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国内大手のベンチャーキャピタルであるジャフコには、資金調達を専門とする部門「ファンド運用部」がある。ジャフコの投資事業の根幹を支える極めて重要な部門だ。
ベンチャー投資に対するファンドの募集は、アップダウンが激しいIPO(新規株式公開)環境に大きく影響を受ける。そのため、ファンド運用部は、継続的かつ安定的にファンドを募集するというミッションを担っている。
ファンド運用部には、ベンチャーキャピタリストとしても第一線で活躍し、ベンチャー投資の機微を知り尽くしたメンバーも含め、スタートアップへのリスクマネー供給の根幹を支えようという志を持った人材が集まっている。そのメンバーである関英恵氏と宮地洋介氏は「ベンチャーキャピタリストとして、仕事の重要な部分を担っている」と話す。ファンド運用部の使命や、そこで得られる成長などについて詳しく聞いた。
400社以上の出資者に、定期的に運用状況の報告書を送付…ジャフコそのものをマーケティングする
――ファンド運用部の業務内容を詳しく聞かせてください。
関:ジャフコは、集めた資金を全て一つのファンドに集約し、それをもってジャフコが開拓するベンチャーやバイアウトへの投資を行っています。つまり、ジャフコが提供する商品は1種類。ファンド運用部は、その投資機会を、ジャフコの投資活動に共感し、評価いただける金融機関や事業会社などに提供する部門です。
当社の投資活動やそのパフォーマンス結果をファンドという形で購入してもらっているとも言えます。
当社のビジネスの意義や運用環境、投資先の事業の将来性などをより多くの人に理解してもらい、リスクマネー(*1)を創出していくのがファンド運用部の仕事です。金融機関が、 いくつもの金融商品を顧客のニーズに合わせて選び、販売する感覚とは全く異なります。その点で、ファンド運用部は、ジャフコという会社そのものを世の中に伝える活動をしているとも言えます。
出資後に、投資先に関する情報の提供や運用状況の報告などのコミュニケーションを担うのもファンド運用部です。
例えば、400社以上ある出資者に対して、投資の都度、また四半期ごとに運用状況の報告書をお送りしています。加えて、基本的には出資者に直接足を運んでコミュニケーションしますが、最近はオンラインも活用しています。投資先は未上場なので、インターネットなどを探しても公開されている情報は限定されています。そこで、投資先企業の事業内容、投資した背景、投資後の事業進捗などをより丁寧に説明することが求められています。
また、出資者の中には、「自社のビジネスにつながる投資先(スタートアップ)を探している。該当する投資先と出会えたら、そこの商品やサービスの成長を自社でサポートしたい」という観点で出資していただいている企業もあります。そういった出資者に対して、関心のありそうな分野の投資先をつなぐこともあります。
逆に、投資先のスタートアップから商品やサービスを売り込みたいときに、出資者の企業を紹介することも行っています。
ファンド募集は3年に1回程度で、準備と実際に足を運んでマーケティングする期間は合わせて約1年。それ以外の期間は、出資者への報告や投資先のご紹介などに時間を使っていますね。
関氏
*1 高いリターンを得るため、回収不能になるリスクを負う投資資金
金融機関では味わえない、スタートアップの成長、社会や経済の発展に直接関われる喜び
――ファンド運用部の魅力や、やりがいは何でしょうか。
宮地:ジャフコは、ビズリーチやココナラ、マネーフォワードなど、ユニークなサービスを展開する企業に投資をしています。先に挙げた3社は知名度も上がりましたが、このようなスタートアップが成長して世の中に出ていくことで、日本経済にとっても成長力の一つになると考えています。
スタートアップを成長させるためには、やはりリスクマネーの供給が必要です。それを供給する主体として、ベンチャーキャピタルは非常に重要な存在で、社会的な意義があると思います。
その中でも我々ファンド運用部は、リスクマネーを増やす点において非常に重要な役割を担っています。
日本のスタートアップ・ベンチャー企業への投資規模は、米国の30分の1にも満たない状況にとどまっています(*2)。まだまだ少ない反面、成長余力があるとも言えます。ファンド運用グループが中心となってベンチャーキャピタルのファンドに出資する意義を啓蒙し、資金の獲得につなげていく使命があると考えています。
関:そうですね。加えて、ファンド運用部はポートフォリオ全般を管理しているため、出資者だけでなく投資先の企業も含めた全体に目を配る必要があります。例えば急激に成長しそうな企業や、アラートが出ている企業がないか、といった変化をモニタリングする役割も担っています。
その中で、投資先にどのような手当てをするかというフィードバックや、危険信号が出ている投資先への状況確認、出資者から上がってくる不安や疑問への対応などを行い、投資先と出資者のハブになるのもファンド運用部の重要な役割であり、それを果たせることが魅力です。
宮地:投資先の状況も解像度高く見えるので、資金がどう使われて、その企業がどう成長し、ゆくゆくは社会や経済を発展させていくことに、直接つながるような感覚を持てますよね。それは、金融機関での融資や上場会社への投資では感じられにくい、ベンチャーキャピタル特有のやりがいなのかなと思います。
宮地氏
――では、ジャフコでファンド集めを行う意義は何でしょうか。
関:ファンドのビジネスは、1982年にジャフコが日本初の投資事業組合を立ち上げたところから始まりました。それ以来、行政や当局などと話し合いながら、変わる法規制の中で年金や海外の資金をファンドに取り込んだり、ファンドのさまざまな仕組みを構築したりと、前例のない道を切り開いてきました。
ジャフコには、世の中のどこにもお手本がない中で、自分たちでつくり上げていく、新しく道を切り拓いていくといった面白さがあるのではないかと思います。
また、ジャフコは“起業家の役に立ちたい気持ちがとても強い会社”でもあります。そこに共感する人が参画していただけるのであれば、得られる満足感は大きいのではないでしょうか。
事業会社とのネットワーク構築や課題の把握、役立つベンチャーキャピタリストとしての経験
――ファンド運用部の業務を通して、どのような成長ができますか。
宮地:私はファンド運用部で主に大手の事業会社を担当していますが、過去にキャピタリストとしてベンチャー企業の経営者と接してきた時と同じような力が求められると感じています。
というのは、近年大手の事業会社で新規事業への意欲が高まってきていることに伴って、新しいスタートアップとの連携やアライアンスのニーズも増しているからです。
その中で、ジャフコの投資先との事業連携を進めることになった場合は、私たちファンド運用部が事業会社の経営方針や抱えている課題、これから伸ばしていきたい部門などを十分に理解した上で投資先との連携を進めていかなければなりません。
そのため、キャピタリストと同様に、相手とのネットワークを築きながら、相手の課題や悩みを正確に把握していく力が必要になります。僕自身、そこはキャピタリストとしての経験が役立っていると思う部分です。
――大手の事業会社と関わるという点では、金融機関も同じではないですか。
宮地:金融機関がつなぐアライアンスやM&Aの相手は、地方の中堅企業やM&Aでオーナーが売りたいと言った企業が主です。
ジャフコの場合はそれがスタートアップになるため、新しい事業を立ち上げていくときに、事業をつくっていく立場として、金融機関の業務とはまた違った面白さを感じてもらえるのではないでしょうか。
――ファンド運用部が求める人材像を教えてください。
関:新しい製品やサービスに対して好奇心をずっと持ち続け、世の中に出していこうという強い思いを持っている人が向いているのではないかと考えます。
ファンドと聞くと、金融のバックグラウンドが必要なのではと思う人も多いのではないかと思いますが、私はむしろ、さまざまな背景を持つ人に来ていただいきたいと考えています。新しいものに貪欲で、スタートアップを発展させていくことに共感する人がとても合うと思います。
宮地:そうですね。加えて、変化することに抵抗感がない、あるいは進化し続けることをポジティブに捉えられるような人がいいのではないでしょうか。
スタートアップ界隈では常に新しいビジネスモデルの会社が生まれています。その中で例えばブロックチェーンの仕組みによって資金供給の方法が進化したり、海外の投資家が増えてきたりすることで、ファンド運用部の業務もどんどん変わっていくと考えています。
そういった変化を楽しみながら、ベンチャーキャピタル自体にも、その変化を根付かせるよう積極的に動いていける人に来てもらいたいですね。
――ファンド運用部としての今後の展望を伺いたいです。
関:継続して安定的に資金を集めていくという役割自体は、これからも変わりません。マーケットが大きく変化する中で、安定的なリターンや出資することに対する満足感をお返しできるような循環の仕組みをつくることで、マーケットの拡大に寄与していきたいと考えています。
そのために、ファンド運用部はジャフコの投資先やそのパフォーマンスだけに注目するのではなく、マーケット全体の中でジャフコがどのような役割を果たしていけるかということをあわせて考えていくべき部門だと思っています。
関氏(写真左)と宮地氏