「なんでこんなことやってるんだ」―若手の抱えるジレンマをどう乗り越えるか?
2017/04/27
#総合コンサルの仕事内容
#新卒内定者必須コラム

はじめに

世界的に有名な外資系IT企業で、1年目のITコンサルタントとして活躍されているAさんは、入社後の数ヶ月間、あるジレンマを抱えていたそうです。

今回は、どのようなジレンマを抱えていたか、そしていかにそれを乗り越えてきたかを語っていただきました。

description

「なんでこんなことやってるんだ」と苦しんだ半年間

- まずは、新卒で外資系IT系企業に入社した経緯を教えていただけますか?

スキルや能力を活かして他人の手助けをしたい、という自分の気持ちをそのまま仕事にしました。

他社も考えましたが、これからの時代はどの分野でもテクノロジーの知識が不可欠だと感じて、そこに強みがある企業として外資系IT系企業に入社を決めました。

- 今後はIT技術が必要だというのは、リアルな理由ですね。これまでどのような業務をされてきたか教えていただけますか?

最初に、新入社員研修がありました。ロジカルシンキングや財務会計など、一般的なコンサルタントが必要なスキルのインプットでした。加えて、プログラミング言語(Java)の演習や、自社の製品に関する知識など、IT領域のインプットもありました。

IT領域のインプットはさらに製品ごとの専門分野に分かれていきます。私は予測分析ソフトウェアの専門で、データ分析に関する知識を学んでいました。

その後、保険会社のシステム子会社で保守・開発プロジェクトにアサインされました。

2016年の12月まではシステム改修のための設計書の修正、コーディング、テストの実施に加え、中国の開発部隊と円滑に協業するため、プロジェクトマネジメントをする職務を担っていました。

- プロジェクトを実際にやってみていかがでしたか?

保守の業務だったので、開発がメインでした。正直に申し上げると、コンサルタントがやるような仕事ではないと感じていました。

もともと出していた希望と異なっていたのもあり、「なんでコンサルタントなのにこんなことやってるんだ」と思っていました。

- 出していた希望と異なった配属になってしまうのは辛いですね。最も辛かったのはどういうときでしょうか?

どうしても、周りと比較してしまうことがありました。

例えば、同期にも、戦略コンサルタントらしい業務をしている人がいたので、私が望む業務分野においてスキルの差がつかないか不安でした。特に私は、お客さんのところに常駐していたので、同期が何をやっているか分からなかったことにもやきもきしていました。

新しい発見を自分からつかみ取りに行く

- 自分の担当業務にやりがいを感じられない苦しみや、周りと比較してしまう不安はありますよね。どのようにモチベーションを保っていましたか?

業務の面では、まずはいかに自分の担当業務を効率よくやれるか、というところに注力していました。例えば、コーディングのスピードをあげられるようにしていくとか、小さな目標を作ることでモチベーションを保っていました。

特に最初の2,3ヶ月は、予定通り開発タスクがこなせているかを意識していたと思います。

自分の担当業務をやりきった上で今度は、他の人が何をやっているか、ということに視野を広げていきました。そこで新しい発見があれば、自分が本当にやりたいことでなかったとしても、学びにはなると思いました。

- 新しい学びが得られれば頑張れる、ということなんですね。最終的に、苦しみや不安などは解消されたのでしょうか?

解消されたと思います。まず、勉強会などで同期と話していく中で、人それぞれ全く異なる業務を担当しており、得られるスキルもそれぞれ違うことがわかってきました。そこで、他人と比較する意味がないと気付き、少し安心しました。

決め手になったのは、11月ごろにあった上司との面談でした。

「新入社員研修が終わってすぐに戦略コンサルタントをやると、実体を知らない机上の空論的な提案をしがちである。一方で、常駐してお客様の普段の業務やコードを見ている人は、より現場に即した提案をできることが多い。」というアドバイスをいただき、今の仕事に価値があると思えるようになりました。

- 最初はやりがいを感じられなかった仕事でも、考え方が変わっていったのですね。プロジェクトの中で、ご自身が成長を実感したことがあれば教えてください。

一緒のプロジェクトに、中国出身の方がいました。最初はなかなかコミュニケーションが取れなかったのですが、自分の知識量の向上とコミュニケーションの積み重ねの結果、その人も含めたチームで問題解決を進めることが円滑になった時は成長を感じました。

あとは、障害の調査を自分ひとりに任されたことがありました。原因の調査から、解決策の提案、そのメリット・デメリットの整理、お客さんへの報告までの一連の流れを独力でやりきったことは、いろんな力が身についた結果だと感じました。

- 素晴らしい成果ですね。日々ストイックに仕事に取り組んでいる印象ですが、どうしようもなく辛い日などありませんでしたか?

しんどいなあ、と感じていたのはむしろ仕事が無いときでした。「今日会社行っても仕事がないな」と思いながら出社していると、気分が落ち込んだりします。

そういうときでも「新しい発見」を得るために、普段見ていないような資料に目を通すようにしていました。とにかく、何かしら手を動かしたり、調べたりするのが大事だと思います。むしろ、時間が空いているからこそできることでもあると思います。

- タスクが無くて気分が乗らないときも「新しい発見」のため努力されているんですね。普段、ストレスに思うことなどありませんか?

ストレスに思うことがあっても、その日のうちに解消してしまうことが多いです。どうにかして、「そもそもこれは大したことじゃないな」と思えるまで持っていくようにしています。ストレス発散は強いて言うなら、美味しいものを食べることでしょうか。

キャリアゴールのための弛まぬ努力

- 1月からは別のプロジェクトを担当されているということでしたが、どのような業務をされていますか?

前のプロジェクトの終わりごろに提出した希望申請が通り、ファイナンスを専門とするITコンサルタントの仕事をしています。例えば、お客様がERPを変えるという話があるので、変える際のRFPの作成支援や、ベンダーの選定の支援などを行っています。

これまでとは違い、お客様の多様な意見を取りまとめ、パワーポイントでスライドとして整理するなど、コンサルタントに必要なスキルを身に着けている実感があります。以前のプロジェクトで感じていたジレンマはかなり解消されました。

補足 ※ ERPとは、Enterprise Resource Planningの略称で、企業の資産であるヒト・モノ・カネを一元管理し、経営の効率化を図るための製品です。 ※ RFPとは、Request For Proposal(提案依頼書)の略で、発注企業がシステム開発を行う際に必要な要件をまとめ、発注先の開発会社に具体的な提案を依頼するための資料です。

- 念願叶って喜ばしいですね。これからはどういったスキル・分野を極めたいと考えていらっしゃいますか?

ファイナンスですね。もともと会計には興味があったのもあり、週15時間ほどUSCPAの勉強をしています。勉強はわりと楽しくやっています(笑)

- キャリアの最終的なゴールは考えていらっしゃいますか?

上司に聞くところによると、パートナーという経営層の職位にまでいけば、他の事業会社でのCFOとしてのキャリアがあるようなので、今のところはそれを考えています。最終的には経営の立場に回り、自分の裁量で予算を回して利益を生みたいですね。

- その他、個人的に取り組んでいることがあれば教えてください。

NewsPicksで慎泰俊(シン テジュン)氏の連載を読んだときから、1日単位での振り返りをやっています。具体的には30個くらいのチェック項目を並べて、「今日これをできたか」というのをチェックしていきます。

例えば、少し見せるのは恥ずかしいですが、『通勤中に今日やるべきことを洗い出せたか』『5分でも中国語に触れる』『公の場で落ち込んだ表情をしない』などのチェックリストを作っています。月ごとにチェックマークの数を数えたりして、自己管理しています。

やりたくないことは、ある

- 例えば、期待していたのと違うプロジェクトに配属されるような新入社員はこれからもいらっしゃると思います。もし、同じ状況の後輩が相談しにきたらどのように声をかけてあげたいですか?

楽しいと思えることがあるかが重要だと思うので、まずはその部分を聞こうかなと思います。その人のモチベーションが上がる要素を分解して、今のところでもこういうことならできるかもよ、とアドバイスをしてあげたいです。

- 最後に、新入社員に向けて何かあれば教えてください。

やりたくないことは絶対にでてきます。なので、たとえやりたくないことがあったとしても、腐らずに頑張って欲しいですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。終始、じっくりと言葉を選び、理路整然と経験を語る様子は、入社1年目とは思えないほど落ち着いた印象でした。また、「新しい発見を自分からつかみ取りに行く」「やりたくないことがあっても腐らずに頑張る」という姿勢には、みなさまも底知れぬ熱意を感じたのではないでしょうか。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
外資就活ネクストは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。