ITコンサルとは何者か 中編〜新興ITコンサルが起こしている地殻変動〜

前回の記事では、アクセンチュアやアビームコンサルティング、日本IBMをはじめとする大手ファームを主な対象として、その仕事内容、職位と給与、転職と選考について解説をしました。
しかしながら、ITコンサルと呼ばれるファームは大手のファームばかりではないのをご存知でしょうか。現在、新興の日系ファームが、業界内で大きな地殻変動を引き起こしているのです。
そこで中編である今回は、日系のITコンサルの中でも新興のファームに焦点を当て、業界内での立ち位置や成功の秘訣について解説していきたいと思います。
シリーズ【ITコンサルとは何者か】(押すと開きます)
シリーズ【ITコンサルとは何者か】
- ITコンサルとは何者か 前編 〜その仕事内容、職位、転職と選考について~
- ITコンサルとは何者か 中編〜新興ITコンサルが起こしている地殻変動〜
- ITコンサルとは何者か 後編〜急成長中の新興ITコンサルと伝統的ファームの対応〜
押し寄せるDXの波で需要増 市場価値を高めたい若手の受け皿に
コンサルティングファームというと、世界的に有名なMBBやアクセンチュア、BIG4などを思い浮かべる方が多いでしょう。現在でも、これらのファームは業界内で存在感を示し続けています。その一方で、従来のコンサル業界の常識に囚われないようなファームが登場し、多くのプロジェクトを受注していることもまた事実なのです。
本記事では、現在コンサル業界に波乱を巻き起こしているこれらのファーム群を『新興ITコンサル』と呼ぶことにします。本節ではまず、なぜ新興ITコンサルと呼ばれるファームが登場してきたのか、その理由について解説します。
事業活動の上流に関するノウハウのコモディティ化
理由の1つ目としては、事業活動の上流に関するノウハウがコモディティ化しているからです。
コンサルが日本に上陸した頃は、クライアントの経営層に対して、『グローバルな知見』を活かして全社戦略に関する提言を行うことが主たる業務でした。しかしながら、情報化社会が進展した現在では、インターネットを使って誰でも世界中の情報にアクセスすることが可能になり、コンサルは情報の非対称性を利用してクライアントに価値提供を行うことが最早できなくなってきているのです。
事業会社内にも、社費留学等でMBAを取得している社員も出てきていますし、コンサル出身者が書籍やセミナーなどを通して、かつては専売特許だったコンサルティングのスキルを一般に広めるケースが増えています。
加えて、コンサルから事業会社に移る人材が増加し、クライアントの社内にコンサル経験者が在籍するようになりました。実際、三井物産株式会社には、総合力推進部にビジネスコンサルティング室と呼ばれる社内コンサル部隊が存在しています。
こういった状況下で、戦略を描く上流のフェーズのみならず、描いた戦略を実行していくフェーズもスコープに入れた、新しいコンサルティングファームが登場してきているのです。

企業活動とデジタル技術は不可分
理由の2つ目としては、企業活動とデジタル技術が切り離せなくなっているからです。
急速なデジタル技術の発達を受けて、今やデジタル技術なしにはあらゆる事業を円滑に進めることは不可能になっています。これまでITと直接的に関係のない事業を展開してきた企業であっても、デジタルトランスフォーメーション(DX)が求められるようになっています。しかし、デジタル領域に高い専門性を持っている社員が在籍している企業は日本にそれほど多く存在せず、DXがなかなか進展していないのが現状です。
そのため、デジタル領域に高い専門性を持つ高付加価値の人材をコンサルティングファームに在籍させ、こういった人材を顧客企業に期間限定的に送り込むことで、顧客企業のDXを進展させていくようなプロジェクトが増加しているのが、現在のコンサル業界のトレンドなのです。
こういった流れの中で、デジタル領域に特化し、より高い専門性を持ってクライアントに貢献したいと考え、デジタル技術に特化したファームに身を移すコンサルタントが出てきているのです。
人材流動性の高まり
理由の3つ目としては、日本の中途市場における人材の流動性が高まっているからです。
今や終身雇用は崩壊し、新卒で入社した会社に生涯勤め上げるというキャリアは考えにくいものになっています。こういった状況の中で、コンサル業界は自身の市場価値を高めたいと考える若年層にとって人気の業界になり、中途入社でコンサルタントに挑戦するような人材が増加傾向にあります。
こういった中で、従来の伝統的ファームで経験を積んだ人材が自分の理想のファームを求めて起業をするケースが出てきています。そして、こういったファームに、成長意欲の高い若年層が多数入社しており、現在新興ITコンサルが急成長を遂げる大きな原動力となっているのです。
