ビジネススキルとは働くうえで必要な能力を指し、ワードやエクセルといったパソコン操作だけでなく、コミュニケーション、専門知識、思考能力も含みます。年代別の必要スキルやその身につけ方を確認しましょう。
ビジネススキルは大きく3種類
ハーバード大学教授のロバート・カッツ氏によれば、ビジネススキルは「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3種類に分けられます。テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、仕事をする上で不可欠な専門的・技術的なスキルを指します。ビジネスマナーやパソコン操作といった汎用スキルの他、「エンジニアのプログラミングスキル」「営業マンの商品知識」など職種特有のテクニカルスキルもあります。- ビジネスマナー(身だしなみ、言葉遣い、電話対応、名刺交換など)
- パソコン操作
- 語学力
- 自社や競合の商品に関する知識
- プログラミング
- 情報収集能力
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは対人関係で用いるスキルで、仕事を円滑にするために必要な能力です。そのため新入社員から経営層まで、他人と仕事をする全ての人に必要なスキルです。- コミュニケーション
- ヒアリング・傾聴
- プレゼンテーション
- 交渉力
- コーチング
- ファシリテーション
- リーダーシップ
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは「概念化スキル」とも呼ばれ、物事の本質を理解し正しい判断を下すための能力です。課題を解決し、組織をまとめ、業務の生産性を向上させるのにも必要不可欠です。- 論理的思考(ロジカルシンキング)
- 批判的思考(クリティカルシンキング)
- 問題解決
- 水平思考
- 探求心
- 知的好奇心
Q&A ビジネススキルと知識や資格との違いは?
ビジネススキルと似たような言葉として、知識や資格という言葉が使われることがあります。これらは同じような文脈で使われますが、意味合いが異なります。知識とは「知っていること」であり、必ずしも「使いこなせること」を意味しません。必要な知識があり、かつ適切なタイミングで使いこなせる場合にスキルと呼ぶことができます。
資格とは、知識やスキルが備わっていることを証明するものです。資格試験の問題はその分野を体系的に網羅していることが多いため、効率よく学ぶことができるのが特徴です。他方、知識があれば取得できる資格もあるため、「資格がある=使いこなせる=スキルがある」とは限りません。
年代やキャリア別の注力ポイント
求められるビジネススキルは、年代やキャリアによって異なります。
新入社員はテクニカルスキルの中でも汎用性が高いビジネスマナーやパソコン操作、自分の仕事の基礎となる専門スキルを身につけましょう。営業マンであれば自社や競合の商品について詳しくなること、マーケティング職ならリサーチや分析手法の種類を学ぶところから始めても良いでしょう。またITやDXに関しての基礎知識とトレンドも、これからの時代には欠かせません。 ヒューマンスキルについては、コミュニケーション能力、特に「ほうれんそう(報・連・相)」を徹底することから始めると良いでしょう。
20代も半ばを過ぎ仕事に慣れてきたら、テクニカルスキルの中でも情報収集能力などを磨きましょう。 またヒューマンスキルの中でも、ヒアリングやプレゼンテーションが上手くなると仕事が円滑になります。ヒアリングは顧客・上司・部下など様々な人のニーズや立場を理解することに繋がり、プレゼンテーションが上手くなれば説得力や影響力も増します。
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30代や40代になりマネジメントを目指すのであれば、ヒューマンスキルの中でもコーチングやファシリテーションスキルを身につけていきましょう。ファシリテーションスキルは、ワークショップだけでなく普段のミーティングでも活かすことができます。 また、30代~40代はコンセプチュアルスキルも学び始める時期でもあります。特に論理的思考、批判的思考、問題解決力は重要です。
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転職しても役立つ「ポータブルスキル」
厚生労働省では、「職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル」として ポータブルスキルを紹介しています。ポータブルスキルのうち、現状把握、課題の設定、計画の立案など「仕事の仕方」はコンセプチュアルスキルに近い内容です。また社内対応、社外対応、部下マネジメントなど「人との関わり方」はヒューマンスキルと考えて良いでしょう。
転職を考える時は、自分の専門性だけでなく、こうしたコンセプチュアルスキルやヒューマンスキルもアピールポイントになります。特に第二新卒や未経験の仕事に応募する時には有効なので、ぜひ自己アピールや強みに取り入れてください。
ビジネススキルの学び方・身につけ方
ビジネススキルを磨きたいと思っても、「普段の業務で身に着くスキルは限られている」「うまくレベルアップできない」というケースは少なくありません。以下を参考に取り組んでみましょう。
キャリアデザインから必要スキルと目標を設定する
ビジネススキルを学ぶ上で重要なのは、目的と目標を明らかにすることです。「何のために」「どのスキルを」「どんなレベルにしたいのか」を考えてみましょう。例えば管理職にキャリアアップしたいのであれば、部下を持つことを想定したコーチングやリーダーシップといったヒューマンスキル、経営のオーダーに答えるための論理思考や問題解決といったコンセプチュアルスキルを強化しましょう。
また転職を考えているのであれば、「働きたい職種・業種で必要なスキルは何なのか」を考えてみてください。
目的や目標が決まらない場合は、まずは自分のキャリアデザインから考えてみましょう。以下の記事でキャリアデザインの方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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初めてのスキルや苦手スキルは資格を一つの目標にする
初めて学ぶスキルや苦手スキルについては、資格を一つの目標にするのも良いでしょう。資格試験に出題される内容は、その分野を体系的に網羅していることが多いです。そのため初心者が全体像を捉えるのに適しているでしょう。 また苦手スキルの場合も、「基本的な知識やテクニックを知らないので上手く使えていない」というケースが少なくありません。そうした苦手を克服する上でも、体系的に学習して資格を取得すると良いでしょう。ただし「資格を取得しただけ」だと知識で終わってしまう場合があるので、ぜひ普段の業務での実践を心がけてください。
コンセプチュアルスキルの習得はスクールやセミナーも
論理思考や批判的思考は、独学でのレベルアップが難しいスキルです。事例での練習や適切なフィードバックが必要なので、セミナーやビジネススクールを活用するのが良いでしょう。ビジネススクールでは「クリティカルシンキング講座」などが用意されています。また社内で「管理職研修」などが行われている企業もあるでしょう。 Liigaでもオンラインでのセミナーを開催しているので、ぜひ活用してみてください。
トップコンサルタントや先端企業が開催するビジネスセミナー|プロフェッショナルのキャリア支援ならLiiga
ここまでご紹介したように、ビジネススキルにも種類があり、キャリアや年代によっても重要なスキルは異なります。 ただしこれからの時代、ITやデジタルなど社会の動きは、どの年代の人でも押さえておくべき情報です。またコンサルタントが身につけているような論理的思考・批判的思考が求められるシーンも増えてくるでしょう。
Liigaでは、世の中の動きやトレンドが分かるコラム、ハイレベルな思考法・分析法が分かるセミナーなど、プロフェッショナルのキャリアを様々な角度でサポートしています。ぜひ今後のスキルアップに活用してください。