転職エージェントはやめとけって本当?使うなと言われる理由と見極め方
2024/09/04

転職エージェントについては否定的な意見も見られますが、必ずしも「利用しない方が良い」とは限りません。むしろメリットも多く、活用方法も多様です。

ここでは「転職エージェントを使うな」と言われる理由や利用すべきでない転職エージェントの特徴、転職エージェント利用のメリット、そして見極めのポイントを分かりやすく解説します。

転職エージェントは使わない方がいい?

インターネット上で「使うな」「やめとけ」といった意見も見られる転職エージェント。

これらはあくまで一意見であり、必ずしも「使わない方がいい」とは言えません。ただし、以下のように注意すべき点があるのも事実です。

  • 転職エージェントの利用には向き不向きがある
  • 信頼できない転職エージェントもいる

「転職エージェントを頼るべきか否か」は、その人の性格や達成したい目的、目指すキャリアの方向性などによって異なります。まずは、自分に合ったキャリア形成の方法を考えましょう。

そのうえで、転職エージェント利用では「誰に支援してもらうか」の見極めが非常に重要です。

「転職エージェントを使うな」と言われる理由4つ

そもそも転職エージェントを「使うな」「やめとけ」と言われる主な理由は、以下の通りです。

理由①直接応募より不利になるケースがあるから

資金力のない企業などでは「直接応募の人を優先して採用する」というケースがあります。転職エージェント経由の採用では、エージェント会社への成功報酬の支払いが発生するからです。

ただし転職エージェントを活用すれば、求職者は企業との相性を踏まえて求人を紹介してもらえますし、応募後の支援もしてもらえます。特に、難易度の高い企業を受ける場合は、情報提供や選考対策が非常に役に立ちます。

【関連記事】転職エージェントと直接応募はどっちが有利?ケース別おすすめ応募方法

Q. 大企業はエージェント会社を利用していないって本当?

大企業は、自社の採用サイトで人材を集められることが多いです。そのため、採用でエージェント会社を頼らないケースも確かにあります。

他方で大手企業は資金力があり、優秀な人材ならお金をかけてでも採用します。

特に信頼できる転職エージェントに対しては、非公開求人など貴重な求人情報を提供していることも多いです。

理由②企業本位や知識不足な転職エージェントが一定数いるから

転職エージェントは求職者からお金を受け取らず、転職成立時にクライアント企業から報酬を受け取る収益構造です。そのため企業本位の転職エージェントもおり、なかには「すぐ転職する気がない人に強く転職を促す」「求職者の希望と異なる企業への応募を迫る」といったケースもあります。

また、現在はエージェント会社の数が増えており、それ故に業界や企業に詳しくない転職エージェントの数も増えているようです。いくら誠実な人物でも、情報量やコネクション、内定に導くだけの技量がなければ、利用のメリットが薄いです。

Q. 転職エージェントは相談だけで活用していいの?

すぐ転職する予定がなく「相談だけ」というケースでも、全く問題ありません。

実際に、転職エージェントを活用する人の中には「将来この職に就くために、これから何をすべきか」「現職でスキルアップをしたら転職したいが、市場の状況はどうか」など、長い目で見たキャリアの壁打ちや情報収集を目的としている人もいます。

理由③応募できる企業が限られることも多いから

転職エージェントに頼ると、そこから応募できるのは「転職エージェントが求人情報を有している企業」に限られることが多いです。

ただし求職者本位の転職エージェントは、自社にない求人についても前向きに相談にのってくれます。また複数の転職エージェント会社を利用して幅広く求人を探したり、直接応募と併用したりするのも可能です。

理由④企業を紹介してもらえない可能性があるから

求職者によっては「求人紹介を断られる」というケースがあります。

転職エージェントは、クライアント企業から事前に「求める人材の条件」などを聞いています。求職者が企業の提示した条件に合わなければ、求人自体を紹介しないことも多いです。

ただし、多くの企業は不採用にした人物について「一定期間の応募を受け付けない」といったルールを設けています。だからこそ、転職活動では下手に不採用の通知を受け取らないことも重要です。

Wayout Strategic Partners 石井康裕氏のインタビューより

私は、採用のモメンタムが落ちているところに無理に推薦し、いたずらに不採用の結果を付けるのは避けるべきだと考えています。不採用となれば求職者が精神的なダメージを負い、また落ちてから一定期間は再応募も難しくなるからです。

企業は採用効率を上げるため、一般に直近1〜2年の再応募を禁止しています。そうなると、後に採用のモメンタムが上がってきた時のチャレンジもできなくなってしまいます。

※モメンタム:企業の採用意欲や採用に関する今後の見通しを指す言葉

石井氏のインタビュー記事全文はこちら

利用すべきでない転職エージェントの特徴4つ

キャリア支援をしてくれる転職エージェントが信頼に足る人物でなければ、利用のメリットがなくなってしまいます。

ここでは、利用を避けるべき転職エージェントの特徴を4つご紹介します。

特徴①連絡が遅い

求職者本位で動き、技量のある転職エージェントは、基本的に連絡がマメです。なぜなら、細やかな対応が求職者の安心につながることを理解しており、かつ質問や相談にすぐ回答できるだけの知識やネットワークがあるからです。

一方、返信が遅い転職エージェントは求職者の心理状態を考えていなかったり、仕事が遅かったりするケースが多いです。

特徴②業界や企業に関する知識がない

転職エージェントの中には、担当業界や企業に関して知識が浅い人もいます。この場合、希望やスキルに合わない企業を紹介されたり、選考対策も充分に受けられなかったりします。

転職エージェントの利用前には、経歴や支援実績、口コミで業界経験や周囲の評価を確認すると良いでしょう。また、質問しても返信が遅かったり、曖昧な答えが返ってきたりする場合は他の転職エージェントの利用も検討してください。

特徴③希望と異なる求人を強く勧めてくる

企業本位、或いは利己的な転職エージェントは「求職者を転職させること」に集中し、求職者の希望と異なる求人を紹介したり、強く勧めてきたりします。こうしたケースはミスマッチのリスクも高く、危険です。

求職者本位の転職エージェントでも、求職者が考えていなかった企業を提案することはあります。しかし、そうした場合はきちんと理由を説明してくれるはずです。

特徴④応募を急かしてくる

「まずは応募しましょう」「早く応募しないと締め切られます」と応募を迫る転職エージェントは、求職者の内定を急いでいることが多いです。

求職者本位で、かつ実力のある転職エージェントは、自分に余裕があるからこそ「転職すべきか否か」「タイミングはいつが良いか」を考えてアドバイスし、最終的な決断も求職者に委ねます。

転職エージェントの見極めに役立つ口コミ

エージェント会社の登録前に、個々の転職エージェントを見極める情報源として活用できるのがプロフィールや口コミです。

特に口コミは「返信は早いか」「どういった分野に詳しいか」「どのような情報を提供し、選考対策では何をしてくれるか」など、利用者から見た評価を確認できます。

Liigaでは、転職エージェントのプロフィールや口コミを公開。特に口コミでは、総評の他に「キャリア相談」「求人の提案」「選考対策・レジュメの添削」「企業・業界情報の提供」「コミュニケーション」と5項目に分けた評価も掲載しています。

転職エージェント利用のメリットとは

転職エージェントの利用は、実は以下のように多くのメリットがあります。

メリット①中長期的なキャリアの壁打ち相手になってくれる

転職エージェントは、キャリアの壁打ち相手としてプロの視点でキャリア形成のアドバイスをくれます。自己分析では気づかなかった強みを教えてもらえたり、自分の最終目標に向けて中長期的な戦略を提案してもらえたりするのがメリットの一つです。

特に、求職者本位の転職エージェントなら「転職するか否か」に関わらず、じっくり話を聞いてアドバイスしてくれるでしょう。

【関連記事】エージェントに頼る意義。それは“転職のプロ”だけが持つ知見と情報

フォルトナ株式会社 栗山卓也氏のインタビューより

私は「すべての人々が転職活動を行うべき」だと考えています。ただし「必ず転職すべき」という訳ではありません。

重要なのは、人生で成し遂げたい目標から逆算し、目指すべき次のキャリアを見つけることです。その手段の一つが転職活動であり、「転職するかどうか」は二の次です。

だからこそ、私は長期支援を基本のスタイルとしています。すぐに転職を考えていなくても、また転職直後であっても、いつでもご相談者様の壁打ち相手になれる存在でありたいです。

栗山氏のインタビュー記事全文はこちら

メリット②希望条件に合う求人や非公開求人を紹介してくれる

転職エージェントは、基本的に求職者の希望や実力に合った求人を紹介してくれます。クライアント企業の情報なども踏まえて選んでくれるため、未経験の業界への挑戦や初めて転職する場合は、特に心強いでしょう。

また、転職エージェントは一般的な求人サイトで公開されていない、秘匿性の高い求人情報を有していることも多いです。こうした求人は、人気企業が応募の殺到を避けたり、重要ポジションだからこそ公開を避けたりする目的で使われています。

さらに、クライアント企業に対して求職者が活躍できるポジションの創出を提案するケースもあります。

株式会社ネオフェクト 井手裕典氏のインタビューより

また、(転職エージェントは)中長期的なキャリアビジョンを見据えてアドバイスや提案を行う人も多いです。場合によっては、理想のキャリアを実現させるために候補者を企業に提案し、その方が活躍できるポジションを創出することもあります。

井手氏のインタビュー記事全文はこちら

メリット③転職市場や業界、企業の情報収集ができる

求職者が転職市場や業界の動向、企業の情報を収集しようと思っても、得られる情報は限られています。これに対して、転職エージェントは転職市場や業界の情報はもちろんのこと、クライアント企業から採用動向や選考の詳細情報を聞けることも多いです。

実績のある転職エージェントなら、企業の面接担当者に関する情報をもっていたり、過去に支援した人で同じ企業に勤めている人がいれば話を聞いてくれたりします。

XG Partners株式会社 蓮子哲也氏のインタビューより

たとえば弊社では、各社の特徴はもちろん、「面接におけるキーマン」や「対策情報」といった選考に関わる詳細情報も提供しています。自分で企業を回ることに加えて、独自のネットワークを使い、さまざまな情報を多角的に集めています。

蓮子氏のインタビュー記事全文はこちら

メリット④選考の対策やフォローをしてくれる

求職者の内定を後押しするため、転職エージェントはレジュメの添削や面接対策もしてくれます。業界知識や企業情報が豊富な人なら「どういった質問をされるか」などの傾向も教えてくれるでしょう。

また、書類提出の際に求職者の人となりや勤務情報の詳細を記した推薦文を提出したり、面接後でも企業に面接内容のフォローをしたりしてくれます。さらに、企業から面接後のフィードバックを聞くなど、今後の面接の質向上につながる情報も提供してくれます。

アライバルズ株式会社 前田雄一郎氏のインタビューより

(PEファンドの選考対策では、)まずは志望動機を自由な形で書いてきてもらい、情報を整理しながら候補者の軸となる部分を確立させます。

志望動機が完成し、業界情報の整理や候補者の考えの整理ができたところで、今度は質疑応答の壁打ちをします。最終的に、応募までにかける準備期間は1〜2カ月程度です。

応募以降も面接対策を続け、面接が終わるたびに内容を振り返ります。今後の面接に活かせるよう、「何がダメだったのか」「次はどうすれば良いのか」を候補者と一緒に練り上げていきます。

前田氏のインタビュー記事全文はこちら

メリット⑤試験日程や年収、入社日の交渉・調整をしてくれる

転職エージェントは、求職者の選考が複数社でバッティングしないようにしたり、各社から内定通知を受け取るタイミングが重なるように工夫したりと、選考の日程調整をしてくれます。

また、上記のほかに年収や入社日も交渉してくれます。

自分に合う転職エージェントを見極めるポイント

ここまでご紹介したように、転職エージェントの利用は、必ずしも悪い訳ではありません。しかし「誰に支援してもらうのか」の見極めは非常に重要です。

求職者本位で、かつ自分に合う転職エージェントを見極めるためには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 転職エージェントの利用目的と方向性を明確にする
  • 事前にプロフィールや口コミを確認する
  • 複数の転職エージェント会社に登録し、面談する

「とにかく情報収集をしたい」「短期間で転職したい」「連絡はメール中心が良い」など、まずは転職エージェントの利用目的や方向性を明確にしましょう。そのうえで、自分に合う人を探してください。プロフィールの経歴や実績、口コミが絞り込みのヒントとして使えます。

また、エージェント会社は各社で方針や特徴があり、転職エージェントとの相性も実際に話してみなければ分からないことが多いです。だからこそ最初から1社(1人)に絞り込まず、複数登録して面談や求人紹介を受けてみることも重要です。

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コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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