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近年、船で貨物を運ぶ海運事業だけでなく、洋上風力発電の関連ビジネスや海洋事業など、事業の幅を広げている商船三井。近年は業績も好調に推移しており、事業のさらなる拡大に拍車がかかっている。
総合商社から2021年に商船三井へ転職した佐原宙氏は、エネルギー事業や環境事業など、商船三井の新たな事業の運営や拡大に取り組んでいる。佐原氏に、次の収益の柱として期待される新規事業の魅力などを語ってもらった。
※内容や肩書は2023年4月の記事公開当時のものです
事業投資のプロになり、新たな事業をつくりたい
――これまでの経歴を聞かせてください。
佐原:2012年に、新卒で総合商社に入社しました。最初に配属されたのは、営業部が立案するM&A案件などの審査や各種制度設計を行う部署です。ここで、約8年半を過ごしました。
その中での最初の担当は、決算ごとに開示する資料に掲載するリスク・アセットの計量でした。総合商社はいろいろな投融資やトレーディングを行っていますが、例えばリーマンショックのような大きな経済危機が起こってもその損失に自己資本の範囲内で耐えられるかを計量し、適切に資産管理ができていることを対外的に開示していました。
次に担当したのは、M&A案件の審査でした。営業部が起案した投資案件について、最初の検討の段階から伴走を始め、社内の決裁手続き、クロージング、そして立ち上げの段階までを一貫してサポートしていました。
また、そのうちの1年間はトレーニーとしてニューヨークに駐在し、北はカナダから南はアルゼンチンまで、米州での取引の与信管理や在庫管理、米州域内のM&A案件の実行支援などを行っていました。
その後、サステナビリティ推進室に異動。自社のESGの評価を高めるために打つべき施策の検討や、サステナビリティレポートの作成などを行っていました。
――なぜ転職しようと考えたのでしょうか。
佐原:サステナビリティ推進室には1年ほど在籍したのですが、このままだと自分の思い描いていたキャリアとは違う道を歩むことになってしまう危機感がありました。
というのも、私はもともと、リスクマネジメントの部署でM&Aのプロになり、その次に財務や経理、あるいは営業としてフロントに立ち、最終的に新規事業をつくって海外に駐在するというキャリアを考えていました。
ところが、畑違いで、海外駐在のないESG関連の部署に異動になったため、このままでは自分が希望するキャリアが実現しなくなるのではないかと思ったのです。
自分のやりたいことを軸に、主体的にキャリアを積み上げられると感じた
――転職活動は、どのような軸で行いましたか。
佐原:考えた結果、新卒のときに一番志望度が高かった会社をもう一度受けることにしました。新卒当時、私は海外駐在に強い興味があり、海外で働けるチャンスの多い会社を探していました。その中で、商社と並ぶほど高い海外駐在率だったのが海運会社だったんです。
また、海運会社のカルチャーが自分に合っていると感じていました。海運会社は、どの企業も新卒で入社する人数が20~30人と比較的少ないため、社内のつながりがとても強く、コミュニケーションが活発だという印象を会社訪問や説明会、実際の社員の話などを通じて持っていました。それが、感覚的に合いそうだと思っていたんです。
ただ、新卒のときは海運会社に縁がありませんでした。そこで、転職活動では海運会社に絞り、商船三井ともう1社を受けました。
――最終的に商船三井への入社を決めた理由は何だったのでしょうか。
佐原:最終的な決め手は、面接の中で、“私”を主語に話ができたことでした。会社側の視点だけでなく、私は何がやりたいのか、そのために私がどのような経験やスキルを高めてきたのか、私は商船三井でどのようなことができるのかといったように、1人の人間として私に視点を置いて話を聞いてもらえたと感じました。
それによって、もちろんジョブローテーションがあることは前提に、私のやりたいことを軸としながらキャリアを積み上げていくことができるのではないかとも思ったのです。
また、商船三井は近年、事業の幅を広げようと積極的に事業投資を行い、新たな収益の種を見つけようとしています。もともと商社もトレーディングからM&Aをして多角化していき、現在のような数千億円規模の純利益を安定的に稼ぐ会社になっていったのですが、海運会社もそういったフェーズに入ったのかなと考えました。
それであれば、私が総合商社で培ったM&Aに関する経験をうまく生かすことができますし、私が思い描いていた「M&Aのプロフェッショナル」というキャリアも実現できる可能性が高い。
また、新しい事業をつくり出す際には、新卒や中途といったバックグラウンドに関係なく、皆で事業に取り組んでいく体験ができます。自分と相性が良さそうだと思った会社で、そのような経験ができそうな期待感がありました。
――入社して、自分のやりたいことを軸にキャリアを積み上げていける感覚はありますか。
佐原:確かにあります。日々の業務の中でも、上長との話し合いの中で、何がしたいのか、それはなぜかと私の考えを常に求められます。キャリア面談も定期的にありますが、その際にも、私のやりたいことをベースとしたコミュニケーションを行っています。
――他に、商船三井の特徴だと感じることはありますか。
佐原:やはり人のつながりですね。商船三井に10~20年在籍している人はあらゆる部署の社員との関係が深く、その話ならこの人に聞けばいい、この人なら知り合いだよとすぐに教えてくれます。
その理由として、新卒の入社人数が毎年20~30人であることに加えて、新卒は入社後10年の間に3部署を回ることになっているため、配属先の部署やその時々のプロジェクトでいろいろな部署の人と一緒になり、社内のネットワークが広がります。
そのため、社内で新しいプロジェクトが発足した際にも社員同士の関係構築から始まることがなく、コミュニケーションが非常にスムーズです。
一方で、中途入社だからといってなじみにくいといったことは一切ありません。中には3~4割が中途入社という部署もあり、マネジメント陣も中途人材の受け入れに慣れているので、私も特に苦労は感じませんでした。
初めて携わる仕事でも、挑戦できる場がある
――担当しているプロジェクトはどのようなものですか。
佐原:CCUS事業と、サブシー支援船事業の2つに携わっています。
CCUSとは、CO2削減施策の1つで、CO2を地中深くに貯留したり、回収したCO2を再利用したりするものです。その中で商船三井は、発電所や製鉄所などCO2の排出源で回収されるCO2を、海上輸送をして、貯留地に届ける役割を担うことを目指しています。
現在は、各CO2排出事業者がCCUSを実施するかという検討段階で、日本での実現は2030年以降になると言われています。CO2排出事業者が実行の決断をしたとしても、CO2を輸送する船の建造などを含めて、現状の検討段階から実現までに4〜5年を要する長期プロジェクトとなります。
私はその中で、CO2排出事業者に対し、商船三井がCO2の海上輸送を担うアイデアを提案しています。提案が通れば、輸送前のCO2の一時貯留設備や船に運ぶまでの設備、CO2の貯留地、パートナーを組む企業の検討などを進め、事業投資にも携わっていくことになります。
一方サブシー支援船事業では、商船三井が25%出資しているノルウェー企業、AKOFSの船舶管理や、サブシー支援船の運航などに深く関わっています。
サブシー支援船とは、海底油ガス田向けサブシー機器の設置・保守・回収作業などを行う専用船のことです。
サブシー機器とは、海底の油田・ガス田を対象とした生産活動に必要な機器のうち、海中・海底に設置する機器などの総称です。例えば、ポンプやコンプレッサー、海底井戸の蛇口(バルブ)の役割を果たすサブシーツリーなどがあります。
AKOFSは、サブシー支援船を運航管理している会社で、私は基本的には現地と週1回ほどのオンラインミーティングで情報交換を行いながら、サブシー支援船の操業状況や会社の資金繰りの管理などに携わっています。
――CCUS事業では、直近で大きな進展があったようですね。
佐原:2022年12月に1つ、ある脱炭素に取り組む事業者と覚書を締結して、プレスリリースを打つことができました。私がメインとなって提案書や契約書の作成を行い、商船三井としてできることを提案したことで、先方からやりましょうと声をかけてもらえました。
プロジェクトの取り組みが始まったのは2022年9月ごろで、私は入社してちょうど1年が経った辺り。それまではサブシー支援船事業を中心に携わっていたので、海上輸送の知識がほぼない状態からのスタートでした。その中でも、周囲の協力を得ながら海上輸送のコストや航路などの知識を学んでいき、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)バリューチェン構築に向けた締結にこぎ着けることができました。
今後は、輸送コストや船の仕様検討などに入り、早期実現に向けて動き出します。
――商船三井のカルチャーをどんなふうに感じていますか。
佐原:商船三井は「やりたいことがあるなら挑戦しよう」の精神が強い社風です。そのおかげで、ずっと希望していたフロント業務に入社直後から関わることができています。他にも転職してから初めての業務ばかりに取り組んでいますが、周りのメンバーにも助けてもらいながら、のびのびと働けています。
事業投資はビジネスの総合格闘技。過渡期にある商船三井で、大きく成長していきたい
――今後、どのようなキャリアを思い描いていますか。
佐原:M&A案件をはじめ、事業投資に取り組みたいです。
私は事業投資に対し「総合格闘技」のようなイメージを抱いています。ファイナンスの知識はもちろん、税務や法務、リスクマネジメントなど幅広い知識、そして社内外を説得していく人間力も必要になります。何よりも自分が試されますし、プロジェクトをやり切った後には非常に大きな達成感を味わうことができ、ビジネスパーソンとしても大きな成長実感を得られます。
――どんな人と一緒に商船三井で働きたいですか。
佐原:自分の頭で考えることができて、やりたいことに前向きに取り組んでいる人ですね。楽しく議論しながら一緒に働いていけるとうれしいです。
商船三井は、伝統的な海運事業から、投資を行って新たな事業を数多く打ち立てようとする過渡期にあります。加えて、昨今の好業績で財務体質が強固になっているので、将来の成長に向けて攻めていく雰囲気もあります。その中で、「自分がどうしたいのか」という意志を持って事業創出に主体的に関与できるのは、他にない魅力なのではないでしょうか。