SAPコンサルへの転職。仕事内容、求められるスキル、経験、資格は
2022/05/17

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IT領域に強いコンサルティングファームやITベンダーの求人で「SAPコンサル」を目にしたことがあるでしょうか。

SAPコンサルへ転職したいのであれば、どのような仕事なのかを把握し、スキルを身に着けていかなければいけません。それに伴う経験や資格取得なども視野に入れる必要があることを理解し、キャリアをプランニングしていく必要があるでしょう。

SAPコンサルとは?

近年、日本のビジネスシーンでもDXが注目されるようになり久しいです。この波は中小企業にも広がっており、その中で注目を集めるようになってきたのがSAPコンサルです。

SAPとは?

そもそもSAPとは、世界的シェアを持つドイツのソフトウェアメーカーの名称です。日本ではその企業名の知名度はそこまで高くありませんが、マイクロソフトやオラクル、IBMに次ぐ規模を持つメーカーであり、世界最大級の企業の1社に数えられています。

SAPという名称でソフトウエアパッケージも販売されています。経営資源を一元把握し、業務効率化を図る製品です。

SAP社とは?

SAP社とは、世界で25,000社以上が利用しているソフトウェアメーカーであり、日本でも1300社以上が利用しているとされています。そのシェアは5割にも届く勢いで、高い評価を得てきました。

日本では、1992年に法人を設立しており、特に大企業向けの市場で圧倒的な存在感を示し、クラウドシステムにも注力しています。

またSAP社は第二次世界大戦後のドイツで最も成功した企業ともいわれています。その実績を表しているのが、フォーブス誌が公開している世界の企業のランキングである、フォーブス・グローバル2000にランクインした企業シェア率です。

もともとは1972年に5人でスタートした企業であり、東西冷戦時代や東西ドイツの統一などの時代を経て、大きく羽ばたいていったのです。

ERPとは?

ERPとはEnterprise Resource Planningの略です。企業内の情報を一元管理するシステムの名称となっています。

これまで企業内にあるモノやカネ、情報といった資産はばらばらに管理されてきました。カネであれば経理が担当しますし、ヒトなら人事が担当します。従来はこのように各部門で管理することが当たり前でしたが、横断的な情報展開が難しく、効率化の足かせとなっていたのは周知の事実でしょう。

こうした並列したシステムを一元的に管理し、情報共有や運用できるようにしてきたのがERPの存在です。業務を最適化するのに優れた力を発揮しています。

SAP社はERPをパッケージ化して販売しており、ERPパッケージとしての世界シェアは1位を獲得するほどです。

SAPコンサルの仕事内容

ここまでSAP社についてとSAP社の主力商品であるERPを見てきましたが、ここからはSAPコンサルとは何か、仕事の内容を見ていきましょう。

SAP導入に関する業務を担当していくのがSAPコンサル、と聞いて、「特定の製品の導入支援をするだけでしょう」と感じていませんか。実は業務範囲は非常に広いのです。

導入支援と導入後のサポート

SAPコンサルのメインの業務はクライアント企業におけるSAP製品の導入です。導入に際しては、企業側がなぜその製品を導入するのか背景を理解し、課題解決につながるようにします。そのためには運用体制の構築なども行いつつ、最適なパッケージを提案していく必要があります。

クライアントにとってのSAP導入は、業務の効率化を目指したものです。クライアントによって業種も規模も異なります。クライアントの業務を理解し、整理したうえでシステムや社内インフラなどの整備もしなければいけません。状況によっては改善提案なども進めつつ、クライアントの利益を最大化できるよう努めるのが仕事です。

導入後のサポートもSAPコンサルの重要な仕事です。稼働しているシステムに対する改善提案から始まり、運用のアドバイスを続けていきます。必要であれば、社員の研修やマニュアルの策定なども行っていかなければいけない業務です。不具合に対してサポートデスクを設けるなどもSAPコンサルの重要な業務になるでしょう。ある意味でプロジェクトマネージャーの役割を持ちます。

カスタマイズ

必要があれば、システムをカスタマイズして対応しなければいけません。企業側の体制などもありますが、システムがビジネスのスピードに追従できなければ、業務効率化を推進できないからです。

SAPはさまざまなテンプレートを用意しており、ある程度対応が可能になっています。それでも、クライアント企業専用のカスタマイズが必要な場面は多く、SAPコンサルの力が必要となるのです。

SAPコンサルタントの仕事のやりがい

SAPコンサルの仕事は非常にやりがいがあり、圧倒的なシェアを誇るため、求人は減りません。クライアントは大手企業が多く、システム導入で業務効率化を果たし、競争力を高めようとしています。

複数の大手企業の案件に関わることは、コンサルタントにとって得難い経験となるでしょう。

SAPコンサルに求められること

SAPコンサルは、システムの設計・開発だけではなく、製品の導入支援から業務改善提案など、上流工程を担う立場として高い能力が必要です。その中でも具体的に求められることを考えてみましょう。

スキル

SAPコンサルに求められるスキルは、問題解決力や提案力です。もちろん、SAPP製品に対する知識は必要ですが、その知識を支えるのが問題解決力や提案力になります。

SAPコンサルは、論理的思考力によって問題を分析する力はもちろんですが、クライアントに業務や課題をヒアリングした上で、それに対してどのような解決案を提案するかが最も問われています。企業が抱えている本質的な部分に対しアプローチするためには、それだけの説得力を持った提案が必要になるからです。そのためには情報を収集する能力も必要となるでしょう。技術力だけでSAPコンサルが務まるわけではありません。

コミュニケーションスキルも求められるのがSAPコンサルです。導入の段階だけではなく、課題をヒアリングする際にもコミュニケーションがとれるかは大きな起点になるでしょう。

経験

SAPの理解度の高さも求められます。システムを活用する上でIT全般的な知識が必要になるのは当然です。さらにSAPの運用能力も必要になります。重要なのはこれまでの経験による知識の蓄積で、各モジュールに対し適切なアプローチができるだけの経験が問われるのです。

SAPだけではなく、他社のERP製品に対しての知識もあったほうがいいでしょう。これも経験を積み上げていくことにより身につく能力です。SAP社以外の製品の知識もあれば、対応力も広がりますし、顧客が目指すことはなにかも見えてきます。

資格

SAPには認定コンサルタント資格があります。SAPのスペシャリストとしての証明資格であり、SAP社が認定しているところに重みがあるでしょう。

認定コンサルタント資格は3分野3段階に分かれており、それぞれ難易度が異なります。バージョンごとに設定が増えていくため、内容的にはかなり複雑になってきました。

ポイントはSAPコンサルとして資格が必須というわけではない点です。しかし、持っていれば自分の能力の証明となり、説得力が増します。客先からの信用も勝ち取りやすくなるのは、客観的証明となるからです。

実際に有資格者を対象とした求人もあります。将来的なライフプランも踏まえたうえで、資格取得も考えておくといいでしょう。

まとめ

SAPコンサルは、世界中に需要があります。SAPはそれほど大きなシェアを獲得しているからです。大手企業が中心で、海外展開も積極的に行われていることからも、グローバルな視点で仕事をしたいならうってつけといえるでしょう。

その代わり、SAPコンサルに求められるレベルも年々上昇しています。ニーズも多様化の一途をたどっていることからも、多くの知識や経験を積んでいくことがSAPコンサルには必要といえるのです。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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