コンサルには戦略やIT、人事などいろいろな種類があり、業務コンサルもそのコンサルの一種です。業務コンサルとは具体的にどのようなことをコンサルティングするのでしょうか。
業務コンサルとは
業務コンサルは、クライアントである企業に対して、業務プロセスの分析、それを受けた改善提案、業務フローの策定を支援することが主な仕事です。クライアントの中にはすでに安定した業務プロセスが確立されている企業もありますが、ではそこでどのようなことをコンサルティングするのでしょうか。
業務コンサルの役割
企業の中で、長年同じ業務フローやプロセスを使い続けていることがあります。また、業務フローやプロセスの改善はしているものの、最適化できていない場合もあります。
業務コンサルはそのような業務フローやプロセスの問題や課題を見つけて、改善を提案することが主な役割となります。
業務コンサルの仕事内容
業務コンサルの主な役割は業務フローやプロセスの問題や課題の改善を提案することです。業務の改善を提案するためには、業務の現状分析や業界動向、活用できる新技術や同業他社の事例など、幅広い知識が必要になります。
それらの専門知識を活かして業務の最適化を行い、企業の目標を達成しやすくすることが業務コンサルの仕事です。
ITコンサルタントとの違い
業務コンサルは業務の改善を行うために、IT技術を活用することがよくあるので、ITコンサルとの違いがわからないと感じる人もいるでしょう。
ITコンサルはIT関連の支援を通じた経営課題の解決が主な役割です。そのため、主な仕事はシステムの導入やIT組織の立ち上げなどの支援です。新システムの導入が結果的に業務の効率化に繋がることが多いですが、ITコンサルの主軸はITにまつわるサポートとなります。
これに対して業務コンサルは組織全体の業務改善を行うことが主な役割で、その方法はITに絞られていません。そのため、業務コンサルは必要に応じてIT技術を活用することになります。
しかし、業務改善にはIT技術の導入が必要になることが多いので、ITコンサルとその意味が混同されてしまうことがあります。
番外:コンサル業界の黎明期は業務効率化や業務改善が主だった
コンサルティングはフレデリック・テイラーが勤めていた工場のマネジメントを分析して、仮説と検証を繰り返して、工場の経営を好転させたことが始まりと言われています。
その流れから、コンサル業界の黎明期は現在のようにコンサルティングファームのような組織で活動するのではなく、個人で活動するコンサルタントが多かったようです。また、コンサルの役割は業務効率化や業務改善が主でした。
後にコンサル業界は拡大していくと共に、組織化されたり、戦略やITなどの種類に分かれ、現在の形に至っています。
業務コンサルに求められるスキル
業務コンサルは組織全体の業務を把握する必要があるので、いろいろな部署と関わることになり、いろいろな人と接することにもなります。そのため、業務コンサルに求められるスキルは非常に幅広いです。業務コンサルに求められるスキルにはどのようなものがあるのか把握しておきましょう。
コミュニケーション能力
業務改善を行うには、まず現状を把握する必要があります。そのため、必要な情報を、正確に聞き出さないといけないので、業務コンサルには高いコミュニケーション能力が求められます。
ここで求められるコミュニケーション能力は誰とでもすぐに打ち解けられるという意味ではなく、ビジネスコミュニケーションのことです。
ビジネスコミュニケーション能力がないと、相手の言葉の意図を正確に把握できなかったり、専門知識を持たない相手にわかりやすく言葉を伝えることなどができません。業務フローを分析・改善するとなると、その業務にまつわる用語や常識、慣習を理解しなければクライアントとのコミュニケーションも成り立ちませんし、クライアント企業のカルチャーを無視することもできません。
業務改善とITにまつわる知識とスキル
業務コンサルの主な役割である業務改善の知識は必須となります。また、業務コンサルは最適な業務フローを提案するために、組織全体の業務を把握する必要があります。経理や人事、営業や生産管理など、いろいろな部署の業務知識を、業務改善を提案できるほど高いレベルで持っておく必要があります。
さらに、近年では業務改善や効率化にはIT技術が欠かせなくなっています。そのため、新しいシステムの導入を提案できるくらいのIT知識も必要です。
論理的思考能力
業務コンサルは直感や感覚などで改善方法を考えるのではなく、現状を分析して、根拠に基づいた改善方法を考えないといけません。これら一連の流れを行うには論理的思考能力が必要です。
もし、何度もトライアンドエラーを繰り返し、業務改善に時間をかけるのであれば業務コンサルは必要ないでしょう。
また、クライアントに業務改善方法の提案をする際にも、相手が話の内容を理解しやすいように、根拠と結論を分けて、論理的な話の流れを組み立てるためにも論理的思考能力は必要になります。
取得しておくと良い資格
業務コンサルになるために必須となる資格はありません。しかし、多くの企業に人事や経理はあるので、公認会計士や中小企業診断士、税理士や簿記などの資格を持っていると、暗いあんtからの信用は得やすいでしょう。
また、業務コンサルはITの知識も必要になるので、業務や経営を効率化するERPパッケージを扱えることを示すERPパッケージ認定コンサルタントや、クライアントの要望に沿ったシステム関連のサポートができることを示すシステムアーキテクトなどの資格も持っておくと良いでしょう。
業務コンサルの将来性とは
コンサル業界の志望者が多く、業務コンサルも人気があります。しかし、その人気は今後も続くのでしょうか。その将来性を確認しておきましょう。
多くの求人がある人気市場
近年、企業の事業多角化が進み、業務改善を行うにはこれまでよりもさらに専門的な知識が求められるようになりました。 また、競争力向上のためITの活用による業務改善や効率化を求める企業も増えています。
これらの時代の流れを踏まえて、自社ではなく専門性のあるコンサルタントの支援を受け、自社の抱える課題を解決していきたいと考える企業が少なくありません。
このクライアント企業の求めに応じ、コンサル業界では人材を増やそうとする傾向が高まっていて、業務コンサルもその流れの中にあります。
コンサル業界が人材を増やそうとしていることで、求人数が増えてきています。ただし、求人数は増えていても、求められる能力が高く採用までのハードルが高いことに変わりはありません。
業務設計の経験を積める
業務設計とは、業務プロセスを細かく分解して、それぞれの工程を最適化したり、最適な順に組み替えたりなどすることです。
業務コンサルの仕事では現状の業務を分析する際に業務の分解を行い、問題や課題を解決する際に工程や工程の順序の最適化を行うことになります。
そのため、業務コンサルの仕事をしていると、自然と業務設計の経験を積むことができます。むしろ、事前に業務設計の知識や経験がなければ業務コンサルの仕事はできないでしょう。
専門性を高めれば存在価値が得られる
ビジネスは細分化が進んでいて、ビジネスの細分化が進むほど専門性は高くなっていきます。
特定分野の専門性を磨くことで、他のコンサルタントと差別化を図ることができ、自身のコンサルとしての存在価値を高めることができるでしょう。個の能力を高めると同時にプラスアルファとして、ソリューションや業界に関する知識を持つことが求められるでしょう。
まとめ
業務コンサルとして活躍していくには、個の高い能力と得意分野の能力を身につけておく必要があります。それを踏まえて、しっかりと準備を整えておくようにしましょう。