日系証券会社一覧~企業ごとの特色を理解する
金融プロフェッショナルを目指す方にとって、キャリアの1つとして選択肢に上がる業界が、日系証券会社かと思います。銀行や保険会社など他の金融機関との違いは分かっていても、実際に行う業務や、それぞれの企業の特長まで理解を深めなければ、思わぬミスマッチも起こりかねません。そこで今回は大手日系証券会社を中心に、各企業の仕事内容や特色について一覧でまとめました。
(2022年3月現在、公開情報などに基づく)
日系証券会社一覧~独立系大手
野村證券(野村ホールディングス)
企業紹介
1925年創業の野村ホールディングスの子会社。証券国内最大手であり、国内外に充実したネットワークを構築している独立系の金融機関である。
個人投資家や機関投資家、企業と幅広い顧客の資産運用・資産調達を支えるサービスを展開する。さらに、異業種との提携にも積極的な姿勢を見せている。
サステナビリティに対する感度が高く、「社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現すること」をビジョンに掲げ、投資先企業に対してもSDGsを反映させた経営戦略を求めている。
大和証券
企業紹介
大和証券グループの子会社で、創業110年を超える国内2位の証券大手。日本全国はもとより世界20カ国に拠点をもつグローバル企業で、アジアを中心に提携を拡大している。企業理念として「信頼の構築」「人材の重視」「社会への貢献」「健全な利益の確保」の4点を掲げる。女性の活躍や健康経営を促進しているという特長がある。
個人顧客に対しては金融商品を幅広く提供し、国内外の法人に対してはブローカレッジやM&Aアドバイザリー、投資銀行業務などを行っている。オンライントレードを先駆けて始め、約300万人以上の利用実績を持つ。
日系証券会社一覧~メガバンク系大手
SMBC日興証券
企業紹介
三井住友フィナンシャルグループの中核証券会社で、日本の三大証券会社の一つである。2011年に「日興コーディアル証券」から社名変更した。
「健全な資本市場の発展を、豊かな人生・社会の実現につなげる」という社会的使命を掲げている。個人客に対しては「総合コース」と「ダイレクトコース」の2種類のコースを設け、多様な客層に対応している。法人客に対しては、業態別の担当部署を設けることであらゆる法人へのサポート体制を構築している。
みずほ証券
企業紹介
1917年に設立された、みずほフィナンシャルグループ内の証券会社であり、3つのメガバンクのうち一角を成す。預かり資産は48兆円を超え、数字を延ばしている。
リテールからホールセールまで幅広い業務を行い、銀行、信託と連携してスピード感のある高度なサービスを提供している。また、ダイバーシティ・インクルージョンを推進しており、多様な社員の活躍を後押ししている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
企業紹介
総合証券大手の一角を成し、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の証券戦略の中核を担う。2010年、モルガン・スタンレーの日本法人のインベストメントバンキング部門が合流して発足した。
モルガン・スタンレーが持つグローバルシナジーを強みに、質の高い商品、サービスを顧客に提供する。「信頼・信用」「プロフェッショナリズムとチームワーク」「成長と挑戦」の3つの価値観を重要視している。グループ会社との協働によって、資産運用、資産承継などの様々な金融ニーズに応えている。
日系証券会社一覧~準大手、中堅
岡三証券
企業紹介
独立系の準大手証券会社。2023年4月に創業100周年を迎える。対面証券だけでなく、ネット取引も展開している。
「お客様本位のサービス提供」「シェアードバリューの創出」「デジタライゼーションへの取り組み」を基本方針に据えている。また、「支援する」という姿勢に基づく充実した人材育成制度が特長である。
松井証券
企業紹介
個人投資家を対象とした会社で、14の部署から成るインターネット専業大手。信用取引貸付を収益源としており、一日信用取引は特徴的なサービスである。
1998年より株式のインターネット取引サービスをいち早く開始し、投資に関わる金融商品やサービスを展開する。200名弱の社員数であり、若手にも積極的に裁量権を与える社風も特徴と言える。
三田証券
企業紹介
1949年に設立。2021年3月期まで、18期連続で黒字を継続している。個人投資家、法人投資家のサポートやトレーディングといった6つの業務を行っている。
弁護士や公認会計士など専門家の雇用にも力を入れている。商品やサービスの独自性にこだわりをもつ。自由闊達な風土とチャレンジ精神を重んじる社風。
極東証券
企業紹介
1947年に設立。都内を中心に9店舗を構える。ディーリング業務やブローカー業務などを行う。
顧客との直接対話にこだわりをもち、富裕層向けの対面コンサルティング営業に力を注ぐ。収益構成を多様化し、受入手数料、トレーディング損益、金融収益や営業収入などその他の収益といった複数の収益源でバランスをとっている。
外債販売や不動産証券化に強みがある。
東海東京証券
企業紹介
大手証券、銀行系証券、ネット証券とは一線を画した「第3極」の総合金融グループを目指す東海東京フィナンシャル・ホールディングスのグループ会社であり、2008年に設立された。中京地区を地盤としている。
主に対面での営業を中心に行う準大手の証券。有力な地方銀行とのアライアンス戦略を推進しており、富裕層に対する営業に力を注いでいる。リテール顧客へのセグメント別戦略や、マーケット、法人営業、投資銀行の3部門の強化・連携による法人トライラテラルに取り組むことにより、競争力を高めようとしている。
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今回は日系証券会社を一覧でご紹介しました。いかがだったでしょうか。
資産運用、資金調達などの仕事内容は、各社に共通する部分と言えます。また、業界再編、ネット証券の台頭、さらには異業種から金融サービスに参入する動きなど、業界全体を巡る状況も刻々と変化しています。
自身のネクストキャリアに金融系の企業を検討されている方は、各企業の強みや社風に対する理解を深めることが必要です。今回取り上げた情報をもとに、企業研究を深めていただければ幸いです。