「三井不動産が変わるかも」とワクワクした。手探りで進めたBtoC事業で得たものとは
2020/09/17
#デベロッパー
#コンサルから事業会社へ

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オフィスビル、商業施設、ホテルなどの不動産開発を行う総合デベロッパー、三井不動産。不動産業界のトップを走り続けてきた同社が今、既存のビジネスにとどまらない新領域に事業を拡大している。それに伴い、異業種から転職してきた多様な人材が活躍しているという。

今回はコンサルティング業界から転職してきた中田敏文氏に、同社が運営する商業施設と連動した電子商取引(EC)サイト「&mall」の立ち上げの裏側について聞いた。想像以上の裁量の大きさ、仕事のダイナミックさとは――。

〈Profile〉
中田敏文(なかた・としふみ)三井不動産株式会社 海外事業本部。
早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンサルティングファームに入社し、アパレル、医薬品、自動車など様々な業界の企業に対する戦略立案の業務に従事。その後、2012年に三井不動産株式会社に入社。商業施設本部で開発用地取得や開発計画の企画立案を担当した後、16年より「&mall」事業に携わり、20年春より海外事業本部。

権利者との関係や事業スキームは案件ごとに全く異なる。一つひとつが新規事業のようなもの

――三井不動産へ転職された理由を教えてください。

中田:前職では外資系コンサルティングファームで様々な業界の企業に対して、組織改革や海外事業展開などの提案を行っていました。楽しく仕事はしていたのですが、お客様が自社のサービスや商品に愛着と誇りを持って働かれている姿を見て、うらやましくなりました。自らリスクをとって事業を行う会社に行きたいと思うようになったんです。

――その中で、なぜ三井不動産を選んだのですか。

中田:人々の生活に大きなインパクトを与える仕事がしたいと思ったからです。もともと、新卒の就職活動でも興味を持っていました。実際、三井不動産の事業内容を調べてみて、街を変えていくのは単純に面白そうだったので、素直にやってみたいという気持ちで入社を決めました。

我々はオフィス、住宅、商業施設、ホテル、物流施設と様々な用途で不動産事業を行っていますし、エリア全体の街づくりや複合再開発なども含まれます。その中で、商業施設ひとつとっても事業スキームや仕事の進め方は案件ごとに大きく異なります。一つひとつが新規事業のようなものですし、企画、営業、ファイナンス、マーケティングと経営のいろんな要素が詰まっていて、奥深いんです。

――コンサルティングファームから不動産会社への転職は大きな変化だと思いますが、実際に入社してみていかがでしたか。

中田:最初に配属された部署では、全国の都心型商業施設の用地を取得する仕事をしていました。初期的な事業の企画を立て収支を計算し、地主など権利者に提案する。うまくいけばその交渉を進めながら、同時に経営層に投資判断してもらうために社内をまとめていくという業務です。

転職したてでやる気に満ちていたのですが、コンサルではデスクで分析をしていた身からすると、地主に対する提案営業の仕事は、ある意味で対極の仕事です。最初は必要な関係者の打ち合わせをセッティングすることも満足にできず、先輩に怒られたりして、見事に鼻をへしおられましたね。

――その業務ならではの難しいと思う部分はありましたか。

中田:先ほど、不動産事業は一つひとつが新規事業のようなものと言いましたが、用地取得でもそれは同じなんです。

私が経験したプロジェクトの中でも、たとえば行政から土地を借りる借地事業、既存の建物をそのまま残す形のリニューアル・バリューアップ事業、1棟丸ごとをあるテナントの旗艦店のために新規開発する事業など様々なバリエーションがありました。

同じ事業というのはひとつもないので、権利者への提案の仕方、事業スキームの組み立て方、どういったテナントと組めばいいのかなど、その都度一から考えなければいけないという点が難しさであり、醍醐味(だいごみ)です。それを少人数でやっていくので、任せてもらえる範囲も大きいです。 そのあと当社の経営層の承認を得るのですが、それもハードルが高いので大変でしたね。

一方で、土地と、一緒にやってくれるテナント、ゼネコンや設計会社、デザイナーのアイデア、時には周辺の住民の方々のご意見など、各々が化学反応を起こしながら事業ができていく面白さがありました。最初に立てていた仮説からは想像もしえなかったものになることもあって、コンサル時代の自分にはこういった仕事はできなかったと思います。 

当社では、基本的に2~3人でチームを組んで行動するのですが、優秀な先輩たちに鍛えられたことも大きかったですね。

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経験のあまりないBtoC領域に踏み込む。会社の「英断」に期待が高まった

――そのあとECサイト「&mall」事業の立ち上げに関わったとお聞きしました。どんなプロジェクトなのか教えてください。

中田:「&mall」とは、三井不動産が所有する商業施設でのリアルな買い物とネットショッピングが連携するためのECサイトです。これをオープンさせ、運営を担当しました。いわゆるオムニチャネルという、リアルとネットを融合させる販売戦略です。

私が配属された時点で、事業化について会社は承認済みでしたが、すべてはこれからでした。2016年10月のことです。17年11月にサイトをオープンすることになっていました。

私自身は、事業全体の売り上げ・収益計画の立案や投資予算の配分、システム開発と業務のプロセス構築を担当しました。具体的には、予算をどう使うかを考えることと、商品をどうやってお客様に届けるかという物流、カスタマーサポート、決済方法など、商品の購入から、お届けまで全般のシステムをつくる業務です。

――事業内容を聞いて、どう思われましたか。

中田:異動が決まると、その部署にあいさつに行くんですが、そこで事業内容を詳しく聞きました。

うまくやれば、商業施設本部によい変化をもたらす事業になりそうだと思って、ワクワクしましたね。ECサイトを展開すれば実店舗で購入するお客様を奪うことになるかもしれない。一般的には社内で競合するリスクもあるといえる中、会社としてやると決めたことは「英断」だと思いました。

一方で、自分たちがやったことのないハードルの高い事業だとも感じました。私自身も、EC関連の仕事に携わったこともなければ、システム開発もやったことがなかった。コンサルも用地取得の仕事も基本的にはBtoBの仕事です。いきなり個人のお客様にいかにサービスを使ってもらうかを考える仕事になって、正直戸惑いはありました。

そもそも何をすればいいのかが手探りでしたし、三井不動産としても、創業以来オフィスビルや住宅、商業施設などを開発するBtoBの事業を主にやってきたので、こういったBtoCの事業は社内では比較的新しい領域だったんです。

――具体的にはどういった課題がでてきたのでしょうか。

中田:既存の不動産事業に関しては、長年培ってきた経験や街づくりのノウハウ、マーケットへの理解があり、それらの知見を企画に反映させることでいいものをつくれてきたと自負しています。つくったものが、自然とお客様が思いつかないような新しい、かつ満足いただけるものになっていたんだと思います。

ですので、最初はその感覚でEC事業にも取り組んでしまったところがあったかもしれません。大きな顧客基盤を持つ三井不動産の商業施設と連携したサイトをつくれば、自然とお客様は使ってくださるだろうと。しかし、当然ローンチ前の企画構想やマーケティングは入念に行っていたのですが、実際やってみると、なかなか使っていただけませんでした。

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――その問題にどう対処したのでしょうか。

中田:まず、原点に戻って、これは何のための事業なのか、共通認識を持つようにしました。つまり、当社の商業施設を使ってくださっている既存のお客様によりよいショッピング体験をしていただくためのサービスであること、そしてそれは単なるECではなく、リアルとネットを融合したものとしてやっていくと。

その方針を決めて、商業施設本部内でも改めてマネジメント層から発信してもらいました。そのことで商業施設を使ってくださっているお客様が、オンラインだったらどんなサービスがあるとうれしいだろうかという顧客目線に、組織全体としていきつくことができました。   たとえば、オンラインで注文したものを実店舗で受け取れるサービスだったり、受け取る際に試着ができ、気に入らなかったら返品できるサービスを実装したり、あるいは店頭にある商品もオンラインの在庫として認識することで、お客様が商品を手に入れやすくするなど、あらゆる改善を施しました。

実際、これまでの機能改修により、使ってくださるお客様の数は増えています。もちろんリリースしたサービスがすべてうまくいったわけではないですし、これからも改善を継続していくことになります。

――たくさんのECサイトがある中で、「&mall」ならではの強みはありますか。

中田:実際の売り場があり、ららぽーとや三井アウトレットパークの顧客基盤をすでに持っているところだと思います。お客様を見つけるところに最初のハードルがあるので、これは圧倒的強みです。お客様の生の声をお聞きしやすいというメリットもあります。 

また、テナントとの長年の信頼関係をすでに築けていることも大きいです。なにか企画を持ちかけるとすぐに反応してくださいます。たとえば「&mall」限定の商品を出していただいたことなどは、その信頼関係の賜物だと思います。

大きな決断をくだす大胆さと気配りを怠らない繊細さ

――社員にはどのような人が多いですか。

中田:「大胆かつ繊細」な人が多いと思います。それから自らの仕事に情熱を持って、細部まで突き詰めて仕事をする人が多いですね。

たとえば日本橋の街づくりをはじめ、どの仕事もだいたい2~3人のチームでやっているので、自分の意思決定がそのまま形になります。自分の発言やふるまいが、事業の質や損益、そして地主やテナントをはじめとするパートナーのモチベーションにいかに影響を与えるか、その重みをわかっているんだと思います。

ですから、気配りは怠らないですし、些細なことでも質にこだわっています。

一方で、腹をくくらなければいけない場面、絶体絶命の場面、何かトラブルが起こって事態を収拾しないといけない場面では、えいや、と大胆な決断をする。両方兼ね備えて、バランス感覚を持っている人が多いと感じます。

――ではどんな人に入社してほしいですか。

中田:事業会社未経験だった私に、これだけの仕事を任せてくれる会社です。いろんな仕事を経験する可能性があるので、変化を楽しめる人、どんなときでも事態を前向きに受け止められる人が向いているのではないでしょうか。

――将来の目標を教えてください。

中田:実はこの春に海外事業本部に異動しまして、これからオーストラリアのシドニーに赴任する予定です。現地のオフィスビルや住宅の開発を行うために、すでに立ち上がっている現地法人を軌道に乗せるのが次のミッションです。また新しい挑戦ですので、まずはそれを頑張りたいです。

長期的には、三井不動産の新しい収益の柱になるような事業を立ち上げたいと思っています。「&mall」の仕事も、オーストラリアの現地法人の立ち上げも、先輩たちが企画して土台を作ってくれたものです。

三井不動産では、新しい事業の種を見つけることを「井戸を掘る」といいます。そして井戸を掘った人がリスペクトされる文化があります。自分も将来的には、社員の心が躍るような井戸を掘れる人になれればと思います。

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コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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