心強い伴走者になってくれることが多い一方で、時に足枷にもなり得る転職エージェント。
「プロが教える転職エージェントの選び方」では、Liigaエージェントクチコミで高い評価を受け、多数の求職者から厚支持を得ているエージェントに支援の考え方や特徴、その方自身が考える「求職者にとって良いエージェント像」などを語ってもらっています。
今回は、コンサル業界の転職支援を得意とする栗山卓也氏のインタビューです。
シリーズ記事一覧(押すと開きます)
- (1)プロが教える転職エージェントの選び方~ベンチャー/スタートアップ(井手裕典)
- (2)プロが教える転職エージェントの選び方~ファンド(蓮子哲也)
- (3)プロが教える転職エージェントの選び方~コンサル(栗山卓也)
- (4)プロが教える転職エージェントの選び方~コンサル/M&A(石井康裕)
- (5)プロが教える転職エージェントの選び方~経営人材(前田雄一郎)
【プロが教える転職エージェントの選び方~シリーズ記事一覧】

<Profile>
栗山卓也(くりやま たくや)
フォルトナ株式会社 ディレクター
東京理科大学卒業後、本田技研工業株式会社、デロイトトーマツコンサルティング、Amazon Japanの3社を経て現職に就く。これまでに、JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2023 会員満足度部門賞(株式会社ビズリーチ主催)やdodaX HeadHunter Award 2023 総合MVP(他3部門同時受賞)、QUNIE Award of Excellence Individual Award 2022 最優秀個人賞(株式会社クニエ主催)を受賞。現在は転職エージェントとしてフォルトナで働く傍ら、UAEに移住し現地の会社経営や、日本のシェアサロン経営に従事するなど、多岐にわたるビジネス経験を有する。
2024年8月2日現在のLiigaエージェントクチコミ評価は5.0(107件)。
支援領域と転職エージェントとしてのスタンス
コンサル専門で徹底支援
私はコンサル業界に特化して転職支援をしています。
特に得意とするのは「コンサル to コンサル」と 「SIer to コンサル」です。あとはコンサル to ベンチャーなど、ポストコンサルの方を支援することもあります。
20代〜40代まで幅広く支援をしていますが、どちらかと言えば若い方の支援が多いです。長期のキャリアまで見据えた転職支援を重視しており、自身の経験も踏まえた自己啓発的なアドバイスをすることも多いのが、その要因だと思います。
人材は囲い込まず、「適材適所」で対応
私はコンサル支援に特化していますが、他の業界を志望する方から転職のご相談をいただくこともあります。この場合は私から求人紹介などができないことを伝えた上で、転職活動のノウハウや知っている情報についてお話しています。
また商社やベンチャーなど、弊社のメンバーで支援が可能な場合は「社内にもっと適切な人がいるので」とその人につなぎ、オールフォルトナで対応させてもらっています。
いつでも壁打ち相手になれる存在に
私は「すべての人々が転職活動を行うべき」だと考えています。ただし「必ず転職すべき」という訳ではありません。
重要なのは、人生で成し遂げたい目標からバックキャスティングし、目指すべき次のキャリアを見つけることです。その手段の一つが転職活動であり、「転職するかどうか」は二の次です。
だからこそ、私は長期支援を基本のスタイルとしています。すぐに転職を考えていなくても、また転職直後であっても、いつでもご相談者様の壁打ち相手になれる存在でありたいです。
私の転職支援の強みや特徴
99パーセント勝てる面接対策
採用選考では、直属の上司となりうる面接官に「気に入ってもらう」こと、つまり彼らに向けて自分をアピールすることが重要です。私はそのための面接対策に最も力を入れており、この点が私の最大の強みであるとも思っています。
多くのエージェントは、書類応募と面接対策を併行して行うか、応募を済ませた後に面接の準備を始めます。しかし私は、基本的に面接対策をやりきってから書類応募に進んでいただいています。面接対策にどれだけの時間がかかるかは、ご相談者様によって異なるからです。
私がここまで面接対策を重視するのは、「面接は全力で準備すれば99パーセント勝てる」と考えているからです。
もちろん需給バランスやスキルの不一致により、上手くいかないケースもゼロではありません。しかし、人となりやマインドセットの点に関しては、事前に全力で対策すれば、ほぼ99パーセント勝てると考えています。ご相談者様にも、いつもそうお伝えしています。
私の面接対策の基本は、模擬面接です。回答を聞けばご相談者様の解像度の低い部分がすぐに分かるので、その部分の問答を繰り返します。課題を見つけては潰す作業を繰り返し、理論武装をしていきます。
こうした模擬面接の結果、私の対策を受けたご相談者様が「転職理由が不明瞭」「転職軸がぶれている」「ロジカルな説明になっていない」といった理由で不採用になるケースは殆どありません。ご相談者様にも「栗山さんほどは問い詰められませんでした!」と言われます。
敢えて転職を止めたり、再検討を促したりすることも
私は、「とにかくコンサルになって頑張りたい!」という方には徹底支援をします。ただし、今後のキャリアや人生の軸でものを考えた時、「その方のためにならない」と考えれば、敢えて転職を止めたり、再検討を促したりすることもあります。
たとえばコンサルは、タフであることが求められます。模擬面接の準備が不十分など「タフさが足りない」と感じた方には、「恐らくそのマインドセットでは、入社した後で苦労すると思います」と正直に伝えました。
また先日、トップクラスのファームを目指して最大限対策を講じ、選考を進めていたものの軒並みNGが出てしまっており、現段階のご経歴や能力(超大手事業会社勤務ではありましたが特殊な職種)では、どうしても大手ファームを狙うには難しい方がいらっしゃいました。その方に対しては「あまりTierを下げすぎると、待遇や環境が現職と比べ著しく変化し、大きなギャップが生まれるかもしれません。それでも活動を継続しますか?現職に残る立ち回りも検討する必要があるかもしれません。」と提案しました。
期間やタイミングに捉われない長期伴走支援
私のもう一つの強みは、年単位でキャリアの方向性も相談できる、長期の伴走支援です。
冒頭でもお話したように、私はご相談者様が「転職すること」自体に重きを置いていません。私と面談をしていく中で目指すべき次のステップが見つかれば、それで良いと考えています。転職を決意されずとも、節目ごとに連絡や雑談をしたりもしています。
また、私の支援はご相談者様が転職した後も続きます。今後のキャリア相談はもちろんのこと、「入社した会社での立ち回り方」など転職活動に留まらない相談にも乗っています。
転職エージェントの利用のメリットと気を付けてもらいたいこと
若い方などにはキャリアの壁打ちや面接対策が役に立つ
企業への応募手段は、主に自己応募とエージェント利用がありますが、求職者の中には応募手段にこだわる必要がない方もいます。
たとえばご自身の軸が確立できており、面接で何を話せば良いか分かっている方は、エージェント利用にこだわる必要がありません。ただしエージェントを利用すれば、入社時期の調整、年収の交渉などをエージェントに任せることができます。
なかでも各社の内定タイミングを揃えられるのは、エージェント利用の大きなメリットです。内定となり、企業からオファーレターが発行されると、1週間以内の回答を求められるのが一般的です。しかし、その時に他社の結果が出揃っていないと「どの企業に行くか」の選択が難しくなります。転職エージェントは面接回数やリファレンスチェックの有無などの情報も有しているため、同じタイミングで結果が出るよう応募や面接の日程を調節できます。
一方で「まだ自分の軸ができていない」「転職の仕方が分からない」といった方、それこそ若い方などにはエージェントの利用をお勧めします。キャリアの壁打ちや面接対策が役に立つでしょう。
例えば私の支援では、キャリアの壁打ちから面接対策、各種交渉、その後のフォローアップまで充実しています。自己応募よりもメリットがあると自信を持っていますので、詐欺広告ではありませんが、まずは私の支援を体験してみてください!
求職者ファーストで動かないエージェントも多いので注意
これは私の体感ですが、エージェントの中には利己的な方もいると感じています。ご相談者様からもそういった話をよく聞くので、選び方には注意した方が良いでしょう。
エージェントの多くは実力主義の世界におり、会社から多くのノルマや目標が課されています。また、給与体系が成果に応じたインセンティブ制になっているエージェント会社も多いです。こうした背景から、つい利己的になってしまうエージェントは少なくありません。
転職を急ぐ理由があったり、面接対策などが不要だったりする場合は、こうしたエージェントを選んでも問題ないでしょう。しかし、転職に向けて手厚いサポートを受けたいのであれば、ノルマなどのないエージェントの利用をお勧めします。
たとえば弊社はノルマが一切なく、面接回数やサポート期間の制限もありません。また、エージェントの働き方に対する自由度も非常に高いです。私の場合は海外移住や起業など、自分のやりたいことを実現させてもらいながら、仕事に励むことができています。転職支援の質には、エージェント自身の心の余裕や充足感も影響すると思いますので、そうした点も考慮に入れると良いでしょう。
リスペクトし合って支援の質の最大化を
転職エージェントの利用では、お互いにWin-Winの関係であるためにも、リスペクトし合う関係が望ましいです。
「無料で利用できるから」とエージェントにいい加減な対応をすれば、エージェントからの扱いもぞんざいになるでしょう。そのエージェントにできる最大限の支援をしてもらうためにも誠実に接し、エージェントを上手く「活用」してください。
私が考える「求職者にとって良い転職エージェント」の見極め方
求職者のニーズに合った支援をしてくれるかどうか
大前提として、求職者ごとに「良い転職エージェント」は変わります。エージェントに期待するポイントは、求職者によって異なるからです。
たとえばハイクラスの方だと、キャリアの壁打ちよりも「魅力的なポジション」「早急な情報提供」を求める傾向が強いです。また、私は転職支援において面接対策を重視していますが、なかには「対策をせず、すぐに選考を受けたい」という方もいます。
そのため、基本的には「求職者のニーズに合わせて支援をしてくれるか」がポイントだと思います。たとえば私の場合、若い方などキャリアに迷いがある方、転職経験が少ない方などに対しては、キャリアの壁打ちや面接対策の充実を意識しています。それに対してハイクラスの方にはクライアントリレーションを最大活用したポジションの創出、非公開求人の提供、迅速なレスポンスなどを意識しています。
共通してチェックしたい見極めポイント
先に触れた前提を踏まえた上で「総じて求職者にとって良いエージェント」となると、たとえば以下のようなポイントが挙げられると思います。
- レスポンスの早さ
- 先回りした情報提供
- 手厚い伴走支援
返事が早いことと、先回りして情報を持ってくることは、エージェントとして当然の所作です。
また伴走支援については、エージェントはすればするほどコストがかかり、生産性も下がります。それを敢えて行うのは、真に求職者目線を意識した良いエージェントだと思います。
伴走支援の度合いとして参考になるのは、「成果が出ているか否か」です。成果が出ていないエージェントは、「成果を出そう」と焦るばかりに、適性や相性を考慮せず応募を勧める傾向が高まります。その結果、内定後辞退や早期退職を引き起こし、さらに成果が下がるという負のスパイラルに陥りやすいです。
そのため、見極めの際は口コミや受賞歴などを指標にエージェントの成果を見ると良いでしょう。
私が考えるLiigaエージェントクチコミの活用ポイント
※2024年8月2日時点の栗山氏エージェントクチコミページより
口コミ数・マッチング数・口コミの投稿日に注目
大前提として、一般に口コミというものは、評価が高いだけでは全く判断がつきません。そのため、以下の3項目を確認すると良いでしょう。
- 口コミ数:多くのご相談者様に評価されているか
- マッチング数:多くのご相談者様とコミュニケーションを取っているか
- 各口コミの投稿日:一定期間に密集していないか
アカウントを作成すれば誰でも簡単に評価できる仕組みだからこそ、口コミではその「信憑性」を考えるべきだと思います。
信憑性を確認したら、あとは口コミからその人の支援スタイルを推察し、自分に合うエージェントを選びましょう。
私の口コミには、最終的に転職しなかった方からのコメントなどもありますので、参考にしてみてください。
<Liigaエージェントクチコミの栗山氏の評価>
" 何より私の意見や考えを尊重していただいて、それに寄り添ったアドバイスをいただきました。意見を押し付けるのではなく、自分がどうしたいかを見つめ直すための客観性のある意見をいつも与えてくださる転職者ファーストな印象です。 " (社会人4-6年 / 利用時期2024年)
" 数回のケース面接練習を通し、戦略コンサル応募には実力不足が分かったところで、諦めるのではなく、エージェント2人体制で2か月間、毎週のケース面接練習を実施いただきました。 " (社会人7-10年 / 利用時期2023年)
求職者へのメッセージ
コンサルスキルで拓けたキャリア
そもそも私がコンサル業界を担当している理由は、私自身がホンダ→デロイト→Amazonと転職をし、デロイトに所属したことでキャリアが拓けたからです。
ホンダからAmazonでは転職しにくかったと思いますが、間にハブとなるキャリアを挟んだことでAmazonに入社できました。またAmazonを辞めた後も、エージェントの他にフリーランスのコンサルタントとして働いたり、ビジネススキルを活かして起業したりできています。
たとえば事業会社で働いている人の場合、「会社を辞めた時に、今の仕事が副業になるか」と問われると、難しいケースが多いのではと考えています。しかしコンサルなら「フリーのコンサル」という選択肢もあり、副業スキルも身に付けられます。
人生100年時代に向けて、汎用スキルの獲得を
コンサルにこだわらないにしても、人生100年時代を生きていくのに汎用的なスキルは必要でしょう。大きな会社の傘に頼って働いていると、会社がなくなった途端、行き場を失ってしまうかもしれません。
だからこそ、梯子を外されても「大丈夫」と言えるようなスキルを持っておいた方が、絶対に良いと思います。たとえば事業会社でやるなら、尖ったスキルを持つよう考えましょう。
人生を拓くために、歯を食いしばってみませんか?
一番大切なのは「自分に何のスキルが、どのようなバリューがあるのか」です。
自分のスキルをしっかり身に付けられる転職活動であれば、コンサル以外でももちろん良いと思います。また、頑張っていれば「類は友を呼ぶ」で同じような方が集まってきますし、起業すれば新たな出会いもさらに増えます。
私は昨年12月から海外に拠点を移し、そこで年収5,000万円の日本人プログラマーに出会いました。ほんの2年前までは日系Sierで普通のサラリーマンだったとのことですが、一発奮起して転職チャレンジし、見違える人生を勝ち取られたそうです。
ネットフリックスやインスタグラムを見ていても、それはそれできっと面白い人生だと思います。ですが、また一つ別の道を突き進んでいくと、これも人生が拓けて面白いです。
だからこそ、「1回歯を食いしばってやってみたらどうですか?」と提案したいです。
- (1)プロが教える転職エージェントの選び方~ベンチャー/スタートアップ(井手裕典)
- (2)プロが教える転職エージェントの選び方~ファンド(蓮子哲也)
- (3)プロが教える転職エージェントの選び方~コンサル(栗山卓也)
- (4)プロが教える転職エージェントの選び方~コンサル/M&A(石井康裕)
- (5)プロが教える転職エージェントの選び方~経営人材(前田雄一郎)
【プロが教える転職エージェントの選び方~シリーズ記事一覧】