MBBやBig4では味わえない、少数精鋭のブティックファームの魅力

コンサルティング業界への転職ではMBBやBig4が注目されがちだが、実は「ブティックファーム」という選択肢もある。
今回は、2022年に創業された株式会社クオンティアの代表取締役社長 吉沢耕太氏とコンサルタント 木島渉氏にインタビューを実施。大手ファームでは味わえないブティックファームならではの働き方や、コンサルタントの成長機会について聞いた。
※内容や肩書は、取材を行った2025年10月時点の情報です。
「経営人財を育てて日本をより良くしたい」とブティックファームを創業
ーーまず、クオンティアの事業内容を教えてください。
吉沢:コンサルティングファームとして、エンタープライズや上場したベンチャー企業を中心に支援を行っています。支援領域を限定せず、非常に幅広い案件を扱っているのが一つの特徴です。 私は、クオンティアを通じて「経営人財」を育てたいと考えています。そのため、社員が視野を広げ、あらゆる案件への対応力を身に付けられるような環境を作っています。
ーー吉沢さんは、どういった想いでクオンティアを立ち上げたのでしょうか。
吉沢:「日本をより良くする」という目標を実現するために、世の中を変えられる経営人財を育成していこうとクオンティアを創立しました。
現在の日本経済は長らく停滞しており、技術活用なども遅れています。かねてより、私はこの状況に危機意識を抱いていました。 アビームコンサルティング在籍時には、エンタープライズの経営陣と仕事をし、企業変革を推進しようとしました。しかし、保守的な姿勢や組織間の対立といった課題に直面。企業変革には、外部からのアドバイスに加えて優秀な経営人財も必要だと感じました。
そんな時、大学の先輩がアメリカで事業を興し、社会の潮流を作っている姿を見て「自分も会社を作ろう」と決意しました。社会の変革をもたらす経営人財を自分で育てれば、より早く日本を変えていけると考えたんです。
だからこそ、現在はコンサルティングファームで企業を支援しながら、自社で経営人財の育成に励んでいます。
◆写真中央が吉沢さん
得られる経験の幅広さや話しやすい環境が魅力
ーー大手ファームと比べたときの、ブティックファームの魅力は何だと思いますか。
吉沢:ブティックファームの魅力は、以下のように数多くあると思います。
● 組織が小さいため、意思決定が早く、クライアントへの対応も迅速 ● フラットな組織文化が多く、風通しの良い社風であることが多い ● クライアント企業の経営陣との距離が近く、高い視座で業務に取り組める ● コンサルタントとしての経験を積みながら、自社の経営タスクに関われる ● 専門性を無為に固定することなく、幅広い案件に携われる ● 入社後、早い段階で裁量の大きい仕事を任せてもらえる ● 熱量が高く、かつ、個性的なメンバーが多い
大手ファームと特に違いが大きいのは、プロジェクト規模の違いによる責任や裁量権の大きさです。大手では100人規模の案件などもありますが、こうなるとメンバー層は上位者からの指示に従うだけになりがちで、プロジェクト運営の経験を積みにくいです。
大手ファームは企業ブランドや受け入れ体制がしっかりしている反面、コンサルティングによる収益と稼働率の最大化のため、組織を専門特化させています。そのため、コンサルタントには特定領域での専門性が求められ、携われる案件や業務も固定されやすいです。 また、売り上げや規模の拡大を追求しているため、コンサルタントも相当数増やしていく必要がでてきます。それだけ多くの人員をアサインしていくためには、大型で長期の案件が優先されるようになります。ときにそれは、コンサルタント個人からみたときに思い描くキャリアとは乖離する可能性があります。
これに対してブティックファームは案件サイズが小さく、たとえば弊社では基本的に2〜3名、多くても5名程度で1つの案件を担います。この規模だと1人ずつの責任や裁量権が重くなります。 感覚としては、たとえばシニアコンサルタントが大手ファームでいうマネージャークラスの仕事を担うイメージですね。
ーー木島さんは大手ファームからクオンティアへと転職していますが、前職と「大きく違う」と感じたところは何ですか。
木島:コミュニケーションの取りやすさですね。前職は典型的な縦割り組織で横や斜めとの交流が少なく、未経験の領域について話を聞く機会もなかなかありませんでした。 今は、人数が少ないということもありますが、マネージャー層や経営層にも気軽に話を聞けます。仕事面だけでなく、マインド面などについても相談しやすいです。
ーー働き方の面では、ブティックファームのどのような点に魅力を感じていますか。
木島:デリバリーに閉じない働き方ができるところに魅力を感じています。 弊社には「Delivery + (業務知見拡張支援制度)」という制度があり、コンサル業務に加え、個人の希望で人事・採用・広報といった自社の経営タスクに携わることができるんです。私は広報を担当しており、社内ブランディングや社員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。

すべてのブティックファームでこのような制度があるとは限りませんが、少なくとも大手ファームでは、コンサルタントの立場で自社の経営タスクに関わることはできません。 私自身はいつか事業を興したいと考えており、経営スキルを身に付ける上でもこの経験は役に立っています。
ブティックファームの中にもスタイルの違いがある
ーー「ブティックファーム」と一口に言っても、その中にはいくつか種類があるのでしょうか。
吉沢:ブティックファームと言えば、一般には「少数精鋭のプロフェッショナル集団」というイメージがあると思います。ただ、同じ「少数精鋭」であっても、クライアントへの「関わり方」には明確に2つのタイプが存在します。
一つは、クライアントのプロジェクトにおいて、「不足している特定領域のリソースやスキルを提供するスタイル」のファーム。もう一つは、弊社のように「プロジェクト全体の推進にオーナーシップを持って関わるスタイル」のファームです。 前者は、すでにあるプロジェクトの中で、特定の専門スキルが必要な部分にスポットで参画する形式です。いわば、現場の業務遂行を専門家としてサポートする役割と言えます。
ーー同じブティックファームでも、「リソース支援」スタイルのファームとクオンティアのようなファームとでは、働き方もかなり違いそうですね。
吉沢:はい、大きく異なります。「特定の専門領域(ロール)で深く貢献する」か「プロジェクト全体にオーナーシップを持って働く」かの違いです。
前者のようなスタイルは、特定のソリューションや技術に特化し、その道のプロフェッショナルとして機能することを重視します。役割やタスクが明確であるため、一つの領域を極めたい人にとっては働きやすい環境です。 一方、弊社の場合は、特定のツールや領域に縛られず、クライアントの経営課題そのものに向き合います。
ーークオンティアのようなファームを見分けるには、どうしたら良いのでしょうか。
吉沢:一つの見極め方として、「誰が案件獲得(営業)をやっているか」「コンサルタント自身が提案書を書いているか」を確認すると良いと思います。
リソース支援や特定スキルの提供が中心のファームでは、クライアントが求めるスキル要件が明確なため、専門の営業部隊がマッチングを行う「製販分離」の体制をとることが合理的です。 一方、弊社のように「何が課題か」から議論するファームでは、クライアントの抱える課題や目指す方向性を理解し、解決の方向性を模索して経営陣に納得してもらう必要があります。このような案件の提案や営業は、十分にコンサルティングの経験を積んだ人にしかできないはずです。
営業体制を聞けば、そのブティックファームの基本姿勢がある程度分かると思いますので、参考にしてみてください。
ーーちなみにクオンティアでは、案件の受注をどのように行っているのですか。
吉沢:弊社は案件受注をセクターごとに担っています。セクター長を中心としてメンバー全員で提案を行うので、若手コンサルタントでも提案業務を経験できます。
大手ファームやリソース支援スタイルのファームでは、一般に製販分離で、コンサルタントが営業や提案をする機会が少ないです。弊社には提案力のあるマネージャーも多いので、そのもとで学びたいと転職を希望してくる人もいますね。
ブティックファームでは即戦力が求められる
ーー採用や求職者の傾向、コンサル経験後のキャリアについても聞かせてください。ブティックファームへの転職希望者は、どのような人が多いですか。
吉沢:弊社に応募してくる人を見ていると、コンサル経験者のメンバー層では「ずっと同じ業務を任されて自分で切り盛りができない」「周囲に成長意欲の高い人が少ない」といった理由での希望者が多いです。また、マネージャー層では「案件のマネジメントよりもさらに前段のプロセス、提案などから関わりたい」という人が応募してきますね。
ーーブティックファームは、コンサル未経験者でも挑戦できるのでしょうか。
吉沢:未経験者の採用は、全体で見ると多くありません。事業規模を考えると、一から人財を育成するだけの余力がないからです。この点では、大手ファームの方が未経験者を受け入れる環境が整っています。
ただ、弊社は未経験者も採用しています。企業支援においてはコンサル経験よりも未知の領域に対するキャッチアップ能力やコミュニケーション能力の方が重要であり、未経験者でも活躍の余地はあると考えているからです。プロジェクトが忙しくても研修を実施するなど、人財育成の体制も整えています。
ーークオンティアでは、どのような人を採用していますか。
吉沢:弊社では、転職市場において「上澄み」にあたるような優秀な人を採用しています。規模や数字を追求すると頭数が必要になり、結果として採用人財の質を下げてしまいかねません。しかし、弊社は規模拡大でなく「経営人財の育成」を念頭に置いており、人財の質を下げないようにしています。
未経験者の場合、「経歴やスキルが足りないのでは」と気にする人もいるでしょう。大手ファームではそういった面を見られることも多いですが、弊社はそこよりも、むしろ地頭の良さと視座の高さを重視しています。
ブティックファームに向くのは、自分の意志を貫く姿勢がある人
ーーブティックファームは、どのような人に向いていると思いますか。
吉沢:自分で主体的にキャリアを切り拓きたい人や、大変なことがあっても自分のやりたいことを貫きたい人に向いていると思います。
最近の大手ファームは、「永久就職する場所」になりつつあります。そのため、大手ファームで働くコンサルタントの中には「いかに出世して、安定した暮らしを得るか」を重視している人も少なくありません。安定性を求める人に、ブティックファームは向いていないと思います。 反対に、どれだけ苦労しても自分の意志を貫こうとする人にはブティックファームの方が向いているでしょう。自分の意志を貫こうとすると、さまざまな壁に直面するので、そういう意味では「波乱万丈な人生を楽しめる人」と言えるかもしれませんね。
個人的には、自己責任のもとで自由を追求できる人に弊社で働いて欲しいと思っています。
木島:自分の中で「こういうことをしたい」という意志があって行動を起こせる人、またダイナミックな変化を楽しめる人でしょうか。
大手ファームであれば、職位などに応じてやることもある程度決まっており、受け身姿勢でも大きな問題はありません。一方、ブティックファームは会社自体もまだ発展途上で、メンバーも会社作りに関わっていくことになります。だからこそ、気概があって会社の土台作りから積極的に貢献できるような人に適していると思います。
◆写真右が木島さん
ーーブティックファームを経験した後のキャリアについては、大手ファームのみを経験する場合と違いがありますか。
吉沢:これは規模というよりファームの傾向によりますが、デリバリー中心のところで働くと、その後は他のファームを渡り歩くか、事業会社の情報システム部門や経営企画部門に入るケースが多いです。 一方、ブティックファームでも弊社のようにコンサルタント自身が多くの経験を積める環境であれば、キャリアにも幅が出ると思います。
コンサルティングファームで働く中で、「コンサルタントの限界」を感じる人は多いです。コンサルタントはお客様の支援をする仕事であり、たとえ戦略を立てても、必ずしも自分の提案が通るわけではありませんから。 しかし、デリバリー中心で過ごした人の場合、「先の道の拓き方が分からない」となることも多いです。そういった点で、弊社は「コンサルタントの先」を見せられる会社だと思います。社内で事業開発を行っているので事業責任者になることもできますし、弊社で経営スキルを身に付けて起業する人もいます。
ーー最後に、コンサル転職を検討している人に向けてメッセージをお願いします。
吉沢:私個人は、クオンティアを一流企業に成長させることもさることながら「経営者を育てたい」という想いで会社を立ち上げました。 素質と高い志を持つ人に入社してもらい、成長して巣立ち、経営者としてクオンティアを超える企業をどんどん作ってもらいたいです。そして、一緒に日本から世界を盛り上げることができればと思っています。
木島:まず、転職を考えている人には「自分がやりたいこと」をしっかり見つめてもらいたいと思っています。 その中で「人と違った人生を送りたい」「一花咲かせたい」という想いが強いのであれば、ブティックファームを1つの選択肢として検討すると良いと思います。「起業したいけど、自分に何があるか分からないから武者修行したい」といった場合にも、ブティックファーム、特にクオンティアは良い環境だと思うので、ぜひお勧めします。