員は他の監査法人に移管することで監査業務から撤退し、現在の四大監査法人となった経緯があります。

四大監査法人を比較する

ここまで、監査法人の定義や仕事内容、四大監査法人のそれぞれの概要について紹介してきました。実際に就職するとしたら、規模や待遇も気になると思います。それぞれの監査法人について、働きやすさの観点から比較していきます。

歴史

有限責任監査法人トーマツは1968年に監査法人としてスタートを切り、他の監査法人と合併を繰り返して規模を大きくしてきました。 2003年には有限責任あずさ監査法人が朝日監査法人と合併して現在の形となっています。 PwCあらた有限責任監査法人は元々、中央青山監査法人から一部独立して現在の法人となっているため、規模は他の監査法人に比べて小さくなっています。

会社員数

従業員数はそれぞれの監査法人で3000人~6500人程度です。四大監査法人の中では、PwCあらた有限責任監査法人の規模が最も小さく、有限責任監査法人トーマツが最も大規模になっています。

給与

監査法人の給与は年収500万円~1000万円程度と言われており、所有している資格や、会社の規模、役職によって異なります。海外赴任することもあるため英語力も必要ですが、TOEICの点数など資格やスキルによって高年収を狙うことができます。

福利厚生

大手企業と同じく福利厚生は充実していると言えます。かつては残業が多かったイメージがあるかもしれませんが、現在は残業するにしても上司の許可が必要など、働き方改革が進んできました。

業務内容

それぞれで業務内容の強みがあるので、就職先として選ぶ場合は、各監査法人が得意とする分野を調べておくとよいでしょう。例えばずっと監査業務を行いたい場合は、監査業務に強いところを選ぶということになります。面接でも志望理由を聞かれることが多いので、答えられるよう準備しておかなくてはなりません。

人材育成

それぞれの監査法人の社風や雰囲気、文化によって異なります。チームワークで業務を動かしていくので、仕事を通じて上司から指導を受け、覚えていくと言ったスタイルのようです。中には体育会系の風土を残した監査法人もあるので、自分の性格と合ったところを選ぶようにしましょう。

海外勤務

四大監査法人の中には海外の監査法人と業務提携を結んでいたり、海外にある監査法人のメンバーファームであるため、海外に派遣される場合もあります。海外派遣については希望を出せることが多いので、希望がかなうかどうかは別にして意思を上司に伝えておくべきでしょう。また海外派遣に備えて英語力は必須となります。

四大監査法人と他監査法人の比較

四大監査法人の他に、準大手や中小の監査法人もあります。規模によってどのような違いがあるか比較していきます。

準大手監査法人

概ね100社以上のクライアント企業を抱える法人を準大手と位置づける場合が多いようです。具体的には太陽有限責任監査法人、PwC京都監査法人、東陽監査法人、仰星監査法人、三優監査法人が当てはまります。

中小監査法人

準大手よりも小規模の場合、中小監査法人に当てはまります。

監査法人BIG4とその他監査法人の違い

社員数や売り上げなど、大きく異なるので、規模が大きい方が年収や福利厚生も充実している傾向にあります。

業務内容

大手の監査法人の方が業務が細分化されており、専門性を磨くことができます。中小法人の方が、スタッフの数が少ないので様々な経験をできるというメリットがあるので、中小法人から大手へ転職する際に強みとなるでしょう。

知名度

売上高が高かったり、大手企業をクライアントとしている監査法人の方が知名度が高く、社会的な信頼性を高く保っていると言えます。監査する立場である以上ミスは許されない仕事なので、信頼がそのまま知名度に反映される業界です。

給料

ほかの業界と同じく、大手の監査法人の方が給料も高い傾向にあります。準大手の中では太陽が社員数、売上高共に最多となっているので、大手に遜色ない程度と思われます。

海外勤務

規模が小さい監査法人は海外に派遣される機会は少ないでしょう。しかし準大手監査法人では海外との業務提携もあるので、派遣される場合があります。

その後のキャリア

いったん四大監査法人に就職し、実務経験を積んだ後は法人の中で出世を目指すか、独立するかの2パターンに分かれることが多いようです。別の監査法人へ転職する人もいます。

ワーク・ライフ・バランスが取りやすいのは?

大手の監査法人の方が福利厚生も充実しているため、仕事と私生活の両立は図りやすいと言えそうです。しかし一般的な傾向と自分に合った会社は異なるので、よく調査することが大切です。

まとめ

四大監査法人の働き方や業務内容について説明してきました。監査法人は、企業の会計をチェックすることによって、いわば企業の健康診断を行う、重要な役割を担っていると言えますね。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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