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今回話を聞いた早川和範氏は、複数の大手外資系ファームを経験後、2023年にマネージャーとしてエル・ティー・エス(以下、LTS)に参画している。大手外資系の殺伐とした雰囲気を嫌い、穏やかなカルチャーを求めてLTSに転職した同氏だが、「若手コンサルタントの成長」については、自社のみならずコンサルティング業界全体に警鐘を鳴らす。
これからコンサルタントを目指す方にも、マネージャーとして若手の育成に携わっている方にとっても、同氏の主張は大いに参考になるだろう。
※内容や肩書は2024年7月の記事公開当時のものです
チームで結果にコミットする文化を醸成したい
――早川さんは大手外資系ファームから転職してこられたと聞きました。まずはLTSへの入社動機を教えてください。
早川:これまでに複数のファームを経験していますが、例えばBig4と呼ばれる監査法人系の総合ファームでは、監査法人のクライアント企業へのコンサルティングはできないといった制約があるんですね。もちろん利益相反を回避するためには必要な措置だと理解しているものの、取り組みたいプロジェクトに参画できず、もどかしさを感じていました。一方でLTSはプロジェクトのデリバリーや営業でもそうした制約はなく、興味のある分野にどんどんチャレンジできることが一つ目の入社動機です。
二つ目の理由は大手外資系のカルチャーが自分には合わないと感じたことですね。常に緊張感のある雰囲気で、若手に対して「発言しないなら会議に出なくていい」といった言葉を発する方もいました。バリューを出すことは重要ですが、その言葉を選んでしまうと息が詰まる空気になってしまい、結果としてプロジェクトのパフォーマンス低下につながることもあります。そうした場面を目の当たりにして、このままでは私も常にピリピリしていないといけなくなりそうな気がして、転職先を探していました。
――LTSと出会ったきっかけは何だったのでしょうか。
早川:エージェントからの紹介です。コンサルティング経験者を探しているということで声を掛けていただきました。LTSは穏やかな人が多いと聞いていましたが、カジュアル面談でも役員との面接でも、確かに大手とはかなり毛色が違うと感じましたね。
――どういった点に違いを感じましたか。
早川:自分が経験した大手外資系にはない、穏やかなカルチャーですね。一方で、個人的な感覚として、仕事に対するコミットメントやアウトプットの品質を高めるための執着心のようなものはもっと引き上げられる気がします。穏やかな社風に惹かれたとお伝えしたので矛盾するように聞こえるかもしれませんが、私としては、仕事への強いコミットと穏やかなカルチャーは高いレベルで両立できると考えています。今のLTSは、穏やかさや物事に向き合う柔らかさが強く、結果としてそちらがより先行しているように感じます。
また、新卒入社の社員が、自社への愛着が強いことも特徴的だと思います。LTSの組織改善や採用に携わりたいという若手も多いです。ただ、その反面、目線が内向きだと感じることもあります。もちろん自社への愛着が強いこと自体が悪いわけではありませんが、コンサルタントの主戦場はあくまで会社の外であり、クライアントへの貢献が最優先される必要があります。特に若手には、まずはクライアントへの提供価値の水準を高めることに集中して、豊かな経験を積んでほしいと思っています。
誤解のないように補足しておくと、LTSには非常に高いポテンシャルを持ったメンバーがそろっていますし、彼らをしっかりと育成するのはわれわれマネージャー陣の責任でもあります。実際のプロジェクトを通して私たちの知見や経験を還元し、高いレベルで戦える集団をつくり上げていきたいですね。
――今の穏やかなカルチャーを残しながら、さらに高いレベルで戦える集団にするのは、なかなか難しそうですね。
早川:これに関しては明確なビジョンを持っていまして、「チームで結果にコミットする」文化をつくっていきたいと思っています。みんなこの会社の人が好きで集まっているので、そこを強みとして、チームで戦っていく方が絶対にいい。それに、一人の力量でできることには限界もあります。ビッグファームは良くも悪くも個人プレーヤーの集まりですが、LTSはチーム戦をメインにすることで、彼らと差別化を図ることもできるでしょう。
コンサルティング業界全体で、人の育成が追い付いていない
――チームプレーを得意とすることの他に、貴社ならではの強みや特徴はありますか。
早川:LTSは、クライアントの「協創のパートナー」と標榜(ひょうぼう)している通り、徹底して伴走支援するスタンスが強みです。きめ細かくヒアリングしながら業務プロセスを洗い出し、どこで何が起こっていて何が課題なのかを特定する。そして5年後、10年後にどういう姿を目指すのかを描き、その実現に向けて一つ一つ課題を解決していきます。
そういったプロジェクトは、手間がかかるので大手ファームはやりたがりません。しかしこれだけ変化の速い時代において、大企業であっても業務もシステムも整理できていないことが多く、実際にこの領域への引き合いやニーズは非常に増えています。ここを支援できることはLTSの強みの一つだと考えています。
また、最初に業務の全体像を捉えることができれば、その後にどんどん上流の領域に展開することが可能です。「ここのプロセスを改善するためにデジタル化しましょう」といったDXの提案はもちろん、効率化によって確保できたリソースをどう振り分けるかという人事戦略に拡大するケースも十分考えられるでしょう。
最初に上流の戦略立案から入るプロジェクトもありますが、現場のプロセス把握やオペレーション改革からボトムアップで戦略に切り込んでいくスタイルは、LTSならではの特徴ですね。
――変化の速い時代だというお話もありましたが、コンサルティング業界自体にも何か変化は起きていますか。
早川:個人的な意見ですが、コンサルティングファームの増加や拡大のスピードに対して、業界全体で人材育成が追い付いていない感覚はあります。結果的に、一人一人のコンサルタントの力量が落ちてしまっている、または今後そうなっていくファームも出てくるでしょう。以前のコンサルティング業界は、とにかく厳しい環境で長時間働かせることで、成長する人と、ついてこれない人を選別するというやり方を取っていました。俗にいうup or outですね。
現代の常識に照らし合わせれば、この手法は許されません。しかし、それ以外の育成方法を、業界としてアップデートできていないのではないでしょうか。もちろん、各社新しいやり方を模索していますが、まだなかなかうまくいっていない印象です。この問題は、少なくともしばらくの間は多くのファームを悩ませることになるでしょう。
近年は新興ファームも数多く生まれていますが、これからは大手も含めて淘汰の時代が来ると予想しています。クライアント側もコンサル慣れしてきていますし、コンサルティングファームはやはり個々人のスキルが最大の資産ですから、人材を育成できないファームは生き残ることは難しいと思います。
失敗からはい上がる経験こそが、人を大きく成長させる
――若手を育成する際にどんなことを意識しているのでしょうか。
早川:前提として、私も育成の“正解”は持ち合わせていません。ただ、限られた時間を何に費やすのかは意識して指導しています。
具体的に言うと、資料の体裁を整えるところではなく、考え抜くことに時間を使ってほしいと常々伝えています。例えば、クライアントが本当は何に悩んでいるのかを把握すること、広がった議論を収拾してまとめ上げること、重要な論点を整理すること。私たちの仕事は考えることに価値があるので、いわゆる仮説思考や問題解決能力を身に付けることが最も大切です。長時間労働が許されない以上、キャリア構築においても選択と集中を徹底することは必須でしょう。
もう一つ意識しているのは、できるだけ失敗を経験させてあげることです。私の経験として、成功体験から強くなることはあまりありません。自信につながることはありますが、過信になってしまうリスクもあります。それよりも、自分自身で考え抜いて解を出し、失敗して悩んでもがいてはい上がる。そうした経験こそが人を成長させると確信しています。致命的なミスが起きそうならフォローをしますが、できる限り任せていく方針です。
――なるほど。これから入社してくれる方には、どんなことを期待しますか。
早川:若手と中堅で分けて話すと、若手の皆さんには強い向上心や野心を持っていてほしいと思っています。試合に参加したいという気持ちではなく、絶対に勝つんだという強い気概、そしてそのための練習を怠らない姿勢。壁にぶつかったときにも逃げることなく真正面から向き合ってくれることを期待します。
それと、何でも「はい」と言ってうなずくよりも、「それは違うんじゃないですか」と言ってくるタイプに魅力を感じますね。私が全て正しいなんてことはあり得ないですし、たとえ間違っていても自分の考えを頑張って伝えようとする方が伸びしろもあると思います。
中堅、つまりコンサルタント経験者の皆さんには、若手に対して自身の培ってきたスキルや知見をたくさん還元してあげてほしい。LTSは組織として未完で、これから成長させていくフェーズにあります。若いメンバーを適切に導き、「高いレベルで戦える集団」を一緒につくってくださる方を心から求めています。
また、LTSでは制度を改定して全体的に報酬水準を引き上げているので、待遇についてはビッグファームと同程度かそれ以上になってきました。報酬がネックで、大手外資系から国内系ファームへの転職を考えていなかった方にも安心していただけると思います。これから自分でチームをつくっていきたい方や、大手のファームで過去の自分と同じようなもどかしさを感じている方は、ぜひ力を貸してください。