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カーライル。言わずと知れた米国発のグローバル投資会社で、そのプライベートエクイティ(PE)部門は、日本でも昨今あらためて存在感を高めている。日本KFCホールディングスなど国内企業の経営を巡るニュースで、名を目にした人も多いのではないだろうか。
そんなカーライルが、日本での事業拡大に向け採用を強化している。証券会社のIBD(投資銀行部門)から2023年に転職した金井真依さんいわく、カーライルにフィットするのは「人間味、要は愛きょうのある人」。金融系のバックグラウンドやハードスキルが重視されがちなファンド系企業を語る中、「人間味」「愛きょう」といった言葉が出てくるのは意外な感もある。
ただそれには、カーライルの投資方針にひも付く明確な理由がある。金井さんと同社でヴァイス プレジデント(VP)を務める呉舜亞(ウー・シュンヤ)さんの対談からその理由、つまりカーライルが「意外と人間くさい」背景が見えてくる。
※内容や肩書は2025年6月の記事公開当時のものです。
M&Aや資金調達だけでない「経営の全体」を見るため、投資銀行からファンドへ
――金井さんは2023年、呉さんは2019年にカーライルに入社したと聞いています。2人とも、前職は金融系なんですよね。
金井:そうです。私は新卒で日系の証券会社に入って、IBDで主にM&Aアドバイザリーの仕事に6年ほど携わりました。最初の4年くらいが国内、残りはシンガポールでの勤務です。現地では、アジア太平洋地域の企業によるクロスボーダーM&Aなどを支援しました。
呉:僕は外資系投資銀行のIBDに4年くらい在籍して、主にDCM(デット・キャピタル・マーケッツ、*1)の仕事をしていました。例えば、社債の組成(ストラクチャリング)や値付け(プライシング)、その他資金調達に伴うクライアントのサポートとかですね。大企業のトップに寄り添い、ロードショー(*2)で一緒に海外を回ることもよくありました。
*1 債券発行を通じた資金調達などを支援する部署 *2 機関投資家向けの説明会
――そもそもなぜ、IBDに入ったのですか。
金井:親戚に外資の金融系企業で働いている人がいて、何となく憧れがあったんです。それに学生時代の先輩でも、IBDに入った人がいました。その人はM&Aアドバイザリーの仕事をしていて、話を聞いて面白そうだと思ったんですよね。
M&Aは企業を一気に成長させる、強力なドライバーになり得ますから。
呉:僕は10代のときから資本市場にとても興味があり、当時も親の許可と協力を得て金融資産の運用をしていました。なので、理由としてはシンプルです。資本市場の仕組みやルールを、できるだけ早く吸収したいと思ったんですよね。
――実際、得るものはありましたか。
呉:はい。資本市場の基礎的な知識はもちろんですが、企業のトップに寄り添って仕事をする中で、経営者との向き合い方も学べました。あとは単純に、難しい局面で「やり切る」ための胆力も育まれたと思います。
金井:私も、前職で多くのことを得られたと感じます。経営に近いところで仕事をする中で大いに勉強になりましたし、想定通りとても面白い仕事でした。
――前職で充実していたにもかかわらず、キャリアチェンジをしたのはなぜですか。
金井:M&Aは確かに、経営の重要な要素の一つです。でも、一部でしかないんですよね。M&A後のPMI(経営統合プロセス)に加えて、例えば日々のオペレーションやマーケティングなど、他にも多くの要素があります。IBDでM&Aを含む資本戦略のスペシャリストになるのも、いいキャリアだと思います。一方で自分自身は、そこにとどまらないで企業経営の全体を見られるようになりたいと思うようになったんです。
そんな理由で、2021年からの2年間、米国のノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にMBA留学しました。
呉:キャリアチェンジの理由は、僕も似ていますね。債券の領域も奥が深くて、M&Aのように専門家になる道もあります。でも自分としては、企業経営に関わる仕事がしたくなった。結果、金井さんと同じくMBAの道を選びました。
たまたまですし時期は僕の方が早いのですが、金井さんと同じケロッグ経営大学院です。このとき経験したことが、PEファンド業界に入るきっかけになりました。
カーライルはメンバーのバックグラウンドが多様だから、M&A未経験でも飛び込んだ
――MBA時代の経験が今のキャリアにつながっているということですが、具体的にどんな経験の影響が大きいのですか。
呉:インターンの経験ですね。「もっと深く企業経営そのものに関わりたい」という思いの下、当時2通りの方向性を考えていたんです。一つがヘッジファンドなど資産運用系の企業。上場株への投資を通じて、有力な企業の経営に関わることができるのではないかと考えていました。
そしてもう一つが、PEファンドです。
――米国でのインターンで、両方を経験したのですか。
呉:はい。結果、経営に深く関わりたいという自分の志向性にはPEファンドの方が合うと結論づけました。ヘッジファンドなどは確かに、有力な企業の経営に影響力を及ぼします。ただその影響力にも、限界があると実感したんですよね。アクティビスト的な立ち位置であって、経営のコアに関わるわけではありませんから。
――その一方で、PEファンドの仕事は違ったと。
呉:そうなんです。文字通り企業の経営陣と足並みをそろえて、一緒に進めなければいけない仕事だと感じました。
金井:私も同じような経験をしました。インターンで米国のヘッジファンドとPEファンドの両方に勤めて……。
――結果的に、PEファンドに引かれたのですか。
金井:ええ。ヘッジファンドの仕事は、どうしても資本市場の動向に大きく影響されます。PEファンドであれば、市場のノイズに左右されずに、長期的に腰を据えて経営に向き合えるのではないかと感じました。
――PEファンドの中で、カーライルを選んだ理由は。
金井:前職でカーライルの社員と関わる機会があった影響は大きいですね。
――IBDにとって、PEファンドは重要クライアントの一つですね。
金井:そうなんです。なので、当時はいろいろなPEファンド企業と一緒に仕事をしました。印象的だったのが、カーライルはリターンを上げることだけではなく、どう経営陣や従業員と向き合って会社を良くしていくかという、人間的な部分を大事にすること。例えば一つ一つのコミュニケーションの質とかに、今だから当時以上に断言できますが、カーライルらしさがにじみ出ていたと感じます。
呉:僕の場合は、もう一つ大きな理由があります。
僕のように、M&Aの仕事について未経験な状態からMBAを取得して入社した人が、カーライルには結構いるんです。他のファンドは、M&Aの仕事の経験者が、割合としてもっと多いはずです。
――カーライルは、メンバーのバックグラウンドが多様なんですね。
呉:はい。コンサルティングファームや事業会社など、金融以外の出身者も少なくありません。なので、M&A未経験でも成長して活躍できる土壌があることは、魅力だと感じました。
投資先の自発性を大事にするカーライル。フィットするのは「チャーミングな人」
――カーライルでの仕事内容についても聞かせてください。
金井:投資先としては、研磨材メーカーの三共理化学を担当しています。取締役会をはじめとした経営レイヤーの会議にほぼ毎週参加して、会社の課題、やるべきこと、実行の方策などについて、経営陣と議論を重ねています。
あとは、新規投資先の開拓にも関わっています。投資先候補の経営者とのミーティングで、カーライルとしてどう企業価値向上に貢献できるかを議論しています。
金井:所属でいうと、CRH(Consumer Retail Healthcare)というセクターに属しています。カーライル・ジャパンはセクター制を採っていて、メンバーはVPになる前に計3〜4年くらいをかけて、ローテーションで2〜3程度のセクターを経験することになっています。VPに上がるタイミングでそのローテーションから外れて、それぞれが自分のセクターにおける専門性を突き詰めていく形になります。
呉:僕は現在、CRHでVPとして仕事をしています。それ以外にカーライルには、GIG(General Industries Group)、TMT(Technology Media Telecom)といったセクターがあります。
――呉さんの具体的な仕事内容についても、教えてください。
呉:投資先で担当しているのは、日本KFCホールディングス、エネウィル、オリオンビールの3社。それから金井さんのように、新規投資先の開拓にも携わります。投資先の仕事は大抵マネージング ディレクター(MD)、VP、シニア アソシエイトもしくはアソシエイトの3人で担当するのですが、僕はVPとして実行する施策の詳細設計を担うことが多いですね。
大枠の方針はMDに意思決定してもらいつつ、そうやって決まったあるべき未来を実現する方策について、詳細を詰めていきます。具体的な道筋がなかなか見えなくて、苦心することも少なくありません。
――印象に残っている仕事はありますか。
呉:全て大事な仕事ですが、2024年は特に、日本KFCホールディングスの案件に熱量を注ぎました。買収するにあたって、KFCのブランド権を持つ米国企業と、かなり複雑なマスターフランチャイズ契約(*3)を結んだんです。細かい条件の調整など、交渉はなかなか難しかったですね……。
*3 フランチャイズ業を営む事業者が、特定の国・地域について別の事業者にフランチャイズ権を委託する契約
結果的に案件が成立して、その後ふさわしい方に社長に就任していただくことができたので、かなり達成感を得ることができました。
――こういったカーライルの仕事にフィットするのは、どんな人だと思いますか。
金井:人間味、要は愛きょうのある人ではないでしょうか。もちろん、最低限の経験やスキルは必要です。ただカーライルで成功する人は、プラスアルファとして人間的な魅力も兼ね備えている印象です。
――失礼かもしれませんが、ファンド系企業の一般的なイメージとは違うと感じました。
金井:確かに「ロジカル」「スマート」といったイメージが先行しているかもしれませんね。もちろん、論理的なことや事実を正しく伝えることも重要です。一方でPEファンドは、投資先の経営陣やアドバイザーの方々など周りの人とビジョンを共有しつつ、周囲のサポートを得て初めて成り立つ仕事です。
またカーライルの特徴でもありますが、会社の方向性や打つべき施策などについて、マネジメントとしっかり合意形成して物事を前に進めるために、人間として信頼されて一緒に働きたいと思ってもらうことが、非常に重要だと考えています。言い換えると、意外と人間くさい仕事なんですよね。
呉:その傾向は、カーライルのバリューアップスタイルにも表れていると思います。
――カーライルのスタイルとは。
呉:投資先に対して無理強いはせず、自発性を大事にするんです。だから心の底から納得してもらうことが必須です。
実際、カーライルにはチャーミングな人が多いと思いますよ。別の角度から言うと、いい意味でナイーブで、特定の産業や日本全体を良くしたいという情熱を持っている人たちですね。
カーライルで経験できることはまだまだある。今はファンド以外の仕事に興味なし
――今IBDにいて、ファンド系企業の仕事に興味を持っている人に伝えたいことはありますか。
金井:まずは目の前の案件に真摯(しんし)に向き合い、案件の経験を積んでいくのがいいと思います。その中で、PEファンドと仕事をすることがあればその機会を活用して、各ファンドのカルチャーや投資方針を比べてみてもいいのではないかと思います。
呉:金融取引そのものへの関心が高いならば、IBDに残った方がいいと思います。一方で経営という営みに引かれているのなら、できるだけ早くPEファンドに来た方がいいのではないでしょうか。
――早い方がいいのですか。
呉:はい。PEファンドでの仕事は、長い年月を要するものになりがちです。なので若いうちに入った方が、分厚い経験を積めると思います。
――個人的な今後の展望があれば、聞かせてください。
金井:呉さんが言ったように長期間にわたる仕事なので、まずは担当案件をゴールに導くことを経験したいですね。あと個人的な話ですが出産を控えていて、育児と仕事をうまく両立しながら女性プロフェッショナルとして活躍していきたいと思っています。
呉:カーライルに入って5年以上がたち、本当に多くの経験をさせてもらってきました。ただ、携わったことがない投資やバリューアップテーマもたくさんあるんです。例えば、M&Aを通じた事業再編とか、ロールアップ(*4)型のM&Aとか。まだまだ経験したいことがあって、仕事の対象としては今のところ、ファンドビジネス以外に興味はないですね。
*4 連続的に同じ業界の企業を買収すること