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エンジニア、事業開発、コンサルタント、最高執行責任者(COO)、起業家と、多様な立場から日本企業の“変革”と向き合ってきた清水勇樹氏が2018年に創業したコロニーは、「クライアントが卒業できる支援」を目指す新しい形のコンサルティングを目指している。「課題解決の民主化」をビジョンに掲げる同社の理念と、その実現に向けた取り組みを聞いた。
※内容や肩書は2025年7月の記事公開当時のものです。
複数のキャリアを経てたどり着いた「価値ある支援」の答え
――これまでの経歴から聞かせてください。
清水:新卒でNTTデータに入社し、インフラエンジニアとして働き始めました。数年後、営業部門へ異動して新規事業開発に携わるようになり、そこでコンサルティングファームの人たちと仕事をする機会が増えました。システムよりも上位のビジネス課題に真正面から向き合う姿勢に触れ、コンサルティングという仕事に強く引かれるようになりました。そこで、デロイト トーマツ コンサルティングへ転職しました。当時はまだ組織規模も大きくなく、戦略立案から業務改善、システム構築、組織設計まで、幅広い領域を経験できました。多様なプロジェクトに関われたことは、今思えば大きな財産ですね。
ただ、「本当に価値ある支援ができているのか」と次第に疑問を感じるようになりました。クライアントの役に立っている実感はあるものの、プロジェクトが終わった後、組織に変化が根付いていない。そんなもどかしさを解消したくて、事業会社である楽天への転職を決めました。
――楽天では、どのような業務に携わっていたのですか。
清水:EC事業者向けの支援部門で、新規部署の立ち上げなどを経験しました。その後、知人と飲食店向けマーケティング支援SaaSを立ち上げ、COOとして経営に参画しましたが、残念ながら事業撤退という結果に終わりました。この失敗も含めて「自分が本当にやりたい支援とは何か」が明確になりました。フリーランスコンサルタントとして再出発した後、本質的に意味のあるコンサルティングを実現したいという思いから、コロニーを創業したのです。
成果が積み上がらない“支援”への違和感
――従来のコンサルティングに疑問を持ったきっかけを教えてください。
清水:コンサルタントとしての仕事は充実していましたし、やりがいもありました。ただ、ある時ふと「自分がやっていることは、どれだけクライアントの中に残っているのだろう?」と疑問を持ったのです。数カ月から1年かけてプロジェクトを支援しても、支援が終われば現場には“知見”ではなく“資料”しか残っていない。自分の成果が積み重なっていく感覚が持てなかったのです。
決まった人数を一定期間アサインして提供する支援モデルでは、稼働ありきで人を入れるケースも少なくありません。それが最適なチームかといえば、そうではないケースも散見されます。支援は成立していても、本当に企業の変革や成長に貢献しているのかと問われると、言葉に詰まる瞬間がありました。
また、プロジェクトが終わるたびに、他社でも同様の課題が繰り返されることに違和感もありました。これは「支援する側」が答えを持って提供するという構造に限界があるのではないかと感じたのです。
――その違和感が、現在のコロニーの方針につながっているのですね。
清水:はい。単なる課題解決ではなく、「課題を解決できる組織を育てる」ことが、本質だと思うようになりました。支援が終わってもクライアントが自走できる状態でなければ、本当の意味での価値提供とは言えません。
そう考えたときに、これまでの支援モデルを根本から見直す必要があると強く感じたのです。
思い通りにいかない創業期も、思想だけはブレなかった
――コロニーの創業に至るまでの経緯を教えてください。
清水:実は、最初からコンサルティング会社を立ち上げようと思っていたわけではありません。当初は、事業会社を買収・統合して再成長させていくような投資型のロールアップモデルを構想していました。いわば「事業の再編と成長支援」をセットでやるようなイメージです。
ただ、この構想を実行するには多額の資金と仲間が必要です。そこで、まずは自分にできることから始めようと、個人事業主としてクライアント支援を引き受けるところからスタートしました。その過程で、「これは1人ではできない。けれど、既存の会社組織に当てはめたくもない」と考えるようになったのです。
――それが「最適な人材でチームを組む」という現在のモデルにつながるのですね。
清水:コロニーは、社員だけで固定チームをつくるのではなく、プロジェクトごとに最適な人材を社内外から集めてチームを編成します。社外のコンサル人材とのネットワークを活用し、課題に応じたベストチームを組む。いわば「コンサル版プロデュースカンパニー」です。 コロニーではこの形を「オーケストラ型コンサルティング」と呼び、拡大を進めてきました。
この設計思想の根底には、「人がいるから案件を取る」のではなく「課題があるからチームをつくる」という考えがあります。従来のコンサルティングモデルとは発想が180度違います。まだ規模や仕組みの面で課題はありますが、うまく推進していこうと思います。
「支援する側」から「共に変える側」へ
――コロニーの支援は、既存のコンサルティングファームとどのように違うのでしょうか。
清水:一番の違いは、支援のゴールを変革の“内製化”に置いていることだと思います。従来のコンサルティングは、外部の専門家が現場に入り、課題を整理し、解決策を提示し、場合によっては手も動かして実行する。今も主流のこのスタイルに疑問を感じています。
外部の人間が動いてしまうと、現場の人たちは“変わる”経験を積めません。どんなに優れた戦略でもそれを回し続けるのは組織自身であって、外部の私たちが全てを推進することはありません。だからコロニーでは、クライアントが自分たちで変われる力を持つことを第一に考えて、プロジェクトを設計しています。
――支援の“出口”までを設計するということですね。
清水:はい。短期的な成果だけでなく、プロジェクト終了後も組織内に変化の「再現性」が残るかどうか。その観点から支援内容や体制を設計します。アサインもコンサルタントの稼働ありきでは決めません。「このフェーズにどんな専門性が必要か」「社内の誰を巻き込めば定着するか」という全体設計を重視します。週1回参画する専門人材を複数組み合わせることもあれば、クライアントの若手を巻き込んで共に成長する設計にすることもあります。
――そのような支援の先でどのような状態を目指すのでしょうか。
清水:目指すのは、“卒業できるコンサルティング”です。プロジェクトが終わった後、「このやり方なら、次は自分たちでできる」と言ってもらえる状態。それが、コンサルタントとしての本当の価値提供じゃないかと思っています。
課題解決の民主化とは、「変えられる人を増やす」こと
――コロニーのビジョンとして掲げられている「課題解決の民主化」。この言葉に込めた意味を教えてください。
清水:世の中には、「課題があるのに、それに気付いてもいない」「気付いていても、どう動けばいいか分からない」——そんな組織がまだまだたくさんあります。課題は特別な人だけが解決できるものではないと考えています。むしろ、「問いを持ち、動ける人」が増えれば、企業も社会ももっと健全に進化できるはずです。
「課題解決の民主化」という言葉は、課題解決をもっと簡単にしていく。そのために社内外の人材の活用を推進するという思いがありますが、究極的には、意思ある個人が、立場に関係なく課題を見つけて、誰かの指示を待たずに動ける状態をつくる。それができる人を、もっと増やした結果として、組織の中に“変われる力”が根付いていくのだと考えています。
――そのような力は、どうすれば組織の中に育まれるのでしょうか。
清水:第一歩は、「完全な正解を外に求めない」ことです。誰かが用意したテンプレートや成功事例をなぞるのではなく、外部知見を踏まえた上で「うちの会社にとっての正解は何か?」を自分たちで考える。そこには試行錯誤や失敗も含まれます。主体的に動いた経験が人を強くするのです。
だからこそ、コロニーの支援は常に「問いを共につくる」ところから始めます。クライアントと一緒に考え、迷い、仮説を立て、実行し、検証する。このプロセスそのものが、組織の血肉になっていくと信じています。
――支援の成果とは、「答え」ではなく「問いの持ち方」を残すこと、ということでしょうか。
清水:まさにその通りです。10年後に残っていてほしいのは、私たちが出した成果物ではなく、クライアント自身が「どう問いを立て、どう動いたか、その失敗を次にどう生かしたのか」という経験です。それが次の変革を引き寄せる力になる。私たちはそのきっかけを提供する存在でありたいと思っています。
変革の主役は、外部ではなく企業自身
――今後のビジネス環境の変化を見据えたとき、コロニーはどのような支援を志向していくのでしょうか。
清水:これからの時代は、AIや自動化の進展によって、「業務は効率化されること」が前提になります。むしろ問われるのは、その先の「誰が意思決定を担い、どう動くか」という部分です。情報をどう集めて、どのタイミングで判断し、どんな実行体制をつくれるか。つまり、機械には代替できない“人と組織の判断力”こそが、競争力の源泉になるはずです。
そしてその判断は、個人のセンスに頼るものではなく、再現性ある構造として設計されていく必要があります。これからのコンサルタントには、「知っている人」ではなく「変化のデザインを移植できる人」になることが求められていくと考えています。
――外部支援の在り方も、大きく変わる必要があるのですね。
清水:従来のように「価値ある提案・推進支援」だけでは足りなくなる可能性があります。「変化を引き起こせる組織構造や習慣をつくる」という、もう一段深いところへの支援が求められます。
そのためには、外部の立場から何かを押し付けるのではなく、クライアントと一緒に仕組みを育てていく必要があります。コロニーとしては、単に「成果を出す」ための支援ではなく、「成果を再現できる力を組織の中に残す」支援を、より一層磨いていきたいと考えています。
――清水さん自身は、これからの時代にどんな人材が求められると考えていますか。
清水:課題を見つけて、誰かに言われる前に動ける人。そして、自分が動くだけでなく、周囲を巻き込んで動かせる人。そういう人材が組織の中に増えていけば、どんな変化にも対応できる組織になると思います。
逆に、そうした力が組織にないと、どんなに戦略が優れていても実行できません。だからこそ、私たちは企業を外から変えるのではなく、中から変われるようにするという支援を、今後も徹底していきたいと思っています。