IBDバンカーの1日|アナリストからMDまで職位別の働き方を徹底解説

2026/04/17

IBDバンカーの1日

「外資系投資銀行のIBD(インベストメントバンキング・ディビジョン)は激務」——よく聞く話だが、実際の1日のスケジュールはどうなっているのか。M&Aアドバイザリー、ECM、DCM——それぞれの部門で1日の流れは大きく異なる。本記事では、IBDバンカーの典型的な1日を、ジュニア層からシニア層まで職位別に描く。

IBDの仕事は3つの局面で変わる

IBDの業務は大きく3つの局面に分けられる。

  • ピッチ(提案)期:クライアント候補に対してアドバイザリー業務を売り込む段階
  • ライブディール期:実際にM&Aや資金調達案件を進行している段階。最も激務
  • クロージング後:案件が完了した直後の比較的落ち着いた期間

ジュニアバンカーは複数のディールを同時に抱えることが多く、ピッチ期とライブディール期が常に並走する状態になる。

アナリスト/アソシエイトの1日

新卒入社1〜3年目のアナリスト、4〜6年目のアソシエイトは、資料作成・財務モデリング・データ収集がメイン業務。最も激務な層だ。

9:00 出社・メールチェック

前夜、自分が回した資料に対するシニアからのコメントを確認。優先順位の高い修正から手を付ける。

10:00〜13:00 ピッチ資料の作成

新規クライアント候補に対する提案資料を作成。業界分析、競合比較、想定M&Aターゲットのリストなどを盛り込む。1ページに10時間かけることも珍しくない緻密な作業。

13:00 ランチ(デスクで10分)

多忙時はデスクで10分で済ませることが多い。コンビニのおにぎりやカップ麺が定番。

14:00〜18:00 ライブディールの財務モデリング

進行中のM&A案件で、ターゲット企業の財務予測モデル、バリュエーションモデル(DCF、類似企業比較、類似取引比較)を構築・更新する。Excelの使い込みが半端ない世界だ。

19:00 夕食

会社の経費で出前を取ることが多い。20時を過ぎるとタクシー代も会社負担になる。

20:00〜23:00 VP・MDからのコメント反映

シニアからの修正依頼が次々と入る。「このグラフを変えて」「あのページを足して」「数字を再確認して」——夜が深まるにつれて指示が飛んでくる。

23:00〜25:00 翌朝までの宿題

翌朝のクライアントミーティングまでに完成させなければならない資料を仕上げる。深夜2〜3時に帰宅、朝9時に再出社は珍しくない。

VP/ディレクターの1日

10〜15年目あたりのVP/ディレクターは、「ディール全体のオーナーシップ」を持ち始める層。ジュニアの管理、クライアントとの実務的なやり取り、案件全体の方向性決定を担う。

8:30 出社

ジュニアより少し早めに出社し、前日の進捗を確認。当日のミーティングの準備をする。

9:00〜12:00 社内ミーティング・進捗確認

担当する複数案件のチームを巡回し、進捗とリスクを確認する。アナリスト・アソシエイトに具体的な指示を出す。

12:00〜14:00 クライアントとのランチミーティング

日常的なディール進捗の打ち合わせは、ランチを兼ねて行うことが多い。

14:00〜18:00 クライアント訪問・資料レビュー

午後はクライアント先で実務的な議論。バリュエーションの妥当性、交渉戦略、スケジュール調整など。社に戻ってジュニアが上げてきた資料をレビューする。

19:00〜22:00 翌日準備+シニアへの報告

明日のクライアントミーティング資料を最終確認。MDに進捗を報告し、戦略的な判断を仰ぐ。

MD(マネージングディレクター)の1日

15年目以上のMDは、「ディールを取ってくる」のが最大のミッション。営業活動、顧客リレーション、業界トップとの会話が中心となる。

7:00 ジムまたは朝食ミーティング

クライアントとの朝食ミーティングで1日が始まることが多い。

9:00〜12:00 社内戦略会議・案件レビュー

自分が主導するディールの方向性を決定。チームに方針を伝え、リスクの判断をする。

12:00〜15:00 クライアント企業のCEO/CFOとミーティング

意思決定者との直接対話。新規案件の発掘、既存ディールの戦略議論を行う。MDの価値はクライアントとの「人脈」と「信頼」に集約される。

16:00〜19:00 業界イベント・ネットワーキング

業界カンファレンス、企業の決算説明会、ファンドのレセプションなどに出席。次のディールの種を蒔く。

19:00〜22:00 会食

クライアント、潜在クライアント、業界関係者との会食。1日に複数の会食をハシゴするのがMDの世界だ。

部門別の働き方の違い

部門 業務内容 激務度
M&Aアドバイザリー企業の合併・買収を助言★★★★★
ECM(エクイティ・キャピタル・マーケット)IPO・PO・転換社債発行★★★★
DCM(デット・キャピタル・マーケット)社債発行・ローン組成★★★
レバレッジドファイナンスLBOファイナンスの組成★★★★
カバレッジ(業界別営業)業界特化のクライアント担当★★★★

M&Aアドバイザリーが最も激務とされる傾向にある。ライブディールが入るとスケジュールがクライアント次第になり、土日も働くことが多い。一方、DCMは比較的コントロール可能な部門と言われる。

激務をどう乗り切るか

IBDで5年以上働いた人が口を揃えて言うのが、「最初の2〜3年が最もきつい」ということ。アナリスト時代の徹夜・休日出勤は当たり前という現実がある一方、それを乗り越えた先には以下のキャリアが開けている。

  • PEファンド/ヘッジファンド:3〜5年のIBD経験を経て、運用サイドへ
  • 事業会社の経営企画/M&A担当:IBDの経験を活かして事業サイドへ
  • 戦略コンサル:金融業界×戦略の掛け合わせとして転職する人も
  • 起業:ファイナンス・M&Aの実務知識を活かして独立

IBDは「キャリアの通過点」として捉える人が大多数だ。激務だからこそ短期間で密度の高い経験が積め、その後のキャリアの幅が大きく広がる——それがIBDという職場の本質的な価値である。

転職を検討する際は、「数年間の激務に耐える覚悟があるか」「その先のキャリアで何を実現したいか」を明確にすることが重要だ。

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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