コンサル転職における最初の関門は書類対策
転職市場で人気が衰えないコンサルティング業界。未経験でも可能な募集も多く見られるために、転職を考えられている方も多いのではないでしょうか。そこで、本記事を含む5本立てでコンサルティング業界への転職について、そのフローごとに解説をしていきます。コンサルファームには外資や日系、戦略から総合系、IT系など領域は多岐にわたりますが、インタビューを通じて共通項を探りました。
第1弾である今回は、最初の関門である書類選考に関してです。その重要性と、コンサルならではの注意点などについて解説していきます。
本記事をお読みいただくことで、コンサルティング業界へ転職する際に重要な書類選考について、ご理解いただけると思います。
コンサル転職における最初の関門は書類対策
コンサル選考対策における書類対策とは
職務経歴書のサンプル
最初は埋めることすら難しいことも。体験談から見る書類作成の壁
コンサル転職でも欠かせない書類選考。念入りな準備を
コンサル選考対策における書類対策とは
コンサル選考対策において、書類対策とはどれほどの重みをもち、何に注意するべきなのでしょうか。 まずは選考フローにおける位置付け、そして書類の中身という順に解説していきます。
選考フローにおける位置付け
まず、書類選考とは選考フローの中でどこに位置づけられているのでしょうか。これは新卒採用の際と変わらず、最序盤になります。多くの応募者全員を面接するリソースを削減するために、書類選考を通してスクリーニングを行っています。
しかし、ここで必要となる書類は書類選考以降、面接の際にも用いられます。面接官の手元に用意され、質問などはその書類を元に投げかけられるのです。そのため、提出する書類は選考の最初から最後まで重要になり、細心の注意を払って作成される必要があります。
必要となる準備
次に、書類選考で必要となる書類についてまとめます。書類選考で必要になるものは以下の2つです。
・履歴書 ご自身の学歴(学部・学科も含む)と職歴や、資格について記入する書類になります。
特に手書きなどの指定がない限り、JIS規格に則ったWordまたはExcelを用いるのが一般的です。
・職務経歴書 履歴書に記載された職歴について詳しく記載する文書になり、中途採用の際には必須となることが多い書類です。
2〜3枚程度で、【経歴概要】、【業務実績】、【経験・スキル・知識】の3つから構成されることが多いです。
最初に【経歴概要】として所属組織とポジションの変遷を記し、次に【業務実績】内で携わったプロジェクトの詳細を時系列で記載してください。最後の【経験・スキル・知識】では上記の経歴から一般化された”マネジメントスキル”や、”pcスキル”などをアピールしてください。
ただし、応募するポジションや企業によって求められる書類は異なります。例えば、上記2点の他に志望動機書を要するファームも存在するようです。
書類対策で抑えるべきポイント、気を付けるべきポイント
ここでは、上記の履歴書・職務経歴書を書く際に抑えるべきポイント、気をつけるポイントについてまとめます。
◆履歴書 基本的に、嘘偽りなく情報を伝えることを目指してください。職務経歴書と齟齬が出ない、誤字脱字がないなどミスを防ぐように細心の注意を払ってください。
学歴 基本的に、学部・学科まで記入してください。 戦略系に比べ、大学歴で足切りされることはそれほどないと考えられますが、一部のコンサルティングファームでは高校の偏差値まで見られることもあるそうです。
資格
コンサルタントとしての仕事に関連するものに限って記入してください。簿記などの会計知識やMOS、基本情報技術者などIT知識を裏付けるものであれば積極的に記入するべきです。逆に、普通自動車免許などの資格の記入は不必要とされています。
語学力(TOEICなど) 一般的には600点を超えていれば書くべきだとされています。 ただし、Big4やアクセンチュアなどの外資系総合コンサルティングファームは新卒内定者に800点以上の取得を義務付けているケースも多いです。そのため、外資系への転職を目指す場合は800点以上を取得しておきたいところです。
短い/派遣としての職歴や空白期間 原則として、派遣社員としての職歴やどれほど短い職歴であったとて、正しく記入するべきです。そうでない場合、経歴詐称となってしまう恐れがあります。 そのため、学歴も含め、経歴の空白期間は明記するべきです。 (ただし、休学や留年について理由がある場合はそれらを明記してください。)
◆職務経歴書 職務経歴書は書類選考の中でご自身をアピールする書類になります。 先述のように、【経歴概要】【業務実績】【経験・スキル・知識】にわけて記述してください。
コンサルとして重要な問題解決能力をアピールするために重要なことは、「成果を明確にすること」です。
面接官がイメージしやすいように、当時の状況、ご自身の役割と貢献したことを明確に記載し、問題解決能力をアピールできるようにしてください。
この時、数値を用いて定量的にアピールすることができればなお良いです。成果の定量化のみならず、当時のチームの規模なども記すことで、状況はよりイメージしやすくなります。
また、「再現性」があると示すことも重要です。コンサルタントとして働く姿がイメージしやすいように、ITやプロジェクトマネジメントの経験などコンサルタントに生きるものを積極的に記述しましょう。財務コンサルタントや税務コンサルタントを志望する場合、該当業務の経験はアピールポイントになります。
中には、こういった経験の有無を足切りにしているコンサルティングファームも存在すると考えられます。
また、これだけではご自身のCANを示すのみにとどまります。エージェントの方の中には、WILLを示すことを推奨している方もいらっしゃいます。これまで行ってきた業務から、これからはどのような業務に関わりたいのかまでを分かりやすく示すことで、意欲のアピールや、ミスマッチ回避につながります。
職務経歴書のサンプル
それでは、実際に用いられた職務経歴書のサンプルを見てみましょう。
【経歴概要】 〇〇大学卒業後、20xx年y月にaa株式会社入社。入社以来一貫して人事部に所属。 主に、ITプロジェクトのクライアント側リーダー、報酬支給・査定などの業務における実務・プロセス管理責任者などを経験。 〈所属部署〉 20xx年4月〜 aa株式会社人事部人事課 20yy年10月〜 aa株式会社人事部IT推進課
【業務実績】 1.人事システム構築プロジェクト 期間:20xx年x月〜20xx年x月 〈概要〉 · サーバ保守期限を契機とした人事部内の主要システムの刷新。 · 林立したシステムを統合パッケージへの移行。(総額約nn億円・期間n年超。)
〈役割・実施業務〉 役割:プロジェクトリーダー · 要件定義から稼動後までクライアント側プロジェクトリーダーとして一貫して参画。 · プロジェクトにおける部門横断的な発生課題の対応、計数管理、社内対応等を一人で担った。 · プロジェクトの過程では、企図しない部内体制の変更、費用・工期の超過、プライムベンダーの変更などのプロジェクト継続が困難になる課題も相次いで生じたが、完遂まで部内メンバーをリードした。
2.給与・考課査定に関する実務およびそのプロセス管理 ・・・
【経験・スキル・知識】 · プロジェクト・マネジメント · 業務企画(立案、ヒアリングを通した仮説検証、社内承認取得、実行) · 対人折衝能力 · PCスキル(Word、Excel、Power Point) 以 上
最初は埋めることすら難しいことも。体験談から見る書類作成の壁
履歴書や職務経歴書作成など、書類を作成することは今も昔も欠かせないステップです。ただ、いざ書き始めると「どこまで踏み込んで書くのか」と、なかなか筆が進まないことがあるかもしれませんし、書類選考で落とされることで心が折れてしまう方もおられるかもしれません。
そこでここからは、実際にコンサルファームへの転職経験があるユーザーの経験談やTipsをご紹介しましょう。
「職務経歴書のフォーマット自体は、エージェントさんからいただけるのであまり心配しなくても問題ありません。ただ、新卒2~3年目のころはそのフォーマットに沿って書くだけでも結構頭を抱えました」。こう話すのは、総合コンサルファームや戦略ファームへの転職体験がある男性です。
新卒で入社した外資系総合ファーム時代、2~3年目で初めて職務経歴書を手に取った時は、参加したことがある案件を上げてもフォーマットが埋まらず、焦りを感じたそうです。ただし、どれもこれも挙げればいいというものでもありません。実際の選考で、面接官から「その案件でどのようにバリューを発揮したか」に踏み込まれた時、答えに窮することがありありと想像できたからです。
一方、新卒から5年ほど経つと経験が増え、ネクストキャリアのために自身のキャリアをアピール出来るのはどのプロジェクトか、そのプロジェクト全体の目的と、その中で自分が何をしたかを抑えてまとめることができるようになったと言います。「逆に全部の案件と役割、さらには結果までをリストアップしていくと、書類として“うるさくなる”のですが、いかに書類を書くかに頭を悩ませる事は少なくなるはずです」と振り返ります。
「過去の自身の職歴をいかに表現するか」については、転職成功者であっても試行錯誤を繰り返しています。
現在新卒から3社目で外資系戦略ファームで働く方は、書類選考で何度もお見送りになってきたと振り返ります。男性は改めて自分の書いた書類を見直し、「やってきたことをただ書き出すと、どうしてもボトムアップの仕事と受け止められてしまう」と気付き、プロジェクトの中でトップダウンで論点設計ができる要素を抽出して書類の表現を改めたところ、効果があったと言います。
また、履歴書の定番の項目と言えば語学です。外資系ファームの中には、職務経歴書そのものを英語で記載しなければならない場合もありますから、この語学力が転職のハードルと感じる人がいるのも、仕方がないことかもしれません。
ただ転職成功者に聞くと、海外案件を担当した経験がありながら「語学力には自信がないので書かなかった」という方も、海外の大学を卒業したものの「特筆することはないので強調することはなかった」という方もおられました。語学力だけが転職のネックになっているのであれば、これらの声を参考にして新しいキャリアに踏み出すのもよいかもしれません。
コンサル転職でも欠かせない書類選考。念入りな準備を
いかがでしょうか。コンサル業界転職における書類選考について、その重要性と気をつけるべき点についてまとめました。 コンサル業界への転職は容易ではありません。しかし、少しでも念入りな準備へのお手伝いができたら幸いです。 本日以降、コンサル×選考対策シリーズと銘打ち、以下のコラムを掲載しております。興味をお持ちの方はぜひご期待ください。
【コンサル×選考対策】
②甘く見ると思わぬ落とし穴に。コンサル業界への転職におけるWebテスト
③フェルミ推定?ケース面接?コンサル転職における面接対策とは
④見極めるのは会社だけでない。コンサル転職におけるエージェントの選び方
⑤内定後も気が抜けない。コンサル転職における内定後の動き方