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金融機関に勤める人にはもちろん、そうでない人にも憧れのキャリアとして挙げられることが多いIBD転職。しかし同時に、非常にハードルが高い業界としても知られています。
いったいどんなスキルを磨き、キャリアを築けばそのハードルをクリアできるのか。
今回はその答えを教えていただくべく、金融関連の様々な分野・職種での人材紹介を専門とするエーテン・アソシエイツ・ジャパンでパートナーを務める、河田格さんにインタビューを実施。
Liigaの口コミでも高い評価を受け続けている河田さんが考える、“IBD転職で大切なもの”についてお話しいただきました。
##「スキル・キャリアは2〜3割、残りの7〜8割は“人間力”で決まる」IBD転職のつまずきどころは?
**――IBD転職で多くの人がつまずきやすいポイントについて教えてください。**
**河田**:転職活動をマニュアル的に進めようとすると、たいていうまくいきません。
**――どういうことでしょうか?**
**河田**:「公認会計士を取ったからIBDに行ける」「FASでバリュエーションの経験を積めばIBDに行ける」といった考え方をすることです。
もちろん採用の確率を上げる要因にはなりますが、スキルやキャリアといった外形的な要因が採否に及ぼす影響はせいぜい全体の2〜3割程度に過ぎないんです。
**――残りの7〜8割を占めるのは?**
**河田**:人間力です。IBDの採用というのは、少なくても10人、多い時は15人と会わせるようなところが大半です。
**――他業界と比べると、異様な人数ですね。**
**河田**:**あらゆる角度から、候補者の方の人間力を見極めるため**です。結果として15人中13人目の面接で不採用になるケースもあります。私たちエージェントの役割は、そういった事態を避けるために、本人の持っている人間力を最大限引き出すことだと考えています。
**――どういったサポートをしているのですか?**
**河田**:**IBDの採用サイドとして働いていた経験を生かして、IBD側が求めている答えを返せるようしっかりと話し込みます。**もっと具体的に言えば、膝を突き合わせて想定問答づくりをしています。
話の内容にきちんと筋が通っているのか、矛盾はないのか―――候補者の皆さんは非常に優秀な方が多いので、一つ一つの質問には適確に答えられるのですが、**全ての回答に一貫性があるかというと、意外と抜け落ちがあるもの。**この部分は能力の有無というより、人生の経験値だと思うので、そこを補うのが私の仕事です。
「アレとコレをやったからうまくいく、なんて単純なものじゃないから」エージェントとして一番大切にしていること
**――これまでに記憶に残っている候補者の方のエピソードがあれば教えてください。**
**河田**:うーん……難しいですね。「こういうことがありました」と物語仕立てて話せないわけではないのですが、そうやって単純化することには抵抗があります。
――どうしてですか?
**河田**:アレとコレをやったからうまくいく、なんて単純なものじゃないからです。もっと入り組んでいて、複雑で、3歩進んで2歩下がる、みたいなことが当たり前にあるものなんです。
だからこそ候補者の方と膝を突き合わせて、時には奥様との関係や子供の将来といった話にまで踏み込みながら、深く、濃く関わっていくようにしています。
**――なぜそこまで時間と労力をかけるのでしょうか?**
**河田**:転職活動というのは、孤独なものです。同僚はもちろん、友人や先輩にもなかなか相談相手は見つからないものです。私自身転職活動をしていた時に、頼りにできる人が見つからずに途方に暮れました。だからこそ専門家としてだけでなく、人生の先輩として相談相手になることを大切にしているんです。
**――候補者の気持ちに寄り添うことを第一に考えているのですね。**
**河田**:エーテン・アソシエイツ・ジャパンが各エージェントに独立性を認めていることもあると思いますが、私は自分の都合で紹介をするようなことは絶対にしないと決めています。今転職するべきじゃないと思えば「残った方がいい」と言いますし、受ける企業も2〜3社に絞り込んで、むやみに心身をすり減らすようなこともさせません。
**――「心身をすり減らす」というのはどういうことですか?**
**河田**:IBDに限らず、転職活動は一社一社しっかりと対策を立てていく必要があります。そのため5社も6社も受ければ、どうしても対策が中途半端になります。必然的に不採用になる確率も高くなりますが、そうなると人は落ち込むものなんです。仮に「ここは無理だろうな」とアプライした先であっても、落ちると結構へこむんですよね。
**――しかし2〜3社に絞り込むのも、ある意味ではリスクが高くなるのでは?**
**河田**:**25年以上も業界にいましたから、だいたいどれくらいの確率で採用になるかはわかるんです。**書類にしても、「7〜8割は通る」「五分五分で通る」「通る確率は2〜3割」くらいの解像度で見極められます。だから無駄に受けてもらう必要はない。そのぶん、各社の面接対策に時間を使って欲しいんです。
##IBDで成果が出せる人・出せない人の特徴と、IBD出身者のネクストキャリア
**――IBDに転職してできたものの、なかなか成果を出せない人もいるのでしょうか?**
**河田**: 3年なら3年、最大でも5年、丁稚奉公をするつもりで耐えられれば成果が出せるようになりますし、みんな覚悟を持って入ってきているので、成果が出せない人というのはほとんどいませんでした。
そもそも成果が出せるかどうかは自分で判断することではありません。採用サイドが「この人なら大丈夫」と判断したわけですから、オファーをもらったら自信を持てばいいんです。
**――しかし、それまでのキャリア次第では「先にこういうスキルを身につけてからの方が……」と思う人もいるのではないでしょうか?**
**河田**:採用されたということは、大丈夫ということなので、そんなことを考えなくても大丈夫です。**堂々と行きましょう。**
**――IBD転職をする方は、どういった業界出身が多いのでしょうか?**
**河田**:IBD未経験の場合なら、多いのは大手銀行や生命保険会社といった金融機関。あとはFASや戦略コンサルティングファームの方ですね。
**――それ以外の業界からはやはり難しい?**
**河田**:門戸は相当狭くなります。ただし、その中でも多いのは総合商社の3〜4年目くらいの若手の方。英語はもちろん、事業投資などの経験があるケースも多いので、比較的マッチしやすいんです。
あとIBDや証券会社は―――商社もそうですが―――いわゆる新卒偏差値の高い企業からの転職希望者を好む傾向はありますね。
**――IBD転職を考えている人は、そのあとのキャリアについてもプランを持っているかと思いますが、実際IBDのネクストキャリアにはどのようなものがありますか?**
**河田**:部門によりますね。DCMやECMは職人の世界なので、DCMからDCM、ECMからECMへの転職が一番バリューを発揮できます。一方でアドバイザリーなどになると相当幅広くなります。一番アップサイドで言えばPEファンド。あとは事業会社に移ってIPOに絡む人もいます。
**――本日はお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。**