「第2の創業」を宣言。AI時代の「イノベーションOS」を創るという挑戦

2026/09/18

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これまでコンサルタントが担ってきた資料作成やプロジェクト管理といった定型業務は、生成AI(人工知能)によって一気に代替されつつある。しかしReGACY Innovation Group(ReGACY)はこれを脅威ではなく、イノベーション支援を「AI前提」へとシフトさせる好機と捉えた。目指すのは、汎用(はんよう)AIでは踏み込めない現場の泥くさいリアルや顧客固有の「癖」を組み込んだ、独自の「イノベーションOS」の開発だ。

言われたものをゼロから作る受託開発や既存システムの枠組みを超え、日本の産業構造を変える上流の仕組みづくりに挑む同社。そこで今求められているのは、大企業で浮いてしまうような「型破りな人材」だという。代表取締役社長の成瀬功一氏とプロダクトオーナーの今井伴也氏に、事業創出プラットフォーム開発の裏側や求める人物像について話を聞いた。

〈Profile〉
写真右/成瀬功一(なるせ・こういち)
代表取締役社長
大手外資系コンサルなどを経て、2018年にサムライインキュベート入社。イノベーションコンサルティング事業を立ち上げ、2022年にReGACY Innovation Groupを創業。現在はAIを前提とした新たなイノベーション支援モデルへの転換を強力にけん引している。
同左/今井伴也(いまい・ともや)
プロダクトオーナー
映画やMV、CMなど、日米で1000本以上の映像制作に携わってきたクリエーティブディレクター/アートディレクター。2022年よりReGACY Innovation Groupに参加し、自社AIプロダクト「ReGACY Platform」の構想・開発をリードしている。

※内容や肩書は2026年9⽉時点のものです。

コンサル業務のAI代替を好機に変える、第2創業宣言

――10年近くイノベーション支援を行ってきて、なぜ今「第2創業」を掲げているのでしょうか。

成瀬:背景には、私たちが直面している大きな環境の変化が二つあります。一つは、大企業や自治体といった顧客のニーズが根本から変わったことです。私たちが事業を始めた10年ほど前は、米巨大テックのGAFAに代表されるような「デジタル・ソフトウエアドリブンなスタートアップを模した新規事業開発」が流行していました。しかし、日本の歴史ある産業や自治体がデジタルネーティブのスタートアップと同じ土俵で戦っても勝てません。「自社が長年培ってきたリアルな技術、設備、土地、人間関係といった産業アセットを生かさなければ勝てる事業は生まれない」と、顧客自身が既に気付き始めているのです。私たちはこれを、MBA型の重厚な計画論とリーンスタートアップ(必要最小限の投資で事業を始めて顧客の反応をうかがうやり方)の中間に位置する手法として体系化しました。

もう一つが、2023年からの生成AIの急速な社会実装。これは「人の頭で考え、整理すること」を本業にしてきたコンサルティング業界にとって大きな打撃でした。リサーチデータの集計、きれいで見栄えのする資料作成、プロジェクトの進捗(しんちょく)管理、美しい事業計画書の立案。こうした従来のコンサルタントが膨大な時間をかけてきた業務は既にAIに代替されつつあります。

これは業界の構造を変える絶好の機会です。「日本の産業の中に本物のイノベーションを起こし、事業化を成功させる」という本質的なゴールは一切変えません。変わるべきなのはその手段です。提供のアプローチを「AIが存在する前提」へと完全にシフトさせる。だからこその「第2創業」の宣言なんです。

――コンサルタントやエンジニアの手作業がAIに代替されていく中で、これからの人間はどこに時間を使うべきだと考えていますか。

成瀬:きれいなスライドを描くような作業ではなく、泥くさいほどに現場に向き合うことですね。これまで大企業で一つの新規事業プランを練り上げ、経営陣の承認を経てテストを行うまでに1〜2年かかるのはよくあることでした。受託開発の現場でも、仕様書を詰めるだけで何カ月も費やすのは常。しかし、プラン作成やリサーチ、プログラミングの基礎部分をAIに任せれば、人間は顧客やエンドユーザーと直接向き合う作業だけに集中できます。

その結果、これまで1〜2年で1案しか試せなかった事業開発が、3カ月で10案でも試せる。所要時間は8分の1、試行回数は10倍。イノベーションの頻度は80倍にスケールします。80個試して1個成功するなら、2年で確実に一つのイノベーションが立ち上がる計算です。個別業界の深い専門性やノウハウ、そして愚直に顧客組織に入り込んで変革を促す「人間くさい実行力」こそが、これからの時代に生き残る唯一の価値になり得ます。 description

コンサルタントの暗黙知をAIとしてプロダクト化する

――自社で専門AIを開発しているとのことですが、米オープンAIの「ChatGPT」のような既存のものを活用することと、自分たちでプロダクトを作ることは何が違うのでしょうか。

今井:スマートフォンで例えるなら汎用AIは全体のベースとなる「OS」で、私たちが自社開発しているのは特定の現場で絶大な効果を発揮する「アプリケーション」のような関係性です。外部から買えるデータベースや、誰でもWeb上で手に入る汎用的な市場レポートを、わざわざ自分たちでRAG(検索拡張生成)のデータとしてAIに持たせる必要はありません。そうした世の中の一般データは、汎用AIが勝手にどんどん賢くなってカバーしてくれますから。

私たちがAIに組み込んで学習させているのは、「汎用AIが出してきた一般的なリサーチ結果に対して、熟練のコンサルタントが追加でどんな独自の粘り強い調査を行い、どう論理を組み立てて顧客の意思決定に結び付けているか」という、人間側の思考プロセスやロジックそのものです。コンサルタントが頭の中で行っている暗黙知や企業文化、思考の癖をひもとき、ワークフローとしてプロダクト化しているのです。

――AIプロダクト開発では、汎用AIの進化が速く壁にぶつかる企業も多いと聞きますが、開発は順調でしたか。また、今井さんの異色の経歴も気になります。

今井:そうですね、この2〜3年間は本当に試行錯誤の連続でした。私自身、元々は映画やミュージックビデオ(MV)、CMなどのアートディレクターとして、自分の手で空間や映像を作り込んできた人間です。そこから縁あって入社してプロダクト開発をリードしているのですが、汎用AIが日進月歩で進化するため「どこまでをAIに任せ、どこからを人間固有のクリエーティブ領域としてプロダクト化すべきか」の境界線を常に見極め続ける必要がありました。

現在、社内には既に日常業務でフル稼働しているAIモジュールが複数あります。例えば、新規事業の初期リサーチとロジック構築を一瞬で完了させる機能です。現場のコンサルタントからは「これまで数日かけてもたどり着けなかった視点に、一足飛びでいけるようになった」という声も届いています。 description

目指すは日本の産業を動かす「イノベーションOS」の創出

――ReGACYが最終的に見据えている「イノベーションOS」構想について、もう少し詳しく教えてください。

成瀬:例えば、AIが世の中のトレンドを解析して「会社で持っているアセットと最新のディープテック技術を掛け合わせれば、こういう新しいヘルスケア事業が立ち上がります」という完璧なロジックの提案を出したとします。しかし実際の現場に足を運んでみると、社内の人間関係や歴代の経営陣が好む意思決定の型のようなものが存在するわけです。「Aの支店長とBの支店長は仲が悪くて、AとBのデータは社内で絶対に共有されない」とか。

どれだけAIが進化しても、こうした社内のリアルな事情や人間の感情を無視した提案は絵に描いた餅で終わります。私たちが目指す「イノベーションOS」とは、外部の市場・技術トレンドデータと、そうした企業固有のインサイダーデータや組織の癖を掛け合わせ、リアルタイムで常時学習・更新していく意思決定・事業開発の共通基盤なのです。

――顧客が、一般のLLMやAIサービスをイノベーションや新規事業開発の業務で使うのと、ReGACYが開発しているプロダクトを使用するのとでは違うのでしょうか。

成瀬:違います。私たちの目指す姿は、いわば「AI時代のパッケージシステム」です。ゼロから受託開発するのではなく、基幹パッケージ(OS)として顧客企業にインストールし、それぞれの企業特有のデータや癖をチューニングしながら導入支援やカスタマーサクセスとして伴走していくという上流特化型のサービスモデルです。

企業が存続するためには、今ある既存事業を徹底的に効率化して利益を出す「深化」と、次の柱となる新しい事業の種をまき続ける「探索」の双方が欠かせません。この「両利きの経営」を、AIを活用したシステム(OS)として全ての企業や自治体の経営基盤に組み込んでいく。一部の企業だけでなく、あらゆる日本企業が自ら変革を起こし続けられる社会をつくる。それが私たちの描く未来です。 description

尖った“癖”とエネルギーを持つ人こそ、来てほしい

――非常にスケールの大きな挑戦ですが、これらを実現するためにどのような人を求めていますか。

今井:エンジニアであれコンサルタントであれ「自分はこれがかっこいいと思う」「自分は絶対にこれが正しいと信じている」という強力なこだわりや、良い意味での強い“癖”を持っている人に来てほしいですね。

生成AIを使えば、誰でも平均的できれいなコードや資料を作り出せる時代になりました。だからこそ、周囲の顔色や一般的なスタンダードに自分を合わせた「均一な優等生のアウトプット」には価値がありません。「自分はこう思うんだ」という強烈な個性を前面に押し出し、それを具体的に形にしていくエネルギーやわがままなほどの“想い”こそが、これからのAI時代に個人を際立たせる最大の武器になります。かくいう私も昔から自分のこだわりが相当強くて、かなり癖のあるタイプです。

成瀬:社内では全くそんなふうに見えないですよ。周囲の意見や現場コンサルタントのフィードバックをすごく柔軟に受け止めて吸収してくれる人だと思っていました。

今井:いやいや、家では妻から「あなたは本当に自分のこだわりばかり押し通すんだから」と毎日怒られていますから(笑)。でも冗談抜きで、社内にはそういう強いこだわりや型にはまらないユニークなバックグラウンドを持ったメンバーが本当に多く集まっているのです。

私たちのチームにいるメンバーが良い例です。彼は「将来、自社の株式上場の鐘を自分の手で鳴らしたい」という強烈な野望を持って入社してきました。上場時の鐘は5回鳴らせるらしいのですが、「役員クラスにならないと鳴らせないから」と言って、自分の担当業務(課長レベル)の枠をはるかに超えて会社全体を見渡し始めるのです。

頼まれてもいないのに「いい人材が入ってこないと会社が成長しないし、自分が鐘を鳴らせなくなるから」と言って勝手に採用プロセスのテコ入れに乗り出したり、「成瀬さんにはもっとメディア露出してほしいからスタイリストを付けましょう」と勝手に企画して動いてしまったりする。一歩高い視座を持って「会社全体のために今これが必要だ」と判断したら、自分の役割の境界線を踏み越えて勝手に動いて成果を出してしまうのです。

成瀬:そうそう、まさにそういう人材がいいですね。「怒られる/否定されるかもしれないからやめておこう」と内向きに閉じる人よりも、「怒られてから考えればいい/失敗したらもう一回やればいい」と外向きにプロアクティブな発想で動ける人。答えが決まっていないイノベーションの現場では、上司の指示や正解を待つ姿勢は致命的な欠点です。誰かの価値になるものを創るためなら、許可を得る前に行動を起こしてしまうような熱量を持った人と一緒に働きたいですね。今の時代、ReGACYに限らずそういう人の方が、急成長するし、結果的に評価されている印象です。

――大企業や既存のコンサルファームの中で「異端児」として浮いてしまうような人ほど、生き生きと輝けるということですか。

成瀬:その通りです。多くの組織では、先ほどのような「良い子」にして型にはまった仕事を粛々と行うことに慣れている人が多いですが、その中で、社会や顧客など外向きの視点から「今までと違うやり方を提案する」「違うと思っていることをそのまま進めず、ピボットを提案する」といったことをするような「型からはみ出している」と評価されてきた人ほど、ここでは爆発力があります。個性を面白がり、チームの強みとしてさらに尖(とが)らせるカルチャーを目指していますから、安心して飛び込んでほしいですね。 description

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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