「助け合いの精神が強い社員が多い」「社員とその家族を大切にするため」なぜ、GAFAは“ホワイト”と呼ばれるのか
2021/04/29

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「GAFAの社風って実際はどうなのか?」「福利厚生は手厚い?」

転職先として世界でもトップクラスの人気を誇るGAFAに対して、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな疑問に対し「助け合いの精神が強い社員が多い」「ベビーシッター代の大半を補助してくれる」など想像以上に「社員に優しい会社」と語るのは、外資系IT企業から営業職としてGAFAに転職したの石原浩之(仮名)さん。

今回は、石原さんに知られざる「GAFAの社風」や「昇給するためのポイント」そして「働き方」と「充実した福利厚生」などについて伺いました。

〈Profile〉
石原 浩之(仮名)
GAFA営業職 複数の外資系IT企業を経てGAFAの一角に転職。給与、労働環境、福利厚生、全てにおいて満足しているものの、「このままでは自分はダメになるのでは」と転職を考え始めている。

※記事の内容は全て個人の見解であり、所属する組織・部門等を代表するものではありません。


【目次】
・「まるで”大学”のような社風」GAFA社員の雰囲気と転職事情
・「ノウハウを共有し、感謝状を送り合う」GAFAの助け合い精神と独特の評価体系
・「毎日子どもとお風呂に入れている」「勤怠管理は必要ない」GAFAが“ホワイト企業”と呼ばれる理由
・ベビーシッター代9割補助、リラックス手当、GAFA独自の割引制度。充実した福利厚生の理由は「社員とその家族を大切にするため」

「まるで“大学”のような社風」GAFA社員の雰囲気と転職事情

――石原さんの在籍するGAFAの社風を一言で言い表すとどうなりますか?

石原:良い意味で「大学」っぽいでしょうか。社内全体に自由なムードがありますし、若い人が集まって楽しそうに仕事をしている会社なので。

――社員の方の平均年齢はどれくらいなのでしょうか?

石原:平均で言うと30代前半になりますが、私の周りには20代の人が多いですね。入社してすぐ海外本社にトレーニングに行かないといけないのですが、30代の私に対して他の同期が20代ばかりで、しかも全員英語がネイティブレベルという環境でした。

ただでさえ、それまで勤めた会社が東海岸のノリの会社ばかりで、私のいるGAFAのアメリカ西海岸のノリに圧倒されていたのに、同期が若いうえに皆優秀で、最初は「すごい会社に来てしまった」と思いました(笑)。

――東海岸と西海岸の会社で、そこまでノリが違うものなのですか?

石原:だいぶ違いますね。東海岸は東京で言う丸の内のような感じで、カチッとした人が多いのですが、西海岸は渋谷のようにカジュアルな人が多いです。

――ということは、やはり石原さんもカジュアルな服で仕事をすることが多いのでしょうか?

石原:はい。営業職でも、銀行など一部のクライアントを持っていない限りはスーツを着ません。

むしろ社員がスーツを着る方が会社のイメージダウンにつながるらしく、入社したときから「スーツはなるべく着ないように」と言われていましたね。

さすがにジャケットは着ますが、あくまでビジネスカジュアルです。私は仕事に着るような服はスーツしか持っていなかったので、入社してすぐに服を新しく買いにいきました(笑)。

――転職してくる人はどういった会社から来る人が多いですか?

石原:広告系だと電通や博報堂から来る人が多いですね。他の部署だとGAFA―――特にAppleから来る人が多いイメージです。一方で、ここからほかのGAFAに移っている人は少ない印象ですね。

――では、転職先はどういったところなのでしょうか?

石原:圧倒的にスタートアップが多いと思います。だんだんと仕事が面白くなくなってきて、小さいスタートアップで面白いことをやってみたいという人が多いですね。

GAFAは給与水準が高いので、お金を求めてというよりは、「新しい環境で自分の力を試したい」とか「一発当たったら面白いな」くらいの感覚で転職するのだと思います。

――年収アップを目指す人は少ないということですか?

石原:おそらくそうだと思います。ここより高い給料を求めたら、GAFA間で転職してジョブレベルを上げるか、一部上場企業の役員や外資系スタートアップで日本法人の社長に就くくらいしか選択肢がありませんしね。

「ノウハウを共有し、感謝状を送り合う」GAFAの助け合い精神と独特の評価体系

――現在、石原さんの年収はいくらくらいですか?

石原:5年間在籍していて、現在年収は2,000万円程です。これにストックオプションの配当が300万円ほど加わります。入社時の年収が1,100万〜1,200万円くらいだったので、5年で約2倍になった計算ですね。

――昇給のペースはどれくらいなのですか?

石原:毎年の年次昇給が3〜8%。ジョブレベルが上がると10%強アップするというイメージです。加えて入社時に4年分の株がもらえるのですが、次の2年で成績が良かった人には追加の株が支給されます。そのため、在籍期間が長くなるほど株からの収入も増えていきます。

――5年間で2倍というとハイペースな印象を受けますが、GAFAで評価されるためのポイントはありますか?

石原:私は営業職なので、目標を達成するのは基本です。入社してからずっと100%以上の数字を出していて、最高で190%の達成率を出したこともあります。

でも実は、ここでは自分個人の成績が高いというだけでは評価されないんですよ。

――どういうことですか?

石原:営業としての自分のノウハウ、つまり作った資料や仕事のコツをみんなに共有することで、チームや会社でより良い成績が出せるように行動した人が評価されるんです。他の会社だと、各個人の営業のコツは誰にも教えないのが普通だと思うのですが、それをやると大きく評価を落とすことになります。

――助け合いの精神を大切にしているんですね。

石原:はい。制度にもその考え方は表れています。というのも、他の部署に何か頼みごとを聞いてもらうと、お礼に感謝状を贈ることができる制度があるんです。この感謝状をもらうと1枚につき1万円強が会社から支給されるという仕組みになっています。

だから私もよく他の部署を手伝っていましたし、「感謝状贈るからちょっと頼みたいんだ」と助けてもらうことも多かったです。この感謝状の数は評価にも反映されるので、積極的に他部署を助ける人がほとんどでしたね。

「毎日子どもとお風呂に入れている」「勤怠管理は必要ない」GAFAが“ホワイト企業”と呼ばれる理由

――石原さんの1日のスケジュールを教えてください。

石原:新型コロナウイルスの感染拡大前の話ですが、朝は必ず9時に出社をして、会社の食堂で朝食を食べていました。メールチェックをしたあと、1日で2件くらいのお客様とのミーティング、その合間に社内のミーティングに参加します。午後6時半には会社を出て、7時半には家に帰っているという感じでした。

私は子どもが生まれたと同時に入社したのですが、飲み会や接待がない限りはほぼ100%、子どもをお風呂に入れることができています。たまった仕事を子どもが寝た後にやることはありますが、ほとんど残業はしていません。

――かなりホワイトな働き方ですね。

石原:入社して驚いたことの一つですが、この会社は思った以上に社員がオフィスで働いていないんですよ(笑)。コロナ禍では社長でさえオフィスに入れなくなりましたが、その前から会社に来ない人が非常に多かった。「午前中は家にいるので、オンラインで会議に出ます」という人は珍しくありませんでしたし、週に1回しか会社に来ない人もいました。

――そんな状況で勤怠管理はどうしていたのでしょうか?

石原:みんなレスポンスが早いので、管理をしなくても仕事が成立するんです。社内のコミュニケーションは基本的にチャットで行われますが、朝早くから午前0時くらいまでなら、どの部署の人でも数分以内に返信が来ます。だから勤怠管理が必要ない。

――それを聞くとずっと仕事をしているような印象も受けますが……。

石原:本当にそんなことないんですよ(笑)。午後5時に仕事を切り上げてジムに行っちゃったり「みんなで金曜の午後休みにして、キャンプに行こうよ」と言い出したりなど、そんな人ばかりで。

――仲が良いんですね。

石原:かなり良いですね。クラブ活動も盛んで、フットサルクラブや登山クラブに入って、週末は部活動を楽しんでいるという人が多いです。会社から補助が出るので、部費もほとんどいりません。私もいくつか部活に入って、月1くらいのぺースで遊びに行っています。

ベビーシッター代9割補助、リラックス手当、GAFA独自の割引制度。充実した福利厚生の理由は「社員とその家族を大切にするため」

――石原さんの在籍するGAFAは福利厚生が充実している印象があります。石原さんが「これはいい!」と思っている制度はありますか?

石原:あまりに多すぎてパッと出てこないですが……(笑)。そうですね、ベビーシッターの費用を9割補助してくれるという制度は特に素晴らしいと思いますね。

――どういった時に利用するのですか?

石原:たとえば、子どもが熱を出した時ですね。我が家の場合、子どもが2〜3カ月に1回くらいの頻度で熱を出すのですが、うちは共働きなので、夫婦どちらかが仕事を休まなければなりません。

ベビーシッターさんを頼もうとしても、1日3万円くらいするので、そう気軽には頼めないんですよ。でもこの制度を利用すると会社からの補助が出て、負担する金額が3,000円くらいになるんです。夫婦ともに大事な仕事が入っているときは、本当に助かります。

――それは確かに素晴らしい制度ですね。他にはどのような制度がありますか?

石原:年間8万円まで自分のリラックスのための費用を支給してくれる制度がありますね。温泉に泊まるとか、歯のクリーニングをするとか、わりと自由に使うことができます。あとは、世界中の提携ホテルやレストランで割引が受けられるGoogle割引なんてものもあります。

また、社員が死亡した際に、子どもが20歳になるまで毎月10万〜20万円を支給してくれる制度や、年収の半分を10回払いで支給してくれる制度もありますね。

――たしかに、制度の充実ぶりがすごいですね。

石原:本当に社員やその家族を大切にしている会社だなと思います。出張の飛行機でビジネスクラスに乗せてくれますし、宿泊先もヒルトンでもマリオットでも自由に選ばせてくれます。

入社前は放任主義の会社だと思っていましたが、入ってみると社員のことをしっかりみてくれている会社だということがわかりました。

――石原さんは今後も今のGAFAで働こうと考えているのですか?

石原:それが……。このままここにいると自分がダメになるような気がしていて、転職を考えているんです。

――ダメになるというのはどういうことですか?

石原:私に限ったことではないのですが、1年か2年くらい働いていると、手の抜き方を覚えるんです。しかも、パフォーマンスを下げずに手を抜く方法です。

これを知ってしまうと、新しいことに挑戦して成長するためのモチベーションが維持できなくなってしまうんですよ。この流れに身を任せていると、ビジネスパーソンとして間違いなくダメになると感じていて。同じ理由で転職したり、起業したりする人も多いんです。

――どのような転職先を考えているのですか?

石原:元同僚が会社を興していて、私を誘ってくれているので、そこに入ろうかと思っています。ただ妻は猛反対しているので、まずは彼女の説得からですね(笑)。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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